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公務員の不動産投資。許可が必要・不要なケースをわかりやすく紹介
公務員に人気の不動産投資ですが、副業の禁止規制があることから敬遠している方も多いようです。しかし、規制内容はそう難しいものではなく、厳しいものでもありません。
ここでは、公務員が不動産投資を行う条件や許可の可否についてわかりやすく解説します。
目次
公務員が許可なしで不動産投資を行えるケース
公務員の副業禁止に関する規定は国家公務員法、地方公務員法いずれにも盛り込まれています。まずはその条文をご紹介しましょう。
職員は、商業、工業又は金融業その他営利目的とする私企業(以下営利企業という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
国家公務員法 第103条第1項(私企業からの隔離)
職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
地方公務員法 第38条第1項 (営利企業への従事等の制限)
上記の規定に加え、副業禁止を裏付ける内容が国家公務員法・地方公務員法ともに盛り込まれています。
- 信用失墜行為の禁止:公務員全体の信用を傷つけ、不名誉となるようなことをしてはならない
- 守秘義務:職務上知りえた秘密をもらしてはならない
- 職務専念の義務:自分の職務に専念し、職務に支障がでる行為も控えなければならない
しかし、不動産投資に関しては一定の条件を満たしていれば、副業に該当しないとされています。それでは、公務員が許可なしで不動産投資を行えるケースを詳しく解説していきます。
年間の家賃収入が500万円未満
副業に当たらない不動産投資の条件のひとつに、「年間の家賃収入が500万円未満」というものがあります。ここで注意したいのが、「年間の収益」ではなく「家賃収入」が基準となっている点です。
たとえば、年間の家賃収入が500万円、経費が450万円とすると、年間の収益は50万円にしかなりません。「この程度の収入なら問題ないだろう」と思われるかもしれませんが、家賃収入が500万円以上になっている時点で規則に抵触してしまいます。また、「以下」ではなく「未満」であるという点も見落とさないようにしましょう。
不動産投資の規模が5棟10室未満である
副業に当たらない条件としてもう一点挙げられるのが、「不動産投資の規模の大きさ」です。
戸建てであれば5棟以上、マンションなどの区分所有であれば10室以上になると事業的規模と見なされ、副業扱いになってしまいます。なお、駐車場投資に関しても規定があり、10台以下とされています。
ここで注意したいのが、複合的に不動産投資をしている場合の計算法です。
それぞれの種類ごとに計算するのではなく、戸建ては1戸を2室、駐車場は1台1室に換算しなければなりませんので、間違えないようにしましょう。
たとえば、戸建て1戸、マンション4室、駐車場4台を所有しているとします。
棟数、部屋数ともに5棟10室の基準を満たしていないため、副業に当たらないと思うかもしれません。駐車場の台数も一見クリアしているようです。しかし、上記の計算に当てはめると10室になり、事業的規模と見なされてしまいます。
管理業務の委託
最後の条件は、「物件の管理業務をすべて管理会社に委託すること」です。
先ほどご紹介したとおり、公務員には職務専念の義務があります。自身で不動産管理業務を行うと、本業に支障が出ると見なされ、義務違反に該当してしまうのです。この場合の「管理業務」とは、入居者募集や家賃の集金、不動産の維持管理など、不動産投資に関わるすべての業務を指します。
こうした業務を管理会社に委託することで、本来の業務に支障が出ないことを明らかにしなくてはなりません。
地方公務員の場合は?
