不動産
マンションは築何年まで売れる?築年数と価格の関係を解説
マンションの築年数は、売却時にどのような影響があるのでしょうか。
築年数とマンション価格の影響や老朽化したマンションが売れにくいといわれている理由について解説します。
目次
マンションの築年数と価格の関係
マンションは築年数が経過するとどのような影響があるのでしょうか。築年数による価格下落と、法定耐用年数との関係性について紹介します。
築年数とともに価格が下落する
以下の図は、東日本不動産流通機構が公表した「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」による中古マンションの築年帯別平均価格です。
東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」より
新築時と比較して築31年以上となると、約3割に満たない価格になることがわかります。また以下の図は、実際に成約したマンション価格の表です。
価格は5年おきに5〜10%前後下落していく傾向にあります。上記の数値は首都圏の不動産流通市場のデータをもとにしているため、地方の物件に関してはさらに下落率も大きいケースが考えられます。
法定耐用年数も価格に関係する
建物などは構造や用途によって法定耐用年数が定められています。法定耐用年数とは法令で定められた資産の価値で、金融機関が融資する期間の目安や固定資産税額の算出などに用いられます。
住宅用の場合は、以下の表のとおりの年数です。
木造 | 軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合) | 重量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
---|---|---|---|---|
法定耐用年数 | 22年 | 19年 | 34年 | 47年 |
法定耐用年数はそのため築年数が経過すると建物の価値も目減りしているため、価格も下落していく傾向にあります。
鉄筋コンクリート造の中古マンションは築47年で残存価値がなくなるため、ほぼ価値がなくなります。とはいえ、実際47年の期間が過ぎたからといって使用できなくなるわけではありません。
築年数が与える賃料への影響
賃貸マンションの賃料を築年数別に見てみると、グラフを見てわかるとおり、家賃は築3年目以降から約1%ずつ下落しており、築25年になると約20〜30%前後の下落幅です。
2013年に三井トラストが発表した「Report 経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」を確認すると、東京23区の家賃下落率は以下のとおりです。
賃料は、前述した中古マンションの築年帯別平均価格より下落幅が少なく、築年数の影響を受けないようです。
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築年数が経ったマンションは売れにくい?
ではなぜ築年数が古いマンションは売れにくいのでしょうか。主な理由を紹介します。
新築や築浅マンションを好む傾向にある
日本人は新しいものを好む傾向にあるため、マンションも同様に古い物件・中古物件は不人気となることが要因として挙げられます。
ヨーロッパなど海外のマンションは、築年数が建つほど歴史を感じるということから価値が上昇する物件も多いです。
一方、日本人は海外と異なり、新しいマンションの方が中古マンションより人気が高まる傾向にあります。その結果築年数が経ったマンションの人気が薄れ、売れにくくなる傾向にあります。
大規模修繕や設備の交換、リフォームが必要となるため
特に築30年や40年と古いマンションは、設備や水回りなどの大規模リフォームが必要となるケースが多いです。購入費用に加えてリフォーム費用が発生するため、売れにくくなる傾向にあります。
また、築30年前後のマンションは、12〜15年の周期で行われる大規模修繕を控えているケースもあり、修繕積立金の値上げや追加の費用負担などが発生する可能性もあります。
先程の紹介した中古マンションの成約状況を一例に挙げると、築25年の中古マンションを諸費用を入れて4,500万円で購入したものの、リフォーム費用に700万円かかってしまった場合、結果、築16~20年の間の費用と変わらないというケースもあります。
さらにリフォームする際は打ち合わせを何度も重ね、申請などの手続きを行う手間があります。中古マンションを購入する人の多くは早く引っ越したいという気持ちが強い方も多く、手間と時間がかかるのであれば新築を購入しようと考える人も多いです。
減価償却できる期間が短い
中古マンションは築古になるほど減価償却できる期間が短くなるため、投資家から不人気になる点が売れにくくなっているひとつの要因でもあります。
減価償却とは固定資産の購入費用を法定耐用年数期間にわたって、分割して費用計上する会計処理のことです。たとえば中古マンションの場合、47年間費用計上ができ、所得税や住民税などの節税につながります。
しかし、築30年や40年などの物件は償却できる期間が短いため、節税効果が低くなることから中古マンションの人気が落ち込む要因にもなっています。
売れにくいマンション・売れないマンションの対処法
では中古マンションを売却するためにはどのような方法が挙げられるのでしょうか。3つの対処法と注意点を紹介します。
相場価格より大幅に価格を下げる
中古マンションが売れない場合は大幅に価格を下げる方法が挙げられます。
もちろん売れない理由にもよりますが、価格が原因となっているのであれば、価格を下げるしかありません。
しかし中古マンションを購入する方の多くは、金融機関からの融資を受けています。売却時には融資を完済しなけばいけないため、残債より高い金額でなければ採算が取れません。
また、譲渡所得や仲介手数料などさまざまな費用や税金を支払うことにもなるため、単純に価格を下げるのではなく、売却しても手残りが残るかシミュレーションしてから売却する必要があります。安易に価格を下げては赤字にもなりかねないため注意しましょう。
リフォームして売却する
購入者の時間と労力、費用の負担を軽減するためにも、リフォームしてから売り出す方法もひとつの手段です。
通常リフォームは購入者の希望に沿って内装や建具を変更します。しかし費用がかかるうえ、打ち合わせが面倒と感じる方も多いです。
そのため、売却前にリフォームして売り出す方もいます。特に経年によって劣化した水まわりの機器や設備に関しては、最低限リフォームや交換をしておくことで、内覧・内見時の印象も変わります。
また、リフォーム代金は中古マンションの売買代金に上乗せするケースもあるため、あまり大規模なリフォームなどは控えた方がよいでしょう。そのため「どの範囲までリフォームするのか」「どのような客層をターゲットにするのか」を明確にしなければいけません。場合によってはリフォームしても売れない可能性もあるため、次の項で紹介する不動産会社の買取がおすすめです。
不動産会社に買い取りを依頼する
不動産会社がマンションを買い取る不動産買取であれば、簡単に売却ができます。
一般の方が中古マンションを購入するとなると、ローンの審査や契約手続き、所有権移転登記などに1〜2カ月前後期間を要します。しかし、不動産会社が買主となれば早ければ1~2週間前後で売却が完了します。さらに、通常の仲介の際には支払わなければならいない仲介手数料も発生しません。
そのため、不動産買取であれば、短期間でコストを抑えて売却が可能です。とはいえ、中古マンションであれば、どのような物件でも必ず買取するというわけでなく、建物の立地や間取り、劣化状況などから判断してもらう必要があるため、まずは物件の確認を行ってもらいましょう。
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