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サラリーマンは不動産投資のカモにされるって本当?失敗するパターンや対策

サリーマン投資家はカモにされる?

副業や資産形成の一環として不動産投資に興味を持つサラリーマンが増えています。しかし、その一方で不動産投資の知識や経験が不足しているがゆえに、悪徳業者のターゲットになってしまうケースも少なくありません。

サラリーマンが不動産投資で「カモ」にされないために知っておくべき情報や対策について詳しく解説します。

不動産投資は適切に行えば素晴らしい資産形成の手段となりますが、同時にリスクも伴います。これから不動産投資を始めようと考えているサラリーマンの方々、そして既に投資を始めている方々にとって、本コラムが「カモ」にされないための有益な指針となれば幸いです。

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サラリーマンがカモにされる理由

サラリーマンが不動産投資でカモにされるといわれる理由は、主に3つあります。

不動産投資や管理の知識が足りていない

不動産投資には、さまざまな知識や経験が求められます。物件ひとつを購入するにしても、物件の適正な価格を見極めるためには、周辺相場や物件そのものの価値を見極める目が必要です。

しかし多くのサラリーマン不動産投資家は素人に近く、物件購入や管理を適切に判断できる経験を持ち合わせていません。

本業の存在で不動産投資に専念できない

サラリーマンは、本業や家族の存在により不動産投資に専念できません。不動産投資では、購入後にもさまざまな管理業務が発生します。

たとえば、賃貸マンションの運営では、入居希望者の審査や契約締結、退去時の修繕工事実施など、オーナーが判断しなければならない事項は多くあります。

もちろん、多くの管理業務は不動産管理会社に委託できます。しかし、そういった委託コストを見込んでいない場合が多く、赤字経営の要因となります。

ローンが通りやすい

サラリーマンは社会的に高い信用性を持っているため、ローンが通りやすいです。

よほど自己資金を持つ人でない限り、不動産の購入にローンは必須です。サラリーマンは毎月の給与収入が安定して入ってくることから、ローン審査が通りやすい傾向にあります。

そのため、相場がわからず、業者にいわれるままに多額の資金を借り入れてしまう事態に陥ってしまいます。長期的な視点での資金計画ができておらず、結果的に赤字経営になるおそれがあります。

カモにされやすいサラリーマンの特徴

不動産投資の世界には、残念ながら投資初心者を狙う悪徳業者が存在します。特に、安定した収入があり、融資を受けやすいサラリーマンは格好のターゲットとなりやすいのです。カモにされやすいサラリーマンの特徴について詳しく見ていきましょう。これらの特徴を理解し、自身の状況を客観的に把握することが、リスクを回避する第一歩となります。

不動産投資に関する勉強不足

先述したように、知識不足のサラリーマンは格好のターゲットです。

多くのサラリーマンは、本業で忙しく不動産投資について十分な時間をかけて学ぶことができません。そのため、基本的な知識や市場動向に疎く、悪徳業者の甘い言葉に騙されやすくなります。不動産投資には、物件の選定から資金計画、税務、法律まで幅広い知識が必要です。これらの知識が不足していると、不利な条件での契約や、将来的なトラブルに巻き込まれるリスクが高まります。

たとえば、築年数の古い物件を「リノベーション済みで問題なし」と説明され、高額で購入してしまうケースがあります。しかし、実際には構造上の問題や設備の老朽化が隠されており、購入後に多額の修繕費用が発生するといったトラブルに遭遇することがあります。

高利回りに飛びつく傾向

安定した収入があるサラリーマンの中には、より高い利回りを求める人もいます。しかし、高利回りの物件には往々にしてリスクが伴うことを理解していないケースが多く、結果的に損失を被る可能性が高くなります。

たとえば「年利10%以上確実」といった触れ込みの物件に飛びついてしまうケースです。不動産市場において、このような高い利回りを安定的に得ることは非常に困難です。多くの場合、物件の欠陥や周辺環境の問題、あるいは市場の変動リスクが隠されています。

