投資マンションローン
退職金は住宅ローン返済にあてるべき?一括返済の方法や投資ローンのケースも紹介
定年退職をして得た退職金を住宅ローンの返済にあてようと考える方は多いのではないでしょうか。
まとまったお金があるうちに住宅ローンの返済をしてしまえば、トータルで返済する額は減らすことができます。しかし、一方で老後の生活に影響があるため、注意が必要です。
今回は、退職金で住宅ローンを返済するメリットや具体的な方法を紹介します。また、不動産投資ローンを組んでいる人向けの解説もします。
目次
退職金で住宅ローンの返済をすると?
退職金を住宅ローンの返済にあてるとどのような影響があるのでしょうか。メリットやデメリットを理解しておきましょう。
総返済額を減らすことができる
退職金を使って住宅ローンの残債を繰り上げ返済する最大のメリットは、総返済額を減らせることです。
住宅ローンを借りているとき、月々の返済があるだけでなく、そこには金利負担が生じています。
残債がなくなることで、この先、負担するはずだった金利がなくなります。そのため、トータルで返済する額は、もともと予定していた返済期間を使って返済する場合よりも少なくなります。
特に変動金利で借り入れている場合は、この先、経済状況の変化によって高金利になり金利負担が増すおそれがあります。そのため、金利上昇が予測される場合、繰り上げ返済を行うメリットは大きいでしょう。
毎月の返済の負担がなくなる
当然のことながら、住宅ローンを返し終えてしまえば、もう返済に追われることはありません。心理的な負担もかなり軽くなるでしょう。
退職金で全額ではなく一部のみ返済する場合でも、残債が減ると毎月の返済額は少なくなるため、それだけ生活に余裕が生まれます。
老後の生活が苦しくなるリスクも
退職金を住宅ローン返済にあてると、手持ちの現預金がなくなってしまうというデメリットがあります。
退職金は本来、老後の生活資金として使うべきものです。それを住宅ローンの返済に使ってしまえば、老後の資金づくりの資金源を失います。
住宅ローンを組むときは、綿密なシミュレーションを行い、返済計画を立てます。
そのため、たとえば35年ローンを組むと「35年間もの時間をかけて返済する」と考えてしまいがちです。しかし、逆にいえば「35年間は全額返さなくてもよい」という意味でもあります。これをローンの「期限の利益」といいます。
住宅ローンは金利負担がありますが、様々なローン商品の中では、金利が高いほうではありません。
無理して返すよりは、予定通りの返済を続けながら、退職金は老後資金のために運用したほうがよい結果になる可能性があることを理解しておきましょう。
「団信」の保障にも注意
住宅ローンを組んでいる人は、団体信用生命保険(通称:団信)に加入します。
これは、借り手に、もしものことがあった場合、団信の保険金により住宅ーンが完済される仕組みです。これにより、遺族が家を失ったり、住宅ローンが残って困ったりしません。
団信に付いているのは、死亡保障だけではありません。たとえば、借り手ががんと診断されたら以後の住宅ローン返済が免除されるなどの、医療保障が付いていることもあります。
団信の保険料は住宅ローンの金利に含まれていますが、一般の生命保険よりも保証内容が優秀なことも多いです。
住宅ローンを完済すると、団信の契約も終了します。そのため、内容が充実した団信に加入している場合は、「ちょっともったいない」と感じられるケースがあります。
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退職金で住宅ローンを返済する方法
退職金で住宅ローンを返済する方法は、以下の2パターンあります。
- 残債の全額を返済する
- 一部だけを返済する
それぞれの特徴を確認して、より自分に合った方法を選びましょう。
全額繰り上げ返済
全額を繰り上げ返済すると、住宅ローンの返済から完全に解放されます。前述したとおり、月々の返済がなくなるのはもちろん、今後の金利負担もなくなります。
反面、退職金のかなりの部分(または全額)を住宅ローンの返済に使ってしまうことになるため、手元に残るお金は少なくなります。
一部繰り上げ返済
全額を返済するのではなく、一部を返済するという方法もあります。たとえば、残債が1,000万円あるうちの500万円分だけを返済するというやり方です。
住宅ローンを完全には返すわけではないので、繰り上げ返済後も、月々の返済は続きます。
しかし、元本が減ったことに応じて、一回の返済額は下がり、金利負担も軽くなります。繰り上げ返済しなかった場合に比べれば、負担は軽減されます。
また、ローンは継続しているので、団信の保障にも影響はありません。
退職金でいえば、全額を返済する場合よりは、手元にお金を残しておけるというメリットがあります。つまり、全額繰り上げ返済と、繰り上げ返済を行わないことの、折衷案といえるでしょう。
