投資マンション失敗
サブリースは解約される!? 損をしないために知るべきこと
サブリースを契約していれば、あとは収入面では安心。そんなふうに考えてはいませんか? 実は、サブリース会社から打ち切り(解約)や減額交渉を持ちかけられたオーナーも少なくありません。サブリースに潜むリスクを正しく理解し、さまざまな事態を想定できるようにしておきましょう。
目次
サブリース会社からの解約は可能
サブリース会社は、借地借家法で保護される入居者にあたります。このため、サブリース契約を打ち切る(解約する)ことも可能です。契約内容にもよりますが、一般的には1~2ヶ月前に予告すれば解約できることが多いようです。サブリースを過信することなく、いつ解約されてもおかしくないことをしっかりと理解しておきましょう。
サブリース解約される理由
家賃の下落
物件の築年数が経過するほどに、家賃は下がっていきます。当初設定していた家賃を維持できない場合、サブリース会社の収入が減ることになります。これでは事業として成立しない、ということで、サブリースを打ち切る判断をすることがあります。
入居率の低下
家賃が下がるケースと同様、入居者が減少してしまうと、サブリース会社の収入が減ってしまい、サブリースの解約につながることもあります。エリアによっては、一度入居者が退出してしまうと、なかなか次が決まらない場合もあります。こうした物件では、サブリースを打ち切られるリスクは高まります。サブリース会社は家賃の20%程度を利益として得ていると言われますが、この設定では、空室が数ヶ月続くだけで利益はなくなってしまいます。このため、サブリースの解約を早期に判断するサブリース会社もあります。
サブリース会社の経営不振
サブリース会社が経営に行き詰まり、家賃を振り込まなくなったり、サブリース契約を打ち切ったりすることもあります。不動産業界の会社は開業と同じくらい廃業も多く、経営状態をしっかりと把握しておかないと、大きなリスクがあります。
物件を販売するためのサービスである
物件を購入してもらうためのサービスとして、高額なサブリース賃料を提案する会社もあります。物件を販売するという目的を達成したあと、すぐに解約の交渉を始めるという悪質なケースも少なくありません。契約更新の初回時に打ち切りを提案することもあります。
サブリースの解約された事例
過剰な信用が裏目に出てしまった
立地条件の良い物件を購入したAさんは、不動産会社からの熱心な提案もあり、同じ会社とサブリース契約を結びました。家賃はずっと保証されるものと考えていましたが、購入から5年後、急にサブリースの打ち切りを持ちかけられてしまいます。解約に合意できないのであれば、家賃を3割下げたいと言われ、最終的には解約を選択することになりました。部屋は空室となっていたため、入居者を募集し、家賃が入ってくるようになるまで6ヶ月かかってしまいました。サブリースをしていた頃と同じ家賃で契約はできたものの、サブリース会社への信頼感は完全になくなってしまいました。
家賃滞納後に契約打ち切り
ある投資セミナーで名刺交換をした新興の不動産会社から、物件を4部屋購入したBさん。購入から最初の3年間は特に問題もありませんでしたが、その後次第に家賃の入金が滞るようになりました。催促をすれば振込はあるものの、担当者に連絡はつかない、という状況が1年ほど続きました。そんなある日、その不動産会社が破綻したという知らせを受けます。入居者の敷金や、未納となっていたサブリース家賃は回収できないままになってしまいました。入居者と連絡を取るのにも手間や時間がかかり、大きな負担となりました。サブリース契約には大きなリスクなどないと考えていたのが甘かったと反省することになってしまいました。
ファイナンシャル・プランナーによる
将来収支シミュレーション
サブリースで損をしないために知っておきたいポイント
サブリース会社は借地借家法で保護される
サブリース会社は、借地借家法では入居者にあたり、保護される立場です。サブリース会社が解約や家賃の減額を申し出た場合、容易にこれを行うことができます。一方、オーナーから解約しようとする場合には、正当事由がないと容易に成立させることはできません。
信頼できるサブリース会社とは
「長期で家賃を保証します」、「減額することはほぼありません」といったあいまいな言葉で営業活動をする会社には注意しましょう。また、家賃保証率があまりに高い場合も注意が必要です。実際の家賃に対し、サブリースの保証は80%程度が一般的です。これと大きく異なる場合は気をつけましょう。営業活動で不審な点の多い会社は、早期にサブリースを打ち切る可能性もあります。
サブリースがなければ収益を維持できない物件を購入しない
サブリースを契約しないと、家賃収入を安定的に得られないような物件は、そもそも借り手のニーズを満たしていない可能性が高いです。このような物件は、家賃の下落や空室率の上昇のリスクも高いことから、いつサブリース会社に解約を申し出られたとしてもおかしくありません。サブリースの契約がなかったとしても、問題なく家賃収入を維持できる物件・エリアであることをしっかりと確認しましょう。こうした条件も満たさずに、サブリース契約で収支を成り立たせようとすることはリスクでしかありません。
修繕費はオーナー負担となることを確認しておく
修繕費はサブリース会社が負担するもの、と考えている方も多いのですが、原則としてオーナーが負担します。サブリース契約に、サブリース会社が負担する項目を明記していることもあります。契約書をよく確認しましょう。修繕費は大きな負担となることもあり、収支計画に影響が生じる可能性もあります。
サブリース新法
サブリースに関連する問題が後を絶たないことから、2020年6月に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。この法律は「賃貸住宅管理業者に対する義務的登録制度」と「サブリース業者に対する行為規制」の大きく2つからなり、前者は2020年12月、後者は2021年6月に施行されました。
この法律では、誇大広告や不当勧誘の禁止、重要事項説明・書面交付の義務などについて定めています。この法律に抵触する可能性のある不動産会社とは契約をすべきではありません。
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