「ワンルームマンションの運用をしているけれど、将来的にはどのようなプランを描くべき?」というお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回は、現在所有している物件が10年後にどうなっているのかを想定する方法について解説します。
ワンルームマンションは古くなるほど価値が下がる
自然災害が多い日本では、物件を長期的に維持するのではなく、ある程度の年数が経てば取り壊して新たに作り直すという考え方が前提となります。これは、海外の物件と大きく異なる点です。日本のような考え方の場合、物件の築年数が経過するほどに、その価値は下がっていくことになります。逆に、新築の物件にはプレミアムがつくこともあります。ワンルームマンションでもこの前提は変わりません。
物件の条件により異なるものの、家賃や売却価格は、年間約0.3~1%は下がっていくと考えましょう。収支計画もこのような想定に基づき立案すべきです。家賃収入や物件の資産価値は、できる限り厳しい目で見てシミュレーションを行いましょう。収支計画の見立てが甘いと、すぐに収支はマイナスに転落してしまいます。年間の元利返済額に対する年間純収益で考える、返済余裕率(DSCR)は1.2~1.5倍以上にしましょう。
新築物件の場合、値下がり幅が大きい
新築物件は、購入した次の日に売却査定をすると、価格が20%ほども下がってしまうと言われています。新しい物件ほど価格の下がり幅が大きいため、新築物件の場合、購入の10年後には25~30%も値下がりすることもあります。新築のワンルームマンションを購入する場合、長期的な視点に立って運用をしないと、投資の回収は困難と言えるでしょう。また、購入に当たってはこうした値下がりを想定してシミュレーションを行わないと、投資が失敗するリスクが高まることになります。
景気の影響を大きく受ける
ワンルームマンションは投資商品であるため、株価や金利などの影響を大きく受けることになります。とはいえ、10年後の景気を見極めることは困難です。基本的には、築年数を基準として10年後の物件価値を考えることになります。
ただし、相場は上がったり下がったり、という動きを繰り返すものであり、上がり続けたり、逆に下がり続けたり、ということはありません。数年にわたって値上がりが続いている場合は、この先で反動があると予測してリスクを抑える方針に転換したり、売却を進めたり、といったアクションを取ることを検討しましょう。
ワンルームマンションの価格の下落率
上記は2021年の成約データから築年数と価格の関係を表したグラフです。
購入した物件の築年数によりますか、新築から5年目の下落率が約30%と大きくなっています。
その後は緩やかに下がっていきます。
10年後も勝つ(10年先を見越した)ワンルームマンション投資のポイント
ワンルームマンションの10年後の価格を見極める方法
所有しているワンルームマンションが10年後にはどの程度の価値を持つのか、さまざまな情報を駆使して予測することは、長期的な運用において非常に重要です。運用を開始する前、あるいは開始後も定期的に情報をチェックする習慣を身につけましょう。
ポータルサイト検索
自分の所有するワンルームマンションと同じエリアで、築年数に10~15年足した物件を不動産会社のポータルサイトを使って検索してみましょう。これにより、賃貸、売買それぞれの価格の相場を掴むことができます。ただし、ポータルサイトに掲載されているということは、成約できていない物件です。相場よりも高いために成約に至っていない可能性があることに注意しましょう。
中古マンションの仲介会社に相談
中古マンションの仲介会社に、所有する物件の査定を依頼してみましょう。無料査定を行っている会社がほとんどですので、うまく活用して所有物件の価値を把握します。自社物件を販売するディベロッパーや再販会社の場合は、正しい情報を把握できない可能性があるため注意します。
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10年後に価格が下がりしにくいワンルームマンションとは
立地条件が良い
都心、駅近の物件には希少性があるため、10年後の価格の下がり幅が相対的に小さいと言えます。また、最寄り駅の規模も重要なポイントです。乗降者数が多い駅は、その分賃貸の需要が高いため、空室率が低く、物件の資産価値も下がりにくい傾向にあります。
管理が行き届いている
「マンションは管理を買う」と言われることもあるほど、管理・メンテナンスは買い手にとって重要なポイントです。入居者にとってもこれは同じで、メンテナンスが行き届いている物件であれば、入居者や買い手からの評価が高く、その分価格にも反映されると考えることができます。総戸数が多く、管理組合が十分に機能している物件は、メンテナンスが行き届いていることが多いと言われます。こうした物件であれば、10年後にも価値が大きく下がる可能性は低いと言えるでしょう。
設備が充実している
物件の競争力が高ければ、資産価値を維持する上でも有利に働きます。立地条件も競争力に関係しますが、その他に、物件の設備が充実しているかどうかも重要なポイントです。
特に評価に関わるポイントとして、「オートロック、エレベーター、室内洗濯機置き場、バス・トイレ別、宅配ボックス」といった項目があります。10年というスパンで運用を安定的に進めようとする場合、これらの条件を備える物件を選択するべきでしょう。
部屋の面積は広く
世帯数が増加している東京でも、空室率が上昇していくと予想されています。物件の競争力を確保するためにも、可能な限り広めの部屋を所有しましょう。平成の初期のころの広さは約16㎡でしたが、現在の分譲されているワンルームは約25㎡と広くなっています。長期的に見たときにある程度の広さが無ければ入居者から選ばれません。
この10年でワンルームマンション市場はどう変わった?
ファイナンシャル・プランナーによる
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ワンルームマンション価格相場はどうなっている?
各社の報道や調査などで発表されているとおり、東京都や首都圏では、不動産の価格が上昇し続けています。
それは、居住用のマンションや一戸建てだけでなく、投資用不動産やワンルームマンションなども同様です。
このような人気エリアや需要の高い地域では、一般的な経年劣化による価格下落ではなく、逆に上昇する可能性もあります。
東京のワンルームマンションの推移や相場についてはこちらで詳しく紹介しています。
「ワンルームマンションの価格推移について東京の相場情報を専門会社が解説」
プロが予測する10年後のワンルームマンション市況
代表取締役伊藤幸弘
築年数が5年から20年ぐらいの物件は、値段がある程度落ち着いています。つまり、所有して10年経ってもそんなに値段が下がらない可能性が高い。また、築年数が35年以上経過している物件も値段ってそんなに下がらないんですよ。
つまり、古い物件を中長期で持って、値段が下がる前に売る。インカムゲインで稼いで、キャピタルゲインはほとんどプラスが出なくてもいいという気持ちで投資する。そうすると、10年先を見据えた投資にはなってると思います。