高利回りを追求するあまり、物件の質や将来性を軽視してしまうと、長期的には大きな損失を被る可能性があります。安定した収益を得るためには、適正な利回りと物件の質のバランスを考慮することが重要です。

運用・管理を丸投げにしてしまう

本業との両立を考えるサラリーマンは、運用や物件管理を全て業者に任せてしまいがちです。これにより、不適切な管理や過剰な手数料を請求されるリスクが高まります。

確かに、プロの管理会社に任せることで手間を省くことはできます。しかし、全てを任せきりにすると、不要なサービスの押し付けや、本来オーナーが負担する必要のない費用を請求されるなどのトラブルに巻き込まれる可能性があります。

たとえば、些細な修繕でも高額な費用を請求されたり、入居者の募集に関して必要以上の広告費を要求されたりするケースがあります。また、入居者とのトラブル対応を適切に行わず、結果的に物件の評判を落としてしまうこともあります。

管理を委託する場合でも、定期的に報告を受け、重要な決定には自ら関与するなど、ある程度の管理監督を行うことが大切です。

投資目的が不明確

「なんとなく資産を増やしたい」といった漠然とした目的で不動産投資を始めるサラリーマンも少なくありません。明確な目標がないため、自身のニーズに合わない物件を購入してしまう可能性があります。

老後の安定収入を目指すべきケースでハイリスク・ハイリターンの物件を購入してしまったり、逆に資産の急成長を目指すべきケースで利回りの低い安定物件に手を出してしまうといったケースです。

また、投資目的が不明確だと、市場の変動や予期せぬ出来事に対して適切な対応を取ることが難しくなります。家賃収入が一時的に減少した場合や、大規模修繕が必要になった場合など、どのような判断を下すべきかの基準が曖昧になってしまいます。

投資を始める前に、「老後の生活資金を確保したい」「子どもの教育資金を貯めたい」「5年後には不動産投資で独立したい」など、具体的な目標を設定することが重要です。目的が明確であれば、それに合わせた適切な投資戦略を立てることができます。

プロが感じる不動産投資でカモにされる人の共通点

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

これまで何の投資もしたことのない人が初めて不動産投資をやっちゃうってのが、カモにされる典型的なパターンですね。これは失敗しますよ、間違いなく。

株の売買とかFX、REIT、ファンドでもいいんですけど、そういう小規模な投資経験がないまま始めてしまう。投資の基本的な感覚がないまま、いきなり大きな金額の不動産投資に手を出しちゃう。

不動産投資って、ワンルームマンションでも、2,000万円とか2,500万円の物件を買って、毎月の賃料が入ってくるというものですから、お金の実態が見えにくいんです。初心者にはなおさら理解しづらい。

そもそも不動産って価格の透明性が低いんです。だから投資として正しいのか正しくないのかの判断ができない。投資経験がないからなおさら難しい。目隠しして夜道を歩いてるようなものです。

こういう人たちは、自分がカモにされてるって自覚がありません。むしろ、いい買い物をしたって思ってる。売るときになって初めて現実を知るんですね。「5年前に3,000万で買ったのに、なんで今2,000万なんだよ」って。そこで初めて騙されたことに気づくんです。もう手遅れなんですが・・・。

サラリーマンが不動産投資のカモにされた失敗例

知識がなく、管理についてもうるさく言ってこないサラリーマン不動産投資家は、絶好のカモとしてターゲットにされてしまいます。

サラリーマン不動産投資家がカモにされた失敗例を紹介します。

関連記事:ワンルームマンション投資は失敗して危険?赤字になるのは本当!?

物件を高値で買わされる

相場をわかっていないサラリーマン不動産投資家は、相場より高い不動産を買わされてしまうケースが多くあります。

なかでも新築のワンルームマンションや、欠陥が多い中古物件を知らずに高い値段で買わされてしまうケースはしばしば耳にします。

周辺相場を知り、適正価格を把握できる知識が必要といえます。

想定していなかったコストで赤字経営

サラリーマン不動産投資家の中には、不動産の管理にかかるコストも把握していない人がいます。購入後に想定していなかったコストが次々と発覚してしまい、赤字を抱えてしまうことがよくあります。

ちまたには、「家賃収入8万円、不動産ローン返済が8万円で毎月収支は0円ですが、ローンを完済する35年後には、家賃収入8万円が手に入りますよ。」といった勧誘で、ワンルームマンションの投資を誘引する会社があります。

しかしこの勧誘文句には、不動産投資にかかる固定資産税や管理費、修繕費などの各種コストや、経年劣化に伴う家賃収入の減少が見込まれていません。

そのため、知識の乏しい高所得のサラリーマンがカモにされてしまいます。

結果として、毎月のキャッシュフローが赤字の物件を購入してしまう被害が発生しています。

悪質なサブリース会社と契約してしまった

サラリーマン不動産投資家の場合、物件の自主管理は難しいです。そのため、必然的に管理会社への委託方式や、サブリース会社に一棟まるごと賃貸するサブリース方式を選択します。

しかし、中には悪質なサブリース会社に捕まるケースがあります。

サブリース方式は、一棟まるごとサブリース会社に賃貸して、サブリース会社が入居者に転貸するサービスです。オーナーはサブリース会社に賃料の約10~20%を手数料として支払い、管理や入居者募集などをすべて任せることができます。

管理委託方式と異なり、サブリース方式ではサブリース会社側が借家人として借地借家法で保護されます。そのため、オーナーからの契約解除が難しい傾向にあります。

中には、ずさんな物件の管理であるにも関わらず、家賃収入の20%をサブリース料として取られ、契約解除もできないというケースもあります。

信頼のおけるパートナーを選ぶ目も必要といえます。

関連記事:「サブリースが危ない」というのは本当? 注意すべきポイントとは

カモにされたサラリーマンは、カモられたことに気付かない

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

先ほども述べたように、カモにされた人は、その自覚がありません。売却するときに「こんな安いの?」ってびっくりして、初めて現実を知るんです。

5年前に3,000万円で買って、まだローンが2,800万円ぐらい残ってる。それを2,000万円で売るのであれば、売買代金と差し引いて残った800万円は持ち出しで支払わなければなりません。

売るときに初めて「あ、俺、カモにされてたんだ」と気付く。それまではむしろ「俺は投資をして長期的にちゃんと考えてる」って思っている人も多いでしょう。

 

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カモにされないための対策

前述のような特徴を持つサラリーマンが不動産投資のカモにされないためには、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、具体的な対策について詳しく解説します。これらの対策を実践することで、より安全で成功の可能性の高い不動産投資を行うことができるでしょう。

知識を身に着ける

カモにされないためには、不動産投資に関する知識を身に着けることが重要です。

特に身につけておかなければならないのは、不動産投資を始めてみないとわからない、コスト面に関する知識です。

初期費用とランニングコストにどういったものがあり、どれだけかかるのかを試算しましょう。不動産仲介会社の提案してくる表面利回りが、実際にどれだけ下がるのかを確認できます。

費用の一覧は以下のとおりです。

初期費用

概要
建物にかかる消費税  新築の建物を法人から購入する場合にかかる

土地、売主が個人である中古建物は非課税

不動産取得税  不動産を取得した者に対して課される税

「取得した不動産の固定資産評価額 × 税率4%」(土地と住宅については、2024年3月31日まで軽減税率3%)がかかる

印紙税 不動産の売買契約書やローンの金銭消費貸借契約書に課税される
住宅ローンにかかる各種手数料(ローンを借りる場合) 利用する金融機関により、団体信用保険の掛け金や融資手数料、保証会社手数料などが発生する
火災・地震保険料 火事や水害などの自然災害が発生した際に保険金が下りる火災保険や地震保険の掛け金も発生する
水道加入負担金  水道利用申込の際に水道局に支払うお金

