不動産投資
収益不動産の仲介の仕組みをわかりやすく解説。得意な不動産会社の見分け方も紹介
収益不動産を売却する際、一般的なものが不動産会社に売却の仲介を依頼するというものです。
しかし、収益不動産は通常の不動産と比べて専門性が高く、不動産会社によって得手不得手があります。収益不動産の仲介の仕組みを理解するとともに、仲介が得意な不動産会社の見分け方についても紹介します。
目次
収益不動産の仲介の仕組みを解説
収益不動産を売却する際には、住居不動産と同じく不動産会社に仲介を依頼するのが一般的です。まずは仲介の仕組みと、収益不動産ならではの査定方法と高く売るコツを紹介します。
仲介の仕組み
不動産売却における仲介とは、不動産を買いたい人と売りたい人をつなげることを指します。
不動産は価格が高く、個別性が強いため、自分で不動産を探したり、所有している不動産の買主を探したりすることは困難です。
不動産仲介会社に依頼すれば、売主と買主を結び付けてくれるため、スムーズに不動産売買ができるわけです。
また、不動産仲介会社は、宅地建物取引業の免許を持っている不動産売買のスペシャリストでもあります。単に仲介を行うだけではなく不動産の査定や売買契約のサポートなども任せることができます。
売買契約締結時に売主、買主が支払う仲介手数料が不動産仲介会社の報酬となります。
不動産仲介における「片手」と「両手」
一般的に、不動産売買の仲介が行われる際には、売主・買主双方に1社ずつ不動産仲介会社がつきます。これを「片手仲介」といいます。
一方、売主・買主双方に同じ不動産仲介会社がつくことを「両手仲介」といいます。
両手仲介は囲い込みや利益相反(買主が得をすれば、売主が損をする)を促進してしまうとデメリットがありますが、連絡がスムーズになる、仲介手数料が安くなる可能性があるメリットがあります。
契約方法
仲介契約には、以下3つの契約方法があります。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
それぞれの特徴は以下の通りです。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数社との契約 | 可 | 不可 | 不可 |
自己発見取引 | 可 | 可 | 不可 |
指定流通機構(レインズ)への登録 | 不要 | 要
(7日以内に登録) |
要
(5日以内に登録) |
業務状況の報告義務 | 不要 | 要
(2週間に1回以上) |
要
(1週間に1回以上) |
大きな違いは複数社との契約ができるか否かという点です。
一般媒介契約は複数社との契約ができますが、専任媒介契約及び専属専任媒介契約は1社としか契約を結べません。
また、自己発見取引(自分で買主を探して売却する)の可否や指定流通機構への登録、業務状況の報告義務などにも違いがあり、①<②<③の順で規制がきつくなっています。
自分でもある程度売却活動をしたい場合や複数の会社に任せたい場合は一般媒介、信頼できる不動産仲介会社1社に任せたいのであれば専任媒介もしくは専属専任媒介を選ぶのが一般的です。
収益物件の査定方法
不動産仲介会社に仲介を依頼すると、まずは物件の査定を行います。査定とは、物件がいくらで売れるのか、その見込み金額を算出することを指します。
ここで重要なのが、居住物件と収益物件の査定方法の違いです。
居住物件は純粋にその物件の価値で査定額が決まりますが、収益物件はその物件が「いくら稼げるか」という観点から査定が行われることが多いのです。
このように、見込み収益を求める査定法を「収益還元法」といい、さらに「直接還元法」と「DCF法」に大別されます。
直接還元法
その不動産が1年間に生み出す純利益(収入から経費を引いた額)を、設定する利回り(還元利回り)で割ることで算出されます。
例えば、純利益120万円、還元利回り4%の不動産の査定額は
120万円÷0.04=3,000万円
となります。
DCF法
DCF法とは「ディスカウント・キャッシュ・フロー法」の略で、その不動産を所有している期間に得られる純利益の総計に売却時の予想価格を加え、現在価値に割り引いて計算します。
計算方法は複雑ですが、それだけ精度の高い査定が可能です。
収益還元法は純利益の予想額や還元利回りなど不確定要素が多く、用いる数字によって大きく結果が変わります。
住居用不動産よりも査定額に幅が生じやすいため、複数の不動産仲介会社に査定を依頼して相場観をつかむことが重要です。
高く売却するコツ
先述の通り、不動産価格は非常に流動的で、同じ物件でも不動産仲介会社のスキルや売却時期などで大きく変動します。なるべく高く売却するためのコツを紹介します。
複数の会社を比較する
複数の不動産仲介会社に合い見積もりを依頼して、まずは適切な市場価格をつかみましょう。査定額が安いところはもちろんのこと、高過ぎる仲介会社もおすすめしません。高い査定額で自社に誘い入れて、囲い込みをしようとしている恐れがあるためです。
