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不動産投資の利回り最低ラインとは?利回りの目安と計算方法について解説
不動産投資を始める際に重要な指標の一つが「利回り」です。利回りは、投資した物件から得られる収益を表す数値で、高ければ高いほど効率的な投資です。しかし、利回りの最低ラインについては、明確な基準がないのが現状です。
不動産投資における利回りの最低ラインについて解説します。エリア別の最低ラインや、利回りを上げる方法、利回り以外の判断基準など、不動産投資で利回りを考える上で重要なポイントを網羅的に紹介します。
目次
不動産投資における利回りの最低ラインとは
不動産投資といっても様々で、目標とすべき利回りも投資する物件によって大きく変わります。
ここでは、個人でも投資することが多い中古不動産投資における利回りについて紹介しています。
結論から言えば、利回りの最低ラインは5%程度と考えられます。では、5%以上を狙った場合の成功ラインと手残りはどれくらいなのでしょうか。
不動産投資の成功ラインの利回りとは
不動産投資の利益を確実にする手法は2つあります。「長期間に渡って高レベルの家賃を得る投資(インカムゲイン)」と「最初から売却を見据えて利益を確実にする投資(キャピタルゲイン)」です。この2つの投資は、狙うゴールが異なるため、成功ラインも異なります。
まず、「長期間に渡って高レベルの家賃を得る投資」ですが、これは高い利回りのキープが目標です。基本的に不動産投資は、家賃は築年数によって落ちてゆき、利回りも下がってしまいます。つまり、投資の全期間を通して利回り5%を狙うならば、最初期はさらに高い利回りを標的にすることが必要です。物件の構造や立地条件にもよりますが、最初の段階で7%程度の目標が理想と考えられます。
「売却を見据えた投資」では、「トータルの家賃収入と売却益の合計値」が「投資金額」よりも多ければ投資が成功したと判断することが可能です。そのため、最初の投資では5%からそれほど離れてなくても良いでしょう。ただし、売却が前提なので、家賃が下落する前に売却を成功させなければならず。家賃キープの戦略と同時に売却の戦略を立てなければなりません。
中古ワンルームの相場利回りは下記から確認してください。
【ワンルームマンション投資の利回り相場】計算方法や考え方を解説
不動産投資では手残りの目安いくら?
では、不動産投資では手残りの目安はいくらぐらいになるのでしょうか。
実は「手残りがいくらになるか」という考え方であるべきではありません。むしろ、利益計画を立てて「手残りを計画通りに残す」ことが目標となるべきです。
なぜなら、手残りの計算は、利回りから各種の経費や税金を引いた値になるので、税金対策が上手く行くかどうかで異なります。不動産投資で発生する税金の代表格の所得税は累進課税です。
税額計算が難しく、単純に方程式を立てれば予測がつくといったものではありません。さらには、経費の節減も大きなポイントです。税金と経費を管理しながら手残りを残すことが重要なのです。
ちなみに、売却前提の場合は売却額を常に考えるべきでもあります。手残りは売却額を含んだ値になるからです。
不動産投資における確定申告に関しては、こちらでも詳しく紹介しています。
「不動産投資をしているサラリーマンは確定申告で節税できる可能性が高い」
利回りの最低ラインはエリアによって異なる
不動産投資における利回りの最低ラインは、物件のあるエリアによって大きく異なります。都心部と地方都市、郊外エリアでは、求められる利回りの水準が変わってくるのです。
不動産投資のポータルサイト「健美家」が発表している「不動産投資レポート」には、月ごとに同サイトに掲載されている投資物件の販売価格や利回りなどが地域ごとに集計されています。
ちなみに、2024年6月に公開された同レポートによると、2024年5月時点の全国平均の区分マンションの利回りは6.93%、一棟アパートは8.07%、一棟マンションは7.75%でした。
では、各地域では利回りはどの程度異なるのでしょうか。あくまでも参考程度ですが、市場で売りに出ている物件の利回りから、一般的な利回りの目安を把握しておきましょう。
都心・都会エリアの利回り
前出の健美家の調査によれば、2024年5月時点の首都圏(関東一都三県)それぞれの種別の利回りは下記の通りでした。
- 区分マンションの利回り:6.41%
- 一棟アパートの利回り:7.54%
- 一棟マンションの利回り:6.88%
また、関西(二府四県)は下記の通りでした。
- 区分マンションの利回り:6.90%
- 一棟アパートの利回り:8.46%
- 一棟マンションの利回り:8.28%
後ほど紹介する地方と比べて、都心・都会の投資物件は、物件価格が高いため利回りが低い傾向にあります。
