不動産投資
家賃滞納を保証する家賃債務保証会社を解説。民法改正で高まる需要や保証内容とは
滞納した家賃を保証する家賃債務保証会社は、賃貸経営や不動産投資を行うオーナーにとって重要なパートナーです。
では家賃債務保証会社がどのような役割を果たし、利用することのメリットとはどのようなものがあるのでしょうか。
目次
家賃滞納を保証する家賃債務保証会社とは
不動産投資や賃貸経営のリスクを低減する家賃債務保証会社の役割や、利用することのメリットについて紹介します。
家賃債務保証会社とは
家賃債務保証会社とは、賃貸入居者が家賃を滞納した際に、不動産オーナーに保証する会社のことです。
入居者が、なんらかの事情により家賃を滞納したときに、保証会社が家賃を立替払いしてくれる仕組みで、親族や加増といった連帯保証人が担う役割を、代わりに保証会社が担ってくれます。最近では、保証人たる親や親族の高齢化などを理由として、家賃債務保証会社を利用するケースが増えています。
また、入居者からの家賃の収納代行業務や家賃滞納から発展した明け渡し請求における訴訟費用などを負担してくれるサービスもあります。
家賃債務保証会社の仕組み
家賃債務保証会社を利用するには、入居希望者は賃貸借契約時に保証料を支払います。
保証料は、一律ではなく、家賃に応じて決まる仕組みになっており、一般的には、家賃の0.5~1ヵ月分が相場です。以降、1年ごとに更新され、更新料は年1~2万円です。
入居者のなんらかの事情により、家賃が入ってこなくても、保証会社が家賃を支払ってくれます。不動産オーナーとしては、家賃が入金されない月は発生しないため安心でしょう。
不動産オーナーが家賃債務保証会社に加入するメリット
家賃債務保証会社に加入することでのオーナー側のメリットは次のとおりです。
- 保証会社が入居審査してくれるため、本来オーナーがおこなう審査の手間が省ける
- 経験豊富な保証会社が入居審査してくれるため、審査の精度が高くなる。
入居者の信用調査だけでなく、賃貸借契約書の作成、入居時の立会いなどをおこなってくれる場合もあります。
- 滞納を改修する手間が省ける
家賃滞納が発生した場合でも、電話で督促したり、部屋を訪れたり、連帯保証人に家賃を代わりに払うように催促したり、訴訟を起こしたりする必要がなくなります。
- 家賃滞納によって収入が減少しない
保証会社は家賃滞納者に代わって家賃を支払い、不動産オーナーは定期的な家賃収入を確保できます。
- 訴訟費用や弁護士費用を保証してくれる
建物明渡し訴訟などの際に発生する訴訟費用や弁護士費用を負担するサービスもあります
- 入居者負担でこれらの保証を付けることができる
家賃債務保証の最も大きなメリットは、上記したような保証サービスの費用が、入居者が負担するという点です。入居申込の際の初期費用に家賃債務保証会社への保証料を支払います。
以上のようなメリットから、オーナーの心労が激減するため、連帯保証人を求めるよりも、保証会社への加入を希望する不動産オーナーが増えています。
ファイナンシャル・プランナーによる
みらい収支シミュレーションはこちら
民法改正でさらに注目が集まる家賃債務保証会社
2022年の民法改正によって、今後さらに家賃債務保証会社へのニーズが高まると考えられています。民法改正によってどのような影響があるのか、またニーズが高まる理由について解説します。
民法改正での変更点
2020年4月1日から施行された民法改正により債務関係に関する内容が見直されました。大きく分けると、以下の3つが変更内容とそれにともなうリスクです。
連帯保証人の保護について
民法改正後は、極度額の記載が無い連帯保証条項は無効とみなされるようになりました。
この変更によるリスクは、極度額が高額になる場合、親や親族が、リスクを考えて連帯保証人を引き受けてくれなくなり、入居希望者は簡単に部屋を借りられなくなるため、賃貸物件の空室率が増加する可能性があります。
事業用賃貸物件を借りる際、連帯保証人への情報提供義務化
事業用賃貸物件を契約する際には、事前に借主が連帯保証人へ、財産や収支状況報告をしなければならなくなりました。
この変更によるリスクは、借主が財産や収支状況を伝えることを怠ったまま契約していた場合、契約自体が無効になり、その時点で家賃滞納があっても不動産オーナーは、督促できなくなる可能性があります。