上記の規定は国家公務員を対象に定められたものですが、基本的には地方公務員も同様の規定を守る必要があります。ただし、地方自治体によっては異なる規定が設けられている場合もありますので、必ず確認しましょう。
許可があれば条件を超えての不動産投資も可能
上記でご紹介したとおり、上記の条件を満たせば、不動産投資は許可なしで行えます。
では、上記の条件に収まらない不動産投資は禁止されているか、というと必ずしもそうではありません。きちんと手続きを踏めば、許可が下りる可能性はあります。条件を超えて不動産投資をする場合の注意点について解説しましょう。
許可が下りるケース
条件を超えて不動産投資を行う場合でも、以下のようなケースは許可が下りやすい傾向にあります。
不動産を相続した場合
相続により条件を超えての不動産投資を行うことになった場合は、許可は下りやすいといえます。規則に反しているからといって相続放棄や不動産の売却を強要することができないためです。
自宅を賃貸に出す場合
転勤や引っ越し、結婚などで持ち家が空き家になったため、人に貸し出して収入を得るというのも、比較的許可が下りやすいケースです。ローンを抱えており人に貸さないと返済ができないということもありますので、許可を出さざるをえないというのがその理由です。
このように、やむをえない理由で不動産投資を行う場合は、条件を超えても申請をすれば、多くの場合許可を得られます。しかし、最初から家賃収入を得る目的で不動産を購入する場合は、許可が下りなかったり、許可が下りるまでに時間がかかったりすることもあるようです。
とはいえ、公務員の副業は規制緩和の方向にあります。正しく許可申請を出し、本業に支障がないことを理解してもらえれば、許可申請が通る可能性は大いにあります。
申請を出すタイミング
先ほどご紹介したとおり、許可申請を出したからといってすぐに許可が下りるわけではありません。許可が得られないまま不動産投資を始めてしまうと、処罰の対象になることもあります。
申請は所属部署に相談し、申請書様式や許可に関する条件などを確認することでスムーズに行えます。また、異動になったり、不動産投資の内容や規模が変更になったりした際には、その都度承認を得なくてはなりません。
せっかく許可を得たのに、その後の報告や申請を怠ったがために処罰の対象になってしまわないように気をつけましょう。
許可なしで条件を超えての不動産投資をしていたら?
許可なしで不動産投資をしていた場合、副業と同じく罰則が課される場合があります。
不動産投資を行っていた公務員が処罰された事例としては、年間数千万円の家賃収入を得ながら申請をしておらず、なおかつ業務用のパソコンから私的なメールを1万5,000通以上も送ったことから、停職6カ月および降格という重い処分を受けたというものがあるようです。
公務員の多くが不動産投資をするわけ
これまでご紹介したように、公務員が不動産投資をするためにはさまざまな規定をクリアしなければなりません。
しかし、それでも数多くの公務員が資産形成の手段として不動産投資を行っています。その主な理由をご紹介します。
融資審査に通りやすい
不動産購入には多額の資金が必要になるため、ローンを組むケースがほとんどです。
不動産投資ローンの審査に通過するためには、不動産そのものの収益性に加え、本人の属性評価も重要です。属性とは、債務者の職業や年収、預金といった個人情報のことで、これを基準にして融資額が決定されます。
公務員は安定した収入があるうえ、社会的信用性の高い職業であることから、属性に関して高い評価を受けられます。そのため融資審査に通りやすいという強みがあります。
管理・運用に手間がかからない
不動産投資では、基本的に不動産の管理・運用を管理会社に任せます。優秀な管理会社であれば、きめ細やかなサポートをしてくれるので、不動産を持っていることすら忘れてしまうほど何もする必要がありません。
本来の業務に支障を及ぼさないため、フルタイムで働きながら不動産投資を行うことが可能です。
安定した収入が得られる
不動産はFXや暗号資産のように価値が短期間で変動することはありません。一攫千金は望めませんが、長期的に安定した収入が得られます。
価格変動が大きい金融商品は、値動きを常に追い、適切なタイミングで売買を行わなくてはなりません。商品の選定やタイミングを誤ると大きな損失につながるため、心配で仕事に集中できない、という事態も起こりえます。その点、不動産投資は値動きを心配する必要がありません。運用も管理会社に任せられるため、手間をかけずに安定した収入が望めます。値動きに一喜一憂することもなく、仕事に集中することが可能です。
上記の理由から、公務員と不動産投資の相性はとてもよいといえます。しかし、初心者の方からすると、不動産投資は物件選定や契約締結などしなければならないことが山積みで、ハードルが高く感じられるかもしれません。
「不動産投資をしたいけど、どうすればいいかわからない」とお悩みの方は、まずは不動産会社に相談してみるとよいでしょう。収益物件に強い実績豊富な不動産会社であれば、プロの視点から適切なサポートをしてくれるはずです。
副業禁止緩和の方向に進んでいるとはいえ、未だ公務員にとって副収入を得る手段は限られています。資産形成の手段として、不動産投資を選択肢に入れてはいかがでしょうか。
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