また、都心部の物件は需要が高く、家賃収入も安定しているため、利回りは低くても投資として人気があります。都心部では5%程度の利回りでも投資価値が高いと判断されることが多いです。
都心部の物件は、立地の利便性が高く、多くの人が住みたいと考えるエリアであるため、空室リスクが低いという特徴があります。そのため、利回りが多少低くても、長期的に安定した収益を見込める投資先として評価されるのです。
地方のエリア
健美家の同調査において2024年5月時点の東北地方の利回りは下記の通りでした。
- 区分マンションの利回り:11.43%
- 一棟アパートの利回り:11.34%
- 一棟マンションの利回り:9.64%
また、信州・北陸地方は下記です。
- 区分マンションの利回り:14.99%
- 一棟アパートの利回り:15.14%
- 一棟マンションの利回り:12.13%
地方都市や郊外の物件は、物件価格が低いため利回りは高くなります。当然利回りの最低ラインは高めに設定されます。地方都市では8%程度、郊外では10%以上の利回りが求められるケースが多いでしょう。
地方都市や郊外エリアは、都心部に比べて家賃相場が低いため、高い利回りを確保しないと投資効率が悪くなります。また、エリアによっては人口減少や高齢化が進行し、将来的な需要減少のリスクもあるため、利回りの最低ラインは高めに設定される傾向にあります。
不動産投資の利回りの種類と計算方法
不動産投資で活躍する利回りは3種類あります。計算方法と考え方を解説します。
表面利回り
表面利回りは、年間家賃収入と購入価格で算出します。
年間収入 ÷ 購入価格 × 100 = 表面利回り
瞬時に物件の利回りをイメージできますので、販売図面などに掲載されます。
維持コストは計上されていません。
年間家賃収入200万円 購入価格が3000万円の場合は下記のようになります。
200 ÷ 3000 × 100 = 6.66%
実質利回り
家賃収入から、管理費や固定資産税などのランニングコストを引いた手残り収入を、購入価格と取得にかかった費用(仲介料、取得税等)を足したもので計算をします。
(家賃収入-ランニングコスト)÷(購入時価格+取得コスト)× 100 = 実質利回り
物件によって築年数や広さによりランニングコストが異なります。具体的な収支シミュレーションを立てるのに役立ちます。また、将来発生する維持コストも計算に入れて考えた方がいいでしょう。
想定利回り
空室状態で売買をするときに、相場から家賃を想定して算出をします。満室想定利回りなどとも呼ばれます。物件ポータルサイトで、近隣の募集中の物件や成約事例からを推測して家賃を決定します。
不動産投資には空室は避けられません。空室が多い物件は、収入が確定していないので魅力が薄く、価格が安くなる傾向があります。よって想定利回りが良ければ、積極的に購入する判断材料になります。しかし、甘めの家賃設定になると、期待した利回りにならず、繰り上げ返済など収支の修正が必要になるので、注意をしなければなりません。
利回りの最低ラインと物件選びの関係
利回りの最低ラインは、物件選びにも大きく影響します。利回りが高い物件と低い物件では、その特徴に違いがあるのです。
利回りが高くなる不動産の特徴
以下のような特徴を持つ不動産は、利回りが高くなる傾向にあります。
- 駅や都心から離れている
- 築年数が古い
- 設備が古い・不足している
これらの物件は、立地の利便性が低かったり、建物の状態が良くなかったりするため、家賃が低めに設定されていますが、その分だけ物件価格が低くなっています。
つまり、利回りが高いからといって、必ずしも投資に成功するというわけではありません。立地が悪い物件は、入居者を集めるのが難しく、空室リスクが高くなります。また、老朽化した建物は、修繕コストがかさむ可能性もあります。
利回りが低くなる不動産の特徴
反対に、以下のような特徴を持つ不動産は、利回りが低くなる傾向にあります。
- 駅や都心に近い
- 築年数が浅い
- 設備が充実している
これらの物件は、利便性が高く、建物の状態も良好なため、高い家賃設定が可能でが物件価格も高くなります。利回りは低くなりますが、安定的な収益を見込める投資先として人気があります。
利回りが低い物件は、一見すると投資効率が悪いように思えるかもしれません。しかし、長期的に見れば、空室リスクが低く、家賃収入が安定しているため、トータルでの収益性は高くなるケースも多いのです。
不動産投資では、利回りの高さだけでなく、物件の特性やリスク、将来性なども総合的に判断することが大切です。
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不動産投資の利回りを上げる方法とは?