不動産オーナーから連帯保証人への情報開示
不動産オーナーは、連帯保証人に情報開示を求められた際には、借主の家賃支払い状況やその他の債務履行状況を開示しなければならなくなりました。この変更によるリスクは、オーナーは、連帯保証人からの頻繁な開示請求があっても、常に迅速に応じなければならなくなります。
民法改正にも左右されない家賃債務保証会社
このように、貸主・借主、そして連帯保証人との役割に変化があった民法改正ですが、家賃債務保証会社を利用すればそのような影響も受けることはありません。
連帯保証人の属性不安を解消
親や親族などが連帯保証人になっている場合には、家賃滞納が発生した時に、実際には連帯保証人に家賃の支払い能力がないことが判明したり、そもそも連帯保証人になったことを認めなかったりと、不動産オーナーの心労は尽きません。ですが、保証会社であれば、極度額の記載義務に左右されず、問題なく賃貸借契約を締結できます。
入居申込の増加
連帯保証人を引き受けてくれる人がいない入居希望者も、保証会社を利用できる賃貸物件なら、問題なく、部屋を借りられるようになります。親や親族が高齢のため、なかなか賃貸物件を選べなかった入居希望者が、入居申込できるようになります。
家賃滞納の心配を解消
借主が家賃滞納してしまっても、不動産オーナーは、連帯保証人に対して、代わりに家賃を支払うよう督促する必要がなく、保証会社が支払ってくれるので、不動産オーナーは、毎月安定した家賃収入を継続できます。家賃滞納が積み重なって高額になっていた場合でも、保証会社に加入していれば、滞納を解消するよう借主と交渉してくれて、万が一の場合には、法的手続きまでサポートしてくれます。
家賃滞納が起こった場合の対応は保証会社の有無でどう変わる?
では実際に家賃滞納が発生した際、家賃債務保証会社を利用している、利用していないではどのような違いがあるのでしょうか。
一般的になった保証会社の利用
家賃滞納は、不動産オーナーにとって大きな問題です。そのため、現在多くの不動産オーナーは、家賃滞納対策として保証会社に加入することが一般的となっています。保証会社に加入することで、家賃滞納が発生した場合には、保証会社が立て替えて家賃を支払ってくれるため、不動産オーナーは安心して賃貸経営できます。一方、保証会社に加入していない場合は、不動産オーナーが督促や連帯保証人への連絡などの対応を行う必要があります。
保証会社に加入している場合
家賃滞納が発生した場合、不動産オーナーは保証会社に連絡することで、滞納家賃の支払いを請求できます。保証会社は滞納家賃を立替払いし、滞納者に対して督促や法的措置を取ることで、滞納家賃の回収を試みます。
保証会社によっては、家賃滞納者との交渉を経て、滞納額の一部を肩代わりすることもあります。不動産オーナーは、保証会社を利用することで、家賃の不安定な収入によるリスクを抑えられます。
保証会社に加入していない場合
家賃滞納が発生した場合、不動産オーナーは滞納者に対して、電話や書面、訪問などによって督促を実施し、滞納家賃の支払いを求めます。
家賃滞納が発生した場合、不動産オーナーは連帯保証人に対して、電話や書面、訪問などによって滞納家賃の支払いを求めます。連帯保証人には、入居者が家賃滞納した際に、入居者の所在がわかっていても、代わりに家賃を支払う義務があるため、即時に請求できますが、即時に払ってくれるのは稀です。
滞納者が家賃を支払わない場合、不動産オーナーは滞納者と連帯保証人に対して、特定記録郵便による内容証明郵便を送付して、滞納家賃の支払いを求めます。
滞納者が家賃を支払わない場合、不動産オーナーは退去を要請しなければなりません。ただし、入居者の権利は借地借家法で守られているため、一方的に賃貸借契約を解除したり、無理矢理退去させることはできません。
滞納者が家賃を支払わない場合、オーナーは弁護士を雇い、法的措置を取る必要があります。不動産オーナーは、法的措置を取り、支払い督促や少額訴訟、立ち退き訴訟などをおこないます。
法的措置は、多くの時間とコストがかかり、不動産オーナーにとって大きな負担となります。保証会社に加入していない場合は、不動産オーナーが滞納対策をおこなう必要があり、家賃収入の不安定性によるリスクを抱えることになります。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる