投資マンション失敗
区分マンション投資の失敗事例を紹介。失敗を防ぐためには
「区分マンションへの投資なら簡単に始められる」というイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか。しかし、事前にリスクを把握し、しっかりと対策を検討しておかないと、投資が失敗に終わることも少なくありません。今回は区分マンション投資の失敗事例を多数ご紹介し、リスクを回避するためのポイントを解説します。
目次
区分マンション投資とは
1棟を対象とする投資と比較すると投資金額が少なく、ローンも組みやすいことから、「副業に向いている」などと言われることもある区分マンション投資。賃貸管理を不動産会社に任せることも可能で、オーナーの手間が比較的少なく済むことも特徴です。分譲タイプの物件であれば、建物管理会社が清掃や修繕に対応してくれます。確かにメリットも多いのですが、リスクがないわけではありません。
区分マンション投資の失敗事例
利回りだけで物件を選択
利回りの良い築古マンションをオーナーチェンジで購入したAさん。しかし、購入時に物件の入居者の情報などをしっかりと把握しないままに契約をしてしまいました。入居者の中にはソシアル系の入居者の方が長期にわたって居住していましたが、購入後、すぐに退去通知が届きました。次の入居者を募集することになりましたが、家賃条件で苦戦し、結局2割程度下げることになってしまいました。結果的に、月3万円の赤字が発生する事態に陥ります。
相場の家賃や入居者情報を調べずに、現在の賃料の利回りだけで物件を購入したことが、こうした結果を招いてしまいました。投資物件を決定する際には、長期的な視点が必要です。
現地を見ずに購入
全く土地勘のない郊外エリアに、低価格のワンルームマンションをオーナーチェンジで購入したBさん。現地に足を運ばないまま、物件の購入を決定しました。
最初の入居者が退去すると、次の入居者がなかなか見つかりません。ようやく現地を確認してみると、3割ほども空室がある状態でした。地元の不動産会社に確認すると、近隣の大学移転のため、数年前から空室が多いエリアだということでした。
現地を確認していれば、郵便ポストの状態などから空室を把握できた可能性が高く、購入時にしっかりとしたチェックを怠ったことが失敗の原因と言えるでしょう。
衝動的に物件を購入
インターネットで見かけた資産運用セミナーで、節税対策や老後の年金対策といったセールストークに魅力を感じ、新築区分マンションの購入を即決したCさん。
しかし、物件購入後に収支を計算してみると、毎月1万円の赤字が続くことに気がつきました。節税効果などもあるため、当初はそれでも問題ないと考えましたが、次第に負担に感じるようになりました。家賃が下がれば、今以上にマイナスが拡大するなど、さまざまなデメリットに気付いたためです。
購入から半年後、売却をしようと査定に出しましたが、700万円の赤字となることがわかりました。十分な検討をせずに購入することは、非常に大きなリスクとなります。
築古の思わぬデメリット
さまざまなポータルサイトで情報収集をした結果、築40年のワンルームマンションを購入したDさん。ローンは売買金額の5割程度でしか組めず、自己資金をかなり投入することになりました。
購入後、水回りのトラブルなどの対応で工事費が必要になりましたが、マンション全体の構造的な欠陥が判明し、完全な修理ができませんでした。今後の故障リスクを抱えたまま運営する必要が生じたばかりか、工事中の入居者の方へのホテル代などの出費もかさみました。
築古物件は相対的に価格が安く、利回りが高い点がメリットですが、物件の状態をしっかり確認しないと、このようなリスクが生じることがあるのです。
売りたくても売れない
2,000万円の区分マンションをオーナーチェンジで購入したEさん。35年ローンで月々の収支は若干のマイナスになっていました。購入の5年後に結婚することになり、相手から物件を処分してほしいと頼まれます。
その時点でローンの残金は1,800万円でした。物件を査定に出すと、1,400万円という回答を得ます。売却をしたくても、差額の400万円を用意できず、保有し続けるほかありませんでした。ローンは年々減るとは言え、物件の価格も購入から時間が経つごとに下がっていきます。なかなか適切なタイミングがなく、ひたすら待ち続けることになってしまいました。
「節税効果がある」と聞いて購入したが……
Fさんは区分マンションを老後の年金対策として購入しました。デベロッパーの説明を聞いてみると収支はあまり良くありませんが、マイナス分を税還付で埋めることができると説明され、深く考えないままに購入を決めてしまいました。
1年目は確かに還付額が多く、トータルで収支はプラスとなりました。しかし2年目以降はほとんど還付を受けられず、毎年十数万の赤字が発生することになってしまいました。
その後自身で不動産投資の勉強をしたFさんは、一部繰り上げ返済をして収支をプラスに転じることに成功しましたが、もしその資金がなければマイナスが続いたのだと考えると恐ろしい、と話していました。
レバレッジが大きすぎる
年収が1,500万円程度あるGさんは、「自己資金なしで投資が可能」、「複数の物件でポートフォリオを組む方が安定する」などといった中古ワンルーム販売業者のセールストークに魅力を感じ、3年間で区分マンション6軒を購入しました。
それぞれの物件は若干のマイナスがある程度でしたが、合計すると年間で100万円近い負担が生じていることに気がつきました。借り入れ総額が大きいことから、借り換えや繰り上げ返済も難しく、キャッシュがないためその他の収支改善の手も打てません。結局そのまま返済を続けることになってしまいました。
「生命保険代わりになる」というセールストークで購入
個人事業主のHさんは、本業以外の収入を得るため、ローンを組んで区分マンションを購入しました。「団信に入れば生命保険の代わりになる」という提案に魅力を感じたHさんは、生命保険を解約してしまいます。
しかし購入から数年経つと、マンションの価値やローンの残金が下がるため、保証される価格も下がります。これから生命保険に入り直すにしても、年齢のために当初より保険料は割高になっています。結局、毎月の負担が大きくなっただけでした。
区分マンション投資で失敗しないために
購入前に相場を調べる
まず重要なのが、相場価格を調べることです。市場価格と比較してあまりに高い場合は、購入するべきではありません。また、将来の値上がりの見込みについても確認しましょう。これらは、キャピタルゲインとインカムゲインに影響します。
ファミリータイプよりワンルーム
ワンルームタイプの方が、ファミリータイプに比べて広さに対して家賃が高く、費用対効果が優れています。維持コストも、ワンルームタイプの方が安価に抑えられます。
物件の維持管理の履歴を確認する
購入前に、これまでの物件の修繕の状況をしっかりと確認しましょう。購入する物件の室内だけでなく、共用部などもチェックしておくことが大切です。
室内については、内装工事をいつ、どのように行ったか、前回の設備交換はいつだったか、といった点が特に重要です。共用部については、大規模修繕工事の時期や内容を調べましょう。
こうした履歴情報は、今後の維持管理コストを予測する際に役立ちます。
管理会社の状況
区分マンションの賃貸管理の状態を把握するには、管理会社の情報を調べることが大切です。物件の賃貸管理が適切に行われているかをチェックし、信用できないと感じる場合は投資を考え直しましょう。
現地を見に行く
「オーナーチェンジなので現地の視察は必要ない」という考えるオーナーもいますが、現地の確認は非常に重要です。物件の空室率や清掃の状態などは、実際に足を運ばないとなかなか正しい情報を掴めません。「販売価格は妥当か」という観点でしっかりチェックしましょう。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる