投資マンション失敗
不動産投資は割に合わない投資方法なのか。収益が見込めない場合の対処方法も解説
資産運用や将来の生活不安を解消することを目的に、不動産投資を始める人がいますが、当然ながら不動産投資には危険やリスクはつきものです。
一部では「割に合わない」といった声を聞くケースもあります。今回は、不動産投資がなぜ割に合わないのか、収益を見込めない際の対処法についても紹介します。
目次
不動産投資は割に合わないと感じる人が多い
不動産投資は手間をかけずに安定した収入が得られる手段として、特に仕事に忙しいサラリーマンや、年金を補填したいシニアの方に人気のある投資法です。しかし、いざ始めてみると、思ったより出費やリスクが多く、割に合わないと感じる人も多いようです。
不動産投資の持つリスクや問題を以下にご紹介します。
多額の借り入れの割に手残りが少ない
不動産投資を始める際には、ほぼ間違いなくローンを組むことになります。不動産投資はローンを利用することで、自己資金での投資を超えた収益を得られる、レバレッジ効果(てこの効果)が高い点がメリットであるといわれています。
しかし実際は、借り入れの割に思ったような収益が得られないケースも少なくありません。
例えば、以下のような条件でマンションを購入したとします。
購入したマンション | |
購入価格 | 3,500万円 |
立地 | 東京都品川区
都営浅草線「中延」徒歩1分 |
築年数 | 新築 |
間取り | ワンルーム |
ローンの条件 | |
頭金 | 500万円 |
借入額 | 3,000万円 |
金利 | 2.0%(固定金利) |
返済期間 | 35年 |
23区内駅近、新築という好物件であったため、入居者をすぐに見つけることができそうです。では、この物件で運用を行うと、収支はどのようになるのでしょうか。
収入 | |
家賃収入 | 85,000円 |
支出 | |
ローン返済 | 99,378円 |
管理手数料 | 3,000円 |
建物管理費 | 6,000円 |
修繕積立金 | 3,500円 |
収支 | -26,878円 |
なんと、月2万6,000円もの赤字になってしまいました。
さらに固定資産税や広告費がかかることを考えると、赤字はさらに膨らみます。
このように、不動産投資は多額の借り入れの割に手残りが少なく、場合によっては赤字になることもありえます。
※上記はあくまで一例です。物件価格や家賃、経費、ローンのプランなどは条件によって異なるため、上記例のような運用結果になるとは限りません。
修繕費や広告料などなんだかんだと持ち出しが多い
不動産投資をする際には、ローンの返済以外にも様々な経費がかかります。
まず、固定資産税や都市計画税などの納付が必要です。
また、区分マンションの場合は修繕積立金や管理費など、管理組合に支払う経費がかさみます。それに加え、専有部分の修繕は自身で行わなければならならず、設備の交換時期などには多額の出費が生じます。
さらに、入居者付けをするために広告費が必要になる場合があります。広告費は契約締結時に支払うもので、相場は家賃1ヵ月分と決して安くはありません。
このように、不動産投資は所有しているだけで多種多様な持ち出しが生じます。たとえ経費に計上できたとしても、収支が赤字になるのでは意味がありません。
不動産投資はミドルリスクと言うが空室や滞納、災害、家賃下落など様々なリスクがある
不動産投資は長期的に安定した利益が望める、ミドルリスク・ミドルリターンの投資といわれています。しかし、不動産という現物を扱う投資であるため、他の投資法にはない以下のようなリスクがあります。
空室リスク
空室が生じる(入居者がいない)ことで、賃貸収入が減ってしまうリスクを指します。特に区分マンションを一室しか所有していない場合、借り手がいないと収入は0になります。
家賃滞納リスク
たとえ入居者が見つかったとしても、家賃を滞納されてしまうと利益を得られません。また、入居者がいる以上他の入居者を新たに募集できないため、安定した家賃収入を得られる機会を失ってしまいます。
家賃低下リスク
物件は経年劣化によって価値が下がり、家賃も低下します。特に新築マンションを購入した場合、新築時と同じ家賃を維持するのは困難です。
その結果家賃が低下し、収益が減ってしまいます。
災害リスク
地震や火災などの災害により物件の倒壊や汚損が生じた場合、資産価値は一気に下がります。修繕や立替に費用がかかるため、赤字が大きくなります。
不動産投資は割に合わないと思ったらどうするべきか
不動産投資を始めたのは良いものの、意外と利益が少なく割に合わないと思った場合、どうすれば良いのでしょうか。対処法をいくつかご紹介します。
スケールメリットを目指して物件を増やす
スケールメリットとは、投資の規模を拡大することで得られる効果のことで、不動産投資においては所有物件の数を増やすことを指します。所有物件を増やすことで、以下のようなスケールメリットを享受できます。
まとめて依頼することで、1件あたりの管理費や修繕費を減らす
所有物件の数が多いと、まとめて管理や修繕を委託できるため、値引き交渉がしやすくなります。その結果経費を減らし、全体のキャッシュフローを改善できる可能性があります。
空室リスクや災害リスクを軽減させる
物件を複数所有していれば、空室が出たとしても、他の物件の家賃収入で穴埋めができます。
また、複数エリアに分けて物件を所有することで、一つのエリアで災害が発生した場合も、資産を全て失うことは避けられます。
このように、投資先を分散させることでリスクを軽減させることができます。
サブリース会社を探す
安定した不動産投資を望むのであれば、サブリース会社を利用するのも一手です。サブリース会社は物件を借り上げて賃貸経営を行い、オーナーに賃料を支払います。
サブリース契約を結べば、空室や家賃滞納の有無に関わらず一定の賃料が手に入ります。また、広告費や修繕費は基本的にサブリース会社の負担となるため、持ち出しを減らすこともできます。
上記の理由から、サブリース会社を利用することで収支改善が期待できます。
しかし、サブリースで得られる賃料は、満室時の不動産収入の80~90%程度です。また、賃料は定期的に見直されるため、家賃を下げられ、赤字になってしまうケースもあるため注意が必要です。
不動産を売ってREITを買う
賃貸経営はもうやりたくない、でも不動産への投資はしたいならば、不動産を売却してREITを購入するのも選択肢の一つです。
REITは不動産に投資できる金融商品です。REITによって集められた資金はオフィスビルや商業施設の購入、運用に当てられ、そこから生じた賃貸収入や売却益が投資家に分配されます。
現物の不動産投資とは異なり、不動産の運用は投資法人が行うので、物件管理の手間がかかりません。金融商品であるため、少額から始められ、すぐに現金化できる点も大きなメリットです。
不動産投資は割に合わないなら売却も一手
不動産投資は独特の出費やリスクも多く、思うように収益が出ないどころか収支がマイナスになってしまうこともあります。割に合わないと感じた場合は、思い切って売却してしまうのも一つの手段です。
しかし、不動産は金融商品とは異なり、現金化がしづらいという特徴があります。買手がいなければ売れないため、仲介業者に依頼してから実際に売却できるまでに、3ヵ月~半年以上かかることもあるという点も理解しておきましょう。
素早く売却するなら買取業者を探そう
先ほどご紹介したとおり、仲介業者に不動産売却を依頼した場合、買手が見つかるまでに時間を要します。特に収益性の低い物件はより買手が見つかりづらく、なかなか処分できません。
不動産投資をやめたいから物件を売却したいのに、売れないため他の投資もできず、赤字ばかりが膨らむ……そのような場合は、買取業者に売却するのも一手です。
買取業者は不動産オーナーから直接物件を買い取るため、早い場合数日程度で売却が完了し、現金を手にできます。
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