地方公共団体(自治体)により負担する金額は異なるため、物件のある水道局に確認が必要

ランニングコスト

概要
所得税・住民税 不動産収入に対してかかる
固定資産税 所有している不動産に対して毎年発生する

固定資産税評価額の1.4%が課税される

都市計画税 都市計画区域に物件がある場合にかかる

固定資産税評価額の0.3%が課税される

管理委託費 家賃収入の約5%が相場
サブリース料 管理委託とは別で、物件そのものをサブリース会社に一棟丸ごと貸すサブリース方式の場合にかかる

家賃収入の約10〜20%が相場

ローンの支払手数料 毎月のローンの支払手数料
建物の定期検査・メンテナンス代 エレベーターや受電装置など、設備が多いほどそれに対応した定期検査が必要
修繕費 建物で日常的に発生する小規模な修繕だけでなく、数十年に1度の大規模修繕についてのコストがかかる

不動産投資にはこのように、たくさんのコストが発生します。

不動産投資をする際は、必ずこれらのコストを具体的に試算したシミュレーションを作成して、収支を自分の目で確かめましょう。経年劣化による家賃収入の減少も織り込む必要があります。

そうすれば、どんな物件も適正な価格で判断できるようになり、カモにされることもないでしょう。

不動産投資に専念する時間が設けられるか確認する

不動産投資に専念する時間が設けられるか、確認することも大切です。

不労所得のイメージが強い不動産投資ですが、実際には日々物件の市場価値や流行は変動します。利回りをよくするためには、長い時間をかけて物件の研究を重ねる必要があります。

また、自らの物件を適切に管理できるほど面倒を見ることができるのかを考えましょう。サラリーマンの場合、本職があるため自主管理は難しいでしょう。

不動産管理会社に管理を委託するため、長い期間任せられるような信頼できるパートナーを見つける必要があります。

物件選びを慎重に行う

急いで決断せず、物件の立地、築年数、周辺環境、将来性などを十分に調査しましょう。可能であれば、不動産投資の経験者や専門家にセカンドオピニオンを求めることも効果的です。

物件選びは不動産投資の成功を左右する最も重要な要素の一つです。立地条件、築年数と建物の状態、賃料相場、将来性、競合物件などを慎重に検討する必要があります。

立地条件を評価する際は、交通の便、周辺の施設(学校、病院、商業施設など)、治安などを確認します。築年数が古い場合は、将来的な修繕費用を考慮に入れる必要があります。また、周辺エリアの賃料相場を調べ、適正な家賃設定が可能かどうかを確認することも重要です。

さらに、再開発計画や人口動態など、エリアの将来性を調査することで、長期的な投資価値を見極めることができます。周辺の競合物件の状況を把握し、差別化が可能かどうかを検討することも大切です。

物件の内覧は必ず行うようにしましょう。写真やバーチャルツアーだけでは分からない細かな点を確認することができます。可能であれば、平日と休日の両方で内覧し、周辺の騒音や人の流れなども確認するとよいでしょう。

複数の不動産会社に相談する

一社だけでなく、複数の不動産会社に相談することで、より多くの選択肢と情報を得ることができます。各社の提案を比較検討し、最適な選択をすることが大切です。

複数の不動産会社に相談することで、物件情報の幅が広がり、より多くの選択肢から最適な物件を見つけることができます。また、相場観が養えるというメリットもあります。複数の会社の提案を比較することで、適正な価格や条件が分かりやすくなります。

さらに、各社の特徴や強みが分かるのも大きなメリットです。不動産会社によって得意とする物件タイプや地域が異なることがあります。複数社と話すことで、自分のニーズに最も合う会社を見つけることができます。

また、複数の選択肢があることで、条件交渉を有利に進めることができるという側面もあります。ただし、多くの会社に相談しすぎると情報整理が大変になる可能性があります。3〜5社程度に絞って相談するのが効果的でしょう。

契約内容を細かくチェックする

契約書の内容を隅々まで確認し、不明な点があれば必ず質問しましょう。特に、金利、返済期間、諸費用、解約条件などの重要事項については十分に理解した上で契約を結ぶことが重要です。