不動産投資における成功ポイントが、家賃収入の場合でも売却を見据えている場合にしても、利回りを上げる方法は常に考え無くてはなりません。
では、具体的にどのような手段が有効なのでしょうか。
利回り改善方法
利回りの改善方法は大きく分けて2つあります。物件の収益性のアップと経費の節減です。この2つを同時に検討しなければなりません。
収益性アップ、これは物件の魅力の持続や魅力向上が挙げられます。具体的には、定期的なリフォームがポイントでしょう。ただし、リフォームであっても経費を削減しながら進めることが重要です。収益性の維持とコスト管理のバランスが大切です。
また、リノベーションによる付加価値アップも良いでしょう。リノベーションを行うことで、購入時よりも高い家賃収入も見込むことができます。
ローンの返済期間を長くする
返済期間を長くすることで、月々の返済額を抑えられ、手残りを増やすことができます。
たとえば、3,000万円のローンを借りる場合、返済期間を25年にすると、月々の返済額は15万円程度になるでしょう。一方で、35年にすると返済額は12万円程度になります。返済期間を長くすることで、月々の返済負担を軽減できるのです。
ただし、返済期間を長くすると、トータルの支払利息は増えてしまいます。また、家賃収入も経年とともに下落していくため、投資物件のキャッシュフローを考慮しながら、最適な返済期間を設定することが重要です。
自己資金を多く入れる
自己資金を多く投入することで、ローン額を減らし、金利負担を軽減できます。
例えば、物件価格が3,000万円の場合、自己資金を1,000万円用意できれば、ローン額は2,000万円で済みます。ローン額が少なければ、金利負担も抑えられるため、利回りを上げる効果があるのです。
金利交渉をする
金融機関と交渉し、より低い金利を引き出すことで、返済負担を減らせます。
不動産投資ローンの金利は、借り手の信用力や担保となる物件の条件によって変わってきます。そのため、複数の金融機関から融資提案を受け、金利を比較検討することが大切です。
また、信用力の高い借り手であれば、金利交渉の余地も出てきます。金融機関との良好な関係を築き、金利引き下げを粘り強く交渉することで、利回りアップにつなげられるでしょう。
家賃収入を上げる
リフォームや設備の充実化を図ることで、家賃アップを見込むことができるかもしれません。
物件の築年数が古くなると、設備の老朽化が進み、入居者から敬遠されがちです。そのため、リフォームを実施し、設備を更新することで、物件の価値を高められます。
また、ペット可物件やデザイナーズ物件など、特殊な需要に対応することで、競合物件との差別化を図ることも重要です。
ローンの借り換えをする
金利が下がったタイミングでローンを借り換えることで、返済負担を軽減できます。
不動産投資ローンの金利は、マーケット環境によって変動します。金利が下がったタイミングで借り換えを行えば、月々の返済額を減らせるため、利回りを上げる効果が期待できます。
ただし、借り換えには諸費用がかかるため、トータルでのメリットを見極める必要があります。また、借り換え先の金融機関の審査に通らないリスクもあるため、慎重に検討することが大切です。
不動産投資は売却の時期やタイミングを考慮する
不動産投資は、時間経過や建物の劣化とともに利回りは下降します。
東京をはじめとした都市部であっても、下落していくため後々の売却に関しては意識しておきましょう。
また、「いかに高く売るか」が非常に重要です。
では、どうすれば高く売れるのでしょうか。この最重要課題は「時期」や「タイミング」をどうするかがポイントです。
「時期」と「タイミング」とは同じような意味合いですが、実は少しニュアンスが異なります。
「時期」は大まかのイメージ、「タイミング」は瞬時の判断を指しています。
「時期」は、マンションの大規模改修の前や近隣のマンション建設の状況などがキーになります。例えば、大規模改修の時期を迎えてしまうと、修繕費用による支出が発生する可能性があります。また、近隣でのマンション建設が具体化すると、同業他者が商圏に参入することで、賃料の値下げや入居者獲得が困難になる可能性があります。このように、大まかな流れのなかで売却時期を検討しておく必要があります。
「タイミング」は、瞬発的に発生する売却のニーズです。景気動向や投資物件のある地域の需要変化などによって、所有している物件の価格が高くなることがあります。また、所有している物件に似た条件の投資物件を探している投資家が現れた際なども、有利に売却を進めることができます。
こういったタイミングに関しては、不動産会社に相談することで、売却タイミングかどうかを計ることをおすすめします。
ワンルームマンションの利回りが低い際の対処方法は、こちらのコラムでも詳しく紹介しています。
「ワンルームマンションの利回りが低いなら、早期売却がおすすめ」
