投資マンション基礎知識
オーナーチェンジ物件の値引き交渉について。指値の限界とは!?
今回のコラムは、オーナーチェンジ物件の値引き交渉について解説しています。入居者がいる状態のままで売買契約が交わされるため、購入後すぐに家賃収入が入ってくることが魅力のオーナーチェンジ物件。そのような安定した収入源が期待できるオーナーチェンジ物件でも値引き交渉が可能かどうかは、物件の購入を検討しているオーナーにとって気になるポイントです。
オーナーチェンジでの値引き交渉が実現するには、「売却する明確な理由があるか」などの売主側の事情が深く関わってきます。
また値引き交渉が実現した場合、買主側が購入希望価格を指定する「指値」には限界があるのでしょうか?価格交渉における指値の限界は、オーナーチェンジでの売買取引を円滑に進めるためにもぜひ知っておきましょう。
目次
オーナーチェンジの仕組み
オーナーチェンジとは、入居者との賃貸契約はそのままに、物件の所有者のみが売買で変更になる仕組みを指します。
新オーナーは、旧オーナーと入居者間で取り決められた家賃・敷金・保証人などのすべての契約をそのまま受け継ぎます。入居者がすでにいる状態での取引になるため、新たな設備点検などは必要なく、書類のみで手続きは完了です。旧オーナーと入居者の賃貸契約の義務と権利はオーナーチェンジした時点で新オーナーに引き継がれます。
オーナーチェンジ物件の値引き交渉は可能
オーナーチェンジ物件の値引き交渉は可能です。値引き交渉が実現する背景は、売主側の状況によってさまざまです。
しかし、値引き交渉ができても実際に指値が実現するかどうかは、売主の事情とタイミングによるでしょう。代表的なケースを紹介します。
売却する明確な理由がある
値引き交渉が可能なケースの一つは、売主側に「いつまでに資金化したい」という売却する明確な意思がある場合です。
相続、財産分与、買い替え、ローン返済、退職に合わせてなどの売主側の事情が原因で、価格よりも売るニーズが強くなれば、価格交渉に応じる可能性があるでしょう。
内装の修繕費用として
築年が古い物件は、退去後の設備交換費用や内装費の負担が大きくなります。オーナーチェンジ物件は室内の点検ができないので、それを理由に売主に交渉することも可能です。老朽化した室内の状況を踏まえて、売主側に希望価格を伝えましょう。
売主が価格交渉を想定している
特に中古物件の場合、相場はあっても定価はなく、あくまでも一物一価です。そのため価格交渉は当たり前ともいえます。
売主側が価格交渉を織り込み済みで、あらかじめ高く売り出している可能性もあります。そのような売主の場合、元々価格交渉を前提にしているため、値引き交渉に応じてくれる可能性が高いでしょう。
売り出し期間が長期化している
売り出してから3か月以上経過している物件は、売主が希望価格での売却をあきらめて交渉に応じることがあります。売り出し価格の改定の予定がないか、確認することも有効な値引き交渉の一つです。また、過去に具体的な交渉があったかも確認しましょう。
空室が続いている
繁忙期を過ぎた空室募集や長期化している空室物件は、利回り計算ができずに投資家から敬遠されやすく、申し込みや問い合わせが少ないことが想定されます。収益が上がらず経費だけが発生しているそのような物件の場合、値引きに応じる可能性も高まるでしょう。
オーナーチェンジの値引きの限界はどのくらいか
実際のオーナーチェンジの取引現場で交渉されている指値の範囲は、売り出し価格の1割前後までに収まっている印象です。2〜3割近い指値の交渉が成立することは難しいでしょう。
仮に大きな指値で物件申し込みがあった場合も、不動産仲介会社が依頼を受けた段階で断っているケースも見受けられます。なぜなら大きすぎる指値自体が、売主に対して失礼に当たり、信用を失うことになるからです。
売主側にも買主を選ぶ権利があります。心証を悪くした「指値が大きい買主」には、その後いくら買取価格を上げようと売ってもらえない可能性もあるでしょう。
さらに、大きな指値で不動産会社側に「厄介な客」と一度警戒されてしまうと、その後、物件を紹介してもらえなくなる恐れもあるので注意しましょう。
オーナーチェンジ物件でも、売主側の「減額してでも売りたい」という事情とマッチすれば、価格交渉は可能です。しかし、指値には限度があります。大きすぎる指値は売り主、不動産会社の両方に不信感を生む可能性があるので、1割前後の指値に留めることをお勧めします。価格だけでなく感情面にも気を配り、価格交渉を行うことをオススメします。
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