契約書チェックの際は、物件の詳細情報、価格と支払い条件、融資条件、特約事項、瑕疵担保責任、引き渡し条件などを特に注意深く確認する必要があります。

物件の詳細情報では、住所、面積、設備などが正確に記載されているか確認します。価格と支払い条件では、売買価格、手付金、残金支払いのスケジュールなどを確認します。融資条件では、金利、返済期間、返済方法などを確認します。

特約事項では、修繕義務、用途制限、解約条件などの特別な取り決めがないか確認します。瑕疵担保責任では、物件に隠れた瑕疵があった場合の責任範囲を確認します。引き渡し条件では、物件の引き渡し日時や条件を確認します。

契約書の内容が難しく感じられる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

これらの対策を実践することで、不動産投資のリスクを大幅に減らすことができます。しかし、こうした対策を講じても、完全に悪徳業者を避けることは難しい場合があります。次のセクションでは、悪徳業者の特徴と見分け方について詳しく見ていきましょう。

カモられないために、投資家が取り組むこと

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

カモにされないためにはどうすれば良いのか。よく聞かれます。私はそういった人に、「自分が本当に不動産投資に興味関心があるかを試す」ことをすすめています。

例えば、不動産投資系の本を何十冊も読んでみる。それでも興味関心が続くかどうかです。数冊読んで「もういいや、面白くない。飽きちゃった」って思ってしまう人はやらない方がいい。だってそんな簡単に儲かるはずないんだから。不動産投資を舐めちゃいけません。

「勉強しても勉強してもまだまだ面白い」と思える人、興味関心が続く人はいいでしょう。一番大事なのは自分の興味関心が続くかどうか。

不動産投資において収支がうまくいくというのは副産物なんです。勉強して、興味関心があるからうまくいく。何もしないで楽して儲けようという考えではうまくいかない。

だから、まずは自分が本当に不動産投資に向いているか、興味が続くかを確認すること。それが一番大事です。

 

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悪徳業者の特徴と見分け方

不動産投資を行う上で、信頼できる業者と取引することは非常に重要です。しかし、残念ながら市場には悪徳業者も存在し、彼らはしばしば初心者投資家をターゲットにします。ここでは、悪徳業者の典型的な特徴と、それらを見分けるためのポイントについて解説します。

断定的な言い方や高圧的な態度

「必ず儲かる」「今がチャンス」といった断定的な言い方や、威圧的な態度で購入を迫ってくる業者は避けるべきです。不動産投資にはリスクが伴うものであり、確実な利益を約束することはできません。

悪徳業者に多く見られる言動には、「この物件なら絶対に損しません」「今買わないと一生後悔しますよ」「うちの会社の物件だけ特別に値引きします」「あなたならきっと成功します」などがあります。このような断定的な言い方や、過度に楽観的な見通しを示す業者には要注意です。

正直で信頼できる業者であれば、不動産投資に伴うリスクについても説明し、投資家自身に判断を委ねるはずです。また、高圧的な態度で契約を急がせたり、威圧的な言動で投資家を不安にさせたりする業者も避けるべきです。不動産投資は大きな決断であり、十分な検討時間を与えてくれる業者を選ぶことが重要です。

リスクの説明が不十分

物件の良い面ばかりを強調し、リスクについての説明が不十分な業者は信頼できません。正直な業者であれば、メリットだけでなくデメリットやリスクについても丁寧に説明するは

ずです。

信頼できる業者は、以下のようなリスクについても明確に説明するはずです。

  • 空室リスク:入居者が見つからない期間の家賃収入の損失
  • 金利上昇リスク:変動金利ローンの場合の返済額増加の可能性
  • 物件価値下落リスク:将来的な売却時の損失可能性
  • 修繕・メンテナンスコスト:予期せぬ修繕費用の発生可能性
  • 税制変更リスク:不動産関連の税制が変更された場合の影響