不動産投資の利回りが高くなる物件の傾向
駅や都心から遠い物件
最寄り駅からの徒歩距離や都心からが遠くなるほど、期待利回りは高くなります。それは駅近や都心の物件は人気があり、賃貸も売買も競争力があるから期待利回りが低くても取引されます。安定した運営が可能なので、期待利回りが低くなります。
駅から遠く、郊外の物件は、リスクがありますので、利回りが高くなる傾向があります。
物件価格が安く利回りが良くないとリスクと見合いが取れないので購入する方が現れません。
築年数が古い物件
物件の老朽化に伴い、維持管理コストが上がり、賃貸競争力は下がっていきます。空室になると次の入居者が決まりづらく、そして家賃が安くなってしまいますので、リスクの高い不動産投資になります。よって、購入する金額は安くなり、物件の利回りが高くなっていきます。築年数の新しい物件は長期的なリターンを考えて期待利回りが低くても取引されます。
耐久年数が短い物件
耐久年数が短く建築コストが安い物件ほど期待利回りは高くなります。それは物件が将来で回収できる家賃をもとに売買価格が計算されるからです。長期的に考えて、この物件がいくらのリターンを生んでくれるかは投資の判断の基礎になります。
木造のアパートの場合は22年、鉄筋コンクリートの場合は47年の耐久年数になりますので耐久年数が長いほど収益を生んでくれる期間が長くなり、利回りは低くなる傾向があります。耐久年数が短い物件は、その短期間で利益を確定させなければなりませんので、どうしても期待利回りが高くなります。
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利回りが改善しない投資物件は売却も検討する
不動産投資では、利回りが低迷する物件に悩まされるケースもあります。運用を続けても利回りが改善されない物件は、思い切って売却するという選択肢も視野に入れましょう。
利回りが低迷する原因としては、次のようなことが考えられます。
- 周辺エリアの人口減少や高齢化により、需要が減少した
- 建物の老朽化が進み、修繕コストがかさむようになった
- 家賃相場が下落し、収益性が悪化した
このような物件を抱え続けると、キャッシュフローが悪化し、投資全体の収益性を下げてしまいます。物件売却で得た資金を、より条件の良い物件に再投資することで、トータルでの収益アップを狙えます。
ただし、不動産の売却には時間とコストがかかります。売却価格が想定より低くなるリスクもあるため、慎重に検討する必要があります。物件の売却を決める前に、以下のような点を確認しておきましょう。
- 物件の現在の市場価値
- 売却にかかる諸費用(仲介手数料、譲渡所得税など)
- 売却後の再投資先の有無
不動産投資は長期的な取り組みですが、状況に応じて柔軟に対応することも大切です。利回りが改善しない物件は、思い切って売却し、新たな投資機会を探るという選択肢も検討してみてください。
投資用不動産を売却する際の費用や税金に関してはこちらで詳しく紹介しています。
投資物件を売却する際のポイント
それでは、投資物件を売却する際のポイントは、どういったものなのでしょうか。
売却先の募集
まず挙げられるのが、売却先の募集です。
これは、物件の周囲の投資家だけでなく、全国規模を狙うべきです。今の物件の検索システムは遠隔地の物まで探すことが可能だからです。また、今では遠隔地であったとしても、売却先との面談がネット越しで容易になっています。オンライン会議システムが手軽になっているので、活用しない手はありません。
また、最近げは不動産DXの導入が始まっていて、遠隔地であっても物件の確認まで可能となりつつあります。そうなると遠隔地の売却先との交渉もしやすくなるので、更に便利になるとも思われます。
また、売却先に外国人投資家を募るのも、十分にアリです。ただし、商習慣の相違も考えられますので、仲介会社の選択が非常に重要となります。
満室の状態で売る
次に挙げられるのが、満室の状態で売ることです。
先にも挙げた様に、売却先は別の投資家。狙うのは家賃収入です。満室であれば新たに募集する手間が省けますので、経営上大きなメリットとなるからです。
客付け力の点では中古物件は不利になりがちです。そして、一旦空室になってしまうと、その部屋を埋めるのにも費用が飛んでしまいます。ですから、その部分を埋めての販売が有利なのです。
コネクションを多く持った不動産会社がおすすめ
最後に挙げられるのが、コネクションを多く持った不動産会社を選ぶ点です。
コネクションの少ない不動産会社の場合、売却先の範囲が狭くなるので、高価格での売却の成功確率が低くなります。
その逆で、コネクションを多く持った会社の場合、特に海外まで広く繋がっている会社の場合には、より高値で売却できる可能性も生まれるのです。
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