不動産
マンションを貸すと手数料と費用はどれくらいかかる?
所有するマンションを賃貸にしたとしても、賃料がすべて収入になるわけではありません。仲介をした不動産会社に払う手数料や、故障した設備の修繕費など、さまざまな費用がかかります。そういった費用を把握していなければ、正確な収支予測ができないため、赤字になってしまうおそれもあります。
マンションを貸したときにかかる手数料や、費用などについて解説します。
目次
マンションを貸すときにかかる手数料と費用
マンションを貸すと、賃料収入を得られる一方で、手数料などの支払いが発生します。マンションを貸すときにかかる、主な手数料や費用は以下のとおりです。
- 仲介手数料
- 賃貸管理手数料
- 入居前のリフォーム費用
- 入居中の修繕費
- 退去後の修繕費やクリーニング費用
- 広告宣伝費
それぞれについて、詳しく解説します。
仲介手数料
貸主と入居者が賃貸借契約を締結する際に、双方のあいだを仲介する不動産会社に支払うのが仲介手数料です。
仲介手数料の金額は宅地建物取引業法にて決められています。
貸主と借主合わせて賃料の1ヵ月分を超えない金額+消費税
仲介手数料は、決められた金額を超えなければ、貸主と入居者のどちらからでも受け取れます。折半してもよいですし、どちらか一方から全額を受け取ってもかまいません。通常は、入居者が全額負担するケースが多いです。
仮に貸主が全額負担すれば、入居者は初期費用を抑えられるため、入居者希望者を集めやすくなります。
賃貸管理手数料
マンションを賃貸に出すと、入居中の修繕や賃料の受け取りなどの管理をしなければなりません。貸主が個人で行うことも可能ですが、賃料の滞納やクレームへの対応など、管理会社に管理を委託するほうがスムーズです。
管理会社に管理を委託すると、毎月管理委託料を支払います。管理手数料の金額は管理会社によって異なりますが、相場は賃料の5~7%程度です。通常は、入居者から受け取った賃料から管理委託料を引いた金額が貸主に振り込まれます。
入居前のリフォーム費用
賃貸住宅として貸し出すにあたり、入居前にリフォームしたほうがよい場合があります。リフォームで室内がきれいになっていると、見学したときの印象がよくなり、入居者が早く決まりやすいからです。
特に、壁紙や水回りは、リフォームできれいにすることをおすすめします。築年数が経っていたり長期間住んでいたり、クリーニングできれいにならない場合は、思い切ってリフォームするとよいでしょう。
設備は古くなっていると故障が増えて入居後に修繕費がかさむおそれもあるため、入居前に新品にしておくと入居後の経費を節約できます。
入居中の修繕費
入居中に設備などに不具合がある場合、修繕費用がかかります。管理会社に管理を依頼していれば、管理会社が入居者から修理の依頼を受け、貸主の了解を得て修理会社に依頼します。貸主は管理会社と修理代を精算します。
入居者から修理を依頼されることが多いのは、水回りです。お湯が出ない、トイレの水が止まらないなど、水回りの不具合は生活に不便が生じるので、早めの修繕が必要です。
管理会社と密に連絡をとって、速やかに対応してもらえるよう依頼しましょう。
退去後の修繕費やクリーニング費用
退去後は、次の賃借人を募集する前に室内をクリーニングするため、クリーニング費用がかかります。
また、退去前には入居者立ち会いのもと、室内の点検を行います。原状回復以外の修繕が必要な箇所があり、貸主の負担となる場合は、修繕費用を支払わなければなりません。
退去後の修繕において、貸主と入居者がどこまで負担するかは基本的に契約書に記載されています。しかし、なかにはトラブルになるケースもあります。貸主と入居者のどちらが負担するのが適切なのかは、管理会社に相談しましょう。
広告宣伝費
広告宣伝費とは、入居者が決まったら貸主から不動産会社に支払う謝礼のことです。ADとも呼ばれており、入居者が見つかりにくい場合や、長期間空き家になっている場合に設定するケースが多いです。
広告宣伝費は大きな収入になるため、不動産会社にメリットがあります。また、広告宣伝費が設定されていると、不動産会社は優先的に入居者を探してくれるため、貸主のメリットにもなります。
ただし、貸主の支出が増えるため、広告宣伝費を設定するかどうかは収支をよく考えて決めることが大切です。
ファイナンシャル・プランナーによる
みらい収支シミュレーションはこちら
マンションを賃貸にするときの流れ
所有している分譲マンションを賃貸にする流れは以下のとおりです。
- 仲介する不動産会社を選ぶ
- 賃貸できるように家を整える
- 募集、契約、入居
- 入居中の管理
- 退去立ち会い、修繕費の精算
ここでは、流れに沿って詳しく解説します。
1.仲介する不動産会社を選ぶ
まず仲介を依頼する不動産会社を選びます。入居中の管理を合わせて依頼できる会社を選ぶと、募集から退去まで一貫したサービスが受けられるのでスムーズです。特に入居中の管理は、会社によってサービス内容が異なるため、サービスに含まれていることと貸主が対応しなければならないことをしっかりと確認しましょう。
また、賃貸は地域によって市場の事情が異なるため、物件のある地域に詳しい会社を選ぶとよいでしょう。賃貸を借りようと考えている人は、自宅を購入しようと考えている人と異なり、短期間で転居するケースが一定数あります。地域で実績のある不動産会社なら顧客を抱えているため、入居者を見つけやすいでしょう。
依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を締結し、賃借人の募集を開始します。
2.賃貸できるように家を整える