これらのリスクについて十分な説明がない場合や、「そんなリスクは気にする必要はない」といった態度を取る業者には注意が必要です。

購入を急かす

「今日中に決めないと他の人に売れてしまう」などと言って購入を急かす業者には注意が必要です。慎重に検討する時間を与えない業者は、顧客の利益よりも自社の利益を優先している可能性が高いです。

不動産投資は長期的な視点で行うべきものです。数日や数週間の検討期間を設けることは、投資家にとって当然の権利です。信頼できる業者であれば、十分な検討時間を与え、疑問点についても丁寧に回答してくれるはずです。

また、「今なら特別価格」「限定3名様」といった、緊急性を煽る販売手法にも要注意です。こうした手法は、冷静な判断を妨げる可能性があります。

過去の行政処分歴

国土交通省や各都道府県のウェブサイトで、不動産業者の行政処分歴を確認することができます。過去に処分を受けている業者とは取引を避けるのが賢明です。

行政処分の内容には以下のようなものがあります

  • 指示処分
  • 業務停止処分
  • 免許取消処分

これらの処分を受けている業者は、法令違反や不適切な業務行為を行った可能性が高いです。特に、業務停止命令や登録取消といった重い処分を受けている業者とは取引を避けるべきでしょう。

また、インターネット上の口コミサイトやSNSで、その業者に関する評判や過去のトラブル事例を調べることも有効です。ただし、インターネット上の情報には偏りがある可能性もあるので、複数の情報源を確認し、総合的に判断することが大切です。

悪徳業者を完全に避けることは難しいかもしれませんが、これらの特徴を知り、慎重に業者を選ぶことで、リスクを大幅に減らすことができます。不動産投資は大きな決断です。焦らず、十分な情報収集と検討を行った上で、信頼できる業者と取引を行うようにしましょう。

すでに被害に遭ってしまった場合は?

サラリーマン不動産投資家がすでにカモにされるような被害にあってしまった場合、どう対処すればよいのでしょうか。

弁護士に相談する

周辺相場より高い不動産を購入させられたからといって、不動産会社を訴えることはできません。

適法な手続きで売買契約を締結しているため、引き渡しを受けた後は、その不動産をうまく活用していくしかないでしょう。

しかし、相手方の不法行為が疑われるような場合は、損害賠償請求などが可能なこともあります。

たとえば、中古物件において説明されていない欠陥が発見した場合、条件に適合すれば、売主に対して損害賠償や契約の解除を要求できることもあります。

弁護士にしか扱えないトラブルもあるため、弁護士に相談してみましょう。

不動産管理会社を変更する

自らの物件の管理を依頼している不動産管理会社からカモにされている場合は、契約に則って解約手続きを行いましょう。

管理業務委託契約の場合は、原則3カ月前の予告で解約することが可能です。

しかし、サブリース契約の場合は注意が必要です。前述したとおり、サブリース契約では借主であるサブリース会社は借地借家法で保護されるため、オーナーからの解約は難しいです。

サブリース契約書の内容を確認しながら、弁護士などと相談して解約の交渉をしましょう。

投資物件を売却する

所有している投資物件を、早い段階で売却してしまうのもひとつの選択肢です。

一度高い物件を購入してしまったら、あとはその物件をうまく収益化させるしかありません。収益化のめどが立たない場合は、赤字が累積しないうちに売却し、損切りするのも手といえるでしょう。

なお、不動産会社によって、扱う物件の得意不得意があります。そのため、投資物件を売却する際は、投資物件に特化した不動産会社に相談することをおすすめします。

カモられた物件は売りにくい?

伊藤幸弘(株)TOCHU
代表取締役
伊藤幸弘

カモにされた人が買った物件は、売りにくいケースが多いですね。そもそも売主が適正価格で買っていないからです。

本当は2,000万円の価値しかない物件を3,000万円で買わされている。で、5年経って売ろうとしても、市場価格は2,000万以下になっているので、当然売りにくいですよ。

売主は残債の持ち出しが用意できなければ売れないので、難易度は高いですね。

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コラム監修

コラム監修

伊藤幸弘  

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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