適切な範囲内で高い査定額を提示した会社を選ぶことで、高額で販売できる可能性が高まります。
高く売れるタイミングを見極める
収益不動産を売却する際には、高く売れるタイミングを見極めることが重要です。特に以下のような状況は売却に有利に働きます。
・物件価格が値上がりしている時
物件価格は需要と供給バランスや建築費用などによって上下します。物件価格が値上がりしている時は今後の利益拡大が望めるため、購入希望者が増えて高く売却できる可能性があります。
・金利が低い時
金利が低いと純利益が上がるため、先述の「収益還元法」での評価が高くなります。
・入居者がいる時
入居者がいる状態の物件は、空室リスクが回避できるため投資家に好まれる傾向にあります。その反面、内見ができないというデメリットがありますので、部屋の中の写真や設備、瑕疵状況の資料などをしっかり揃えておく必要があります。
さまざまな買主候補者にアピールする
収益不動産は入居用不動産と異なり、遠隔地に住む人にも売却できます。地方に住む人はもちろん、海外投資家も買主候補になります。
特に中国や台湾などの投資家から見ると、日本の収益不動産は利回り・安定性共に高く、魅力的な投資先として注目を集めています。
さまざまな買主候補者に所有物件をアピールすることで、高額売却の可能性が高まるでしょう。
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収益不動産の売却は仲介・買取どちらがよいのか
収益不動産を売却する方法としては、仲介のほかに「買取」もあります。
仲介は不動産会社が物件を購入する第三者を探しますが、買取は不動産会社が直接物件を買い取ります。仲介と買取はそれぞれメリット・デメリットがあるので、自分に適した方法を選びましょう。
売却期間
売却期間の短さという点では、買取が有利です。仲介は買い手がいなければ売却ができません。また、たとえ買い手が見つかっても、融資審査や契約の手続きなどに時間がかかります。そのため、不動産仲介会社と契約を結んでから実際に売却できるまでに、3~6カ月程度はみておかなければなりません。
一方、買取は早ければ数日以内に売却できます。すぐに物件を手放したい、現金がほしいという場合は、買取を選ぶと良いでしょう。
売却額
買取は早く売却できる反面、売却額が仲介より安くなるというデメリットがあります。
不動産買取会社は物件を買い取った後、リフォームを行い転売します。買取価格はリフォームにかかる費用や売却益を加味するため、仲介での売却価格より安くなります。目安としては2~4割程度安くなると考えておくと良いでしょう。
物件の立地や状態
買取の大きなメリットのひとつに、仲介では敬遠される物件でも買い取ってもらえるという点があります。立地や状態が悪い物件や事故物件でも売却でき、所有しているだけ損になる「負動産」の処分に適しています。
収益不動産の仲介が得意な不動産会社の見分け方
収益不動産を高く、かつスムーズに売却するためには収益不動産の仲介が得意な不動産仲介会社を選ぶことが重要です。
たとえ大手であったり、取り扱い物件数が多かったりしても、収益不動産に関する知識や経験が乏しい不動産会社では、査定額の算出や投資家への売却活動が収益不動産に適していない恐れがあるためです。
それでは、数ある不動産会社の中から、収益不動産の仲介が得意な会社を選ぶためには、どのような点をチェックすれば良いのでしょうか。以下に詳しく解説します。
ホームページで調べる
不動産会社の得意科目を見分ける最も手軽な方法は、公式サイトを確認することです。
- 「当社の強み」などのページに収益物件の売買についての記述がある
- 収益物件の契約締結数、締結率などの実績が掲載されている
- 取扱い物件数が多く、中でも収益物件の割合が高い
上記のような不動産仲介会社は収益物件に強いと考えて良いでしょう。
併せて、口コミやSNSなどで投資家からの評価もチェックしておくと参考になります。
折込みチラシや情報誌で調べる
今はインターネットで何でも調べられる時代ですが、不動産に関してはあえて折込みチラシや情報誌で調べるのも一手です。紙上の広報はスペースに限りがあるため、一番自信のある分野を掲載していることが多いためです。
チラシや情報誌に以下のように掲載している不動産は、その不動産会社の得意分野であると考えて良いでしょう。
- スペースを多く取っている
- 広告枠の上部に掲載している
- 写真を掲載している
実際に説明を受ける
ある程度不動産仲介会社を絞ったら、実際に説明を聞いてみましょう。収益不動産に関するノウハウを有しているか、質問に適切に答えてくれるかを確認します。現在の不動産投資事情やエリアの情報などについても質問すると、相手の知識の程度が分かるだけではなく、今後の売却活動に役立ちます。
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