返済額軽減型と期間短縮型
一部繰り上げ返済の場合、さらに2種類に分けられます。
- 返済額軽減型
- 期間短縮型
これらは一部返済を行った場合に、その効果を、今後の住宅ローンにどのように反映するかが違います。
返済額軽減型は、繰り上げ返済によって、今後の返済額を下げる方法です。返済の負担を軽くすることに主眼を置いた方法といえるでしょう。
対して、期間短縮型の返済は、返済額を変えずに、返済期間を短くする方法です。月々の負担は変わりませんが、より早く払い終えることができるので、長期的な負担がなくなります。
返済方法の選び方
どのような返済方法を選べばよいのかは、状況や目的によって異なります。
全額返済か一部返済かどちらがよいかは、双方のメリットとデメリットを比較しつつ、変動か固定かの金利タイプと今後の金利をどう予測するかを考えてみましょう。
- 今後、金利が下がると予測され、変動金利で借りている
- 今後、金利が上がると予測され、それより低い固定金利で借りている
上記の場合は、金利面で有利となり、住宅ローンを続けてよいと考えられます。そのため、一部返済にとどめて、手持ちのお金を残したほうがよいでしょう。
返済額軽減型と期間短縮型のどちらがよいかは、月々の負担を抑えたいのか、完済時期を早めたいのか、どちらを重視するかによるでしょう。
- 今後、金利が上がると予測され、変動金利で借りている
- 今後、金利が下がると予測され、それより高い固定金利で借りている
上記の場合は、返済額軽減型のほうがメリットが大きいでしょう。
不動産投資ローンの場合は?
ここまで、居住用の住宅ローンについて考えてきました。しかし中には、投資用物件のためにローンを組んでいる方もいるでしょう。
不動産投資ローンの返済には、退職金を使うべきなのでしょうか。不動産投資ローンの特徴から考えてみましょう。
住宅ローンと不動産投資ローンの違い
不動産投資ローンと住宅ローンの、ローン商品としての違いについて、確認しておきましょう。
どちらも、不動産を購入するためのローン商品という点では同じものです。
ただし、不動産投資ローンの対象となる物件は、自分で住むのではなく、人に賃貸して収益を上げることが目的の投資用不動産です。
そのため、以下の点が異なります。
- 借入限度額
- 金利
- 年齢制限
- 審査内容
借入限度額
住宅ローンは、現在の収入から返済できる範囲で考えられるのに対し、不動産投資ローンは本人の収入に加え物件から得られる収益も加味されます。
そのため、住宅ローンより不動産投資ローンのほうが借入限度額が高いです。
金利
不動産投資ローンには事業性があり、貸し手である金融機関からするとリスクが高いです。
そのため、住宅ローンより不動産投資ローンのほうが金利は高いです。
年齢制限
不動産投資ローンのほうが制限がゆるやかです。ただし、完済年齢の決まりはあるので、あまり高年齢だと借入額などに影響します。
審査内容
不動産投資ローンのほうが審査は厳しめです。事業性があるので、物件の収益性についても、金融機関からのチェックが入ります。
退職金を使った不動産投資ローンの繰り上げ返済
住宅ローンとの違いを押さえたうえで、退職金を使った繰り上げ返済について考えてみましょう。
不動産投資ローンは住宅ローンよりも高金利であるため、繰り上げ返済をしたときの負担軽減効果は大きいです。そのため、住宅ローンに比べて繰り上げ返済のメリットが大きく、可能ならやったほうがよいといえます。
しかし、手元にお金が残らないという繰り上げ返済のデメリットは、住宅ローンと同様にあるため、慎重に判断すべきでしょう。
そもそも、不動産投資ローンは収益物件を所有するために組むものです。その物件が順調に収益を上げているのであれば、不動産投資ローンの返済が負担ではないはずです。
不動産投資ローンの返済が負担である場合、物件の収益が悪いといえます。そのため、繰り上げ返済よりも、売却を検討したほうがよいことがあります。
早めに売却を検討しよう
不動産投資ローンの返済が難しい、難しくなることが予想できている場合は、早めに売却することを検討しましょう。
繰り上げ返済をしてしまうのもひとつの方法ではあります。しかし、投資用物件は管理や維持に費用がかかります。そのため、収益性が悪化すると、ローン返済がなかったとしてもマイナスの資産になってしまいます。
給与収入のなくなった老後に、マイナスの資産を所有し続けるリスクは非常に高いため、売れるうちに売ってしまうことをおすすめします。不動産の価値は一定ではないので、いつ売るかという出口戦略が重要です。
また、投資物件を売却するときは、少しでも高く売ることが大切です。物件の購入費用などの支出より、収益と売却金額の合計金額が上回れば、結果的に不動産投資は成功といえるでしょう。
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