賃貸に出す分譲マンションを貸し出せるように整えます。家具や家電、不用品などを運び出したり、室内をクリーニングやリフォームできれいにしたり、入居者が決まったらすぐに貸し出せるようにしましょう。
特に水回りをきれいにすると、見学したときの印象がよくなり、入居者が決まりやすくなります。クリーニングできれいにならない場合はリフォームを検討するなど、入居者の印象をよくするようにしましょう。
3.募集、契約、入居
募集を開始し、借りたいという入居希望者から問い合わせがきたら内見をします。内見は通常不動産会社が立ち会うため、貸主の立ち会いは不要です。
入居希望者から条件交渉がある場合もあるため、賃料や入居日などの最低限守りたい条件をあらかじめ決めておくとよいでしょう。
部屋を気に入ってもらえて条件に合意したら、保証会社の審査を経て、賃貸契約を締結します。入居者から敷金、礼金、初月の賃料などを受け取り、鍵を渡したら、入居となります。
4.入居中の管理
入居中の管理を管理会社に依頼している場合は、賃料の集金や設備などの不具合の修繕、クレームの対応など管理会社が代行してくれます。
貸主は毎月賃料を受け取り、管理会社に管理委託料を支払います。
設備の不具合など、借主から修繕の依頼がきた場合、修繕するかどうかを決めるのは貸主です。依頼される修繕のなかには、修理や交換をしなくても設備の調整などで問題なく使用できるケースもあります。修繕には費用がかかるため、本当に必要な修繕なのかをしっかりと見極めることが大切です。
賃貸契約の満了日が近づいたら、一定期間前に入居者に更新を通知し、更新手続きを行います。借主から条件の変更など何らかの交渉があった場合は、よく検討して応じるか応じないかを決めましょう。
5.退去立ち会い、修繕費の精算
入居者が退去の意思を示したら、契約にもとづいた期間が経過したあとに入居者が退去します。
退去が決まったら、退去日あるいは退去日より前に、入居者と管理会社で室内の点検をします。入居者が負担すべき修繕があれば敷金で精算しますが、敷金を超える修繕費用がある場合は別途入居者に請求するため、管理会社と密に連絡をとって確認します。
退去が完了したらクリーニングやリフォームを行い、再び賃借人を募集します。
マンションを賃貸にするときのポイント
所有している分譲マンションを賃貸に出すには、押さえるべきポイントがあります。ここでは、それぞれのポイントを詳しく解説します。マンションを賃貸に出して失敗しないように、しっかりとポイントを理解しましょう。
分譲マンションを賃貸として貸し出せる?
分譲マンションは、賃貸住宅として貸し出せます。分譲マンションは立地がよく設備が整っていて高級感があるため、賃貸物件として人気です。周辺の同じ広さの賃貸物件より高い賃料で貸し出せる傾向があります。
入居する際は管理会社に届け出る必要があるため、届け出の詳細について前もって管理会社に問い合わせておくとよいでしょう。
入居中は、マンションに支払う管理費や修繕積立費は貸主が支払い、駐車場や駐輪場は入居者がマンション管理会社と契約し費用を負担します。
住宅ローン返済中は金融機関に相談する
住宅ローンを返済中の場合は、賃貸に出すことを金融機関に承認してもらわなければなりません。
住宅ローンは自分で住むための住宅を購入する際に組むローンであるため、賃貸に出すと金利を引き上げられたり、優遇金利を適用できなくなったりするため注意が必要です。金融機関から賃貸に出す承諾を得られなければ、不動産投資ローンへ借り換える選択肢もあります。
金利が上がると返済額が増えるおそれもあるため、事前に金融機関に相談し、収支予測をもとにしっかりと検討しましょう。
住宅ローン控除を利用できない
住宅ローン控除を利用している場合、賃貸に出すと利用できなくなります。住宅ローン控除は居住用の住宅を目的としているためです。
住宅ローン控除が利用できなくなると、税金の支払いが増えるおそれがあるため注意が必要です。
空室の期間は賃料収入が得られない
分譲マンションは賃貸物件として人気がありますが、必ず入居者が決まるとは限りません。入居者が決まらないと空室となり、賃料収入を得られません。
なかなか入居者が決まらない場合は、賃料の見直しやADの設定など、できる限り入居者が決まるように検討する必要があります。空室になるリスクがあることを把握することが大切です。
空室の期間も費用が発生する
空室で賃料収入がない期間でも、管理費や固定資産税などの税金の支払いは発生します。賃料収入がなければ、手元の資金から支払わなければなりません。
賃料収入をあてにして支出のリスクを背負うことのないように、しっかりと資金計画を立てることが大切です。
普通借家契約と定期借家契約の違いに注意
賃貸契約には、以下のふたつの種類があります。
- 普通借家契約
- 定期借家契約
通常分譲マンションを貸し出す際には普通借家契約を締結します。
普通借家契約は、契約期間を2年間に設定することが多いです。契約期間が満了しても入居者が更新の意思を表示すれば、貸主は更新を拒否できません。貸主から退去を申し出る場合には正当な理由が必要であり、一定期間前に解約したい旨を申し出る必要があります。将来再び住む場合は、契約期間中に退去してほしいと思ってもすぐには退去してもらえないため注意しなければなりません。
一方、定期借家契約は更新されない契約です。契約期間が満了したら入居者は必ず退去します。一定期間後に自分で住む予定がある場合は、定期借家契約を選ぶとスムーズです。ただし、定期借家契約は普通借家契約より入居者が決まりにくく、賃料が安く設定される傾向があります。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる