不動産投資
マンション一棟の売却について徹底解説。いまは売り時?費用や税金も紹介
マンション一棟の売却について、いまは売り時なのか、売却する流れや発生する費用などについて詳しく解説します。
市場の動向などを見極めて、スムーズかつ上手なマンション売却を目指しましょう。
目次
いま、マンション一棟は売り時なのかを考える
マンションはいま売り時なのでしょうか。ここでは3つの指標から売り時のタイミングであるかを確認してみます。
不動産価格指数は右肩上がり
不動産の価格の指標となる「不動産価格指数」は右肩上がりに上昇しているため、売却価格も高騰している傾向にあります。
さらにマンションだけに着目すると、以下の表のとおり価格が上昇していることがわかります。
マンション 不動産価格指数(住宅) |
|
---|---|
2017年1月 | 132.6 |
2018年1月 | 138.1 |
2019年1月 | 146.1 |
2020年1月 | 151.4 |
2021年1月 | 157.1 |
2022年1月 | 174.9 |
2023年1月 | 188.4 |
出典:建設産業・不動産業:不動産価格指数 – 国土交通省
価格が上がっている要因としては、新築マンションの建築費の高騰によって、物件の相場価格が上昇していることが考えられます。もちろんその他にもさまざまな要素が挙げられますが、現在では過去最高の不動産価格指数になっています。このまま上昇し続けることも考えられますが、もちろん下落する可能性も0ではないため、ひとつの売り時タイミングとして考えることもできるでしょう。
円安による海外から投資先になっている
昨今円安が続いていることから、海外投資家としては安く不動産を購入することができるため、有力な投資国となっています。2010年の10月時点では、1ドル=75円という価格でしたが、2023年9月現在では1ドル=147円と約2倍にも円安になっています。仮に3億円のマンションであれば、2010年では400万ドルで購入できましたが、現在では204万ドルで購入できるということです。またポンドやユーロなども円安状況になっているため、世界的に見てもお得に投資できる国といえる点が、ひとつの売り時タイミングとしても考えることができます。
日本銀行「主要時系列統計データ表」より集計
低金利であるため、国内のファンド購入者も多い
日本では未だアベノミクスの影響で量的緩和政策が行われ、低金利が続いています。一方で、地方銀行の不正融資や、大手建築会社の界壁問題などによって、不動産投資に関する融資審査の基準が厳しくなりました。そのため個人投資家がマンション投資するのが難しくなりましたが、未だ金利が低いことから大手ファンドなどが国内のマンション投資を行っております。さらにクラウドファンディングやJ-REITなど、新たな不動産投資を始める方が多く、運用するファンドが投資物件を探している状態です。そのため今マンションを売却するタイミングとしても考えることができます。
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一棟マンションを売却する流れと高く売るポイント
では一棟マンションを高く売却するにはどのような点に注視すればよいのでしょうか。2つのポイントと、売却までの流れについて紹介します。
築古になる前に売却する
マンションは築年数が経つとリフォームや設備の劣化箇所が増えるため、築古になる前に売却することがポイントです。とくに一棟マンションとなると、建物の規模も大きくなるため、修繕する箇所が増えてしまいます。その結果リフォーム費用がかさむことから売却価格を下げて売り出すことにもなりかねません。
さらに、マンション投資をする方の多くは、家賃収入だけでなく、減価償却費による所得税などの節税効果を見込んでいます。減価償却とは建物の構造によって一定期間、建物の取得費を経費計上できる会計上の項目です。経費計上すれば、年間の所得を抑えることができ、節税につながります。
マンションの場合、鉄筋コンクリート造が主流であるため、償却期間は以下の表のとおりになります。
建物の構造 | 木造 | 軽量鉄骨造(骨格材肉厚が3mm以下の場合) | 重量鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 |
---|---|---|---|---|
法定耐用年数 | 22年 | 19年 | 34年 | 47年 |
すなわち築古になるほど、経費計上できる期間が短くなるため、買い手から魅力のない物件となります。できるだけ築年数が浅いうちに売却することで高値で売ることが可能です。
できるだけ満室に近い状態で売却する
一棟マンションを売却する際は、できるだけ満室に近い状態で売却すると、利回りも高く見せることが可能です。利回りとは購入価格を1年間で回収できる割合のことを指し、現状の家賃収入などから以下の計算式で算出します。
利回り=家賃収入/購入価格×100% |
利回りが高いほど収益性が良いことを指し、投資家にとっては魅力がある物件となります。しかし、空室が多い物件は家賃収入も低いため、利回りが低くなってしまいます。利回りを高めるためには、「満室にして得られる家賃収入を多くする」もしくは「売買価格を下げる」の2択になってしまうため、できるだけ満室に近い状態で売却することがポイントです。
売却の流れ
一棟マンションを売却する場合の流れは以下の手順で行います。
- 不動産会社に価格査定を依頼する
- 不動産会社と契約する
- 買付証明書をもらい売渡証明書を提出する
- 売買契約を締結する
- 決済して完了
不動産会社に価格査定を依頼する
はじめに不動産会社へ売却査定を依頼します。家賃収入額がわかるレントロールや物件の立地や築年数などがわかる謄本などを用意しておきましょう。また間取りがわかる図面などが必要となります。書類を提出し、現地を確認してもらった後は売却価格の査定を出してもらえます。
不動産会社と契約する
不動産会社に売却の仲介を行ってもらう契約を行います。なお契約とはいえ仲介を依頼するという内容であり、この時点では費用は一切発生しません。
買付証明書をもらい売渡証明書を提出する
購入希望者が見つかった際は、希望者から不動産会社を経由して買付証明書をもらいます。買付証明書とは、「この不動産を購入したい」という買主の意思表示となり、購入希望価格や手付金、融資特約が明記されています。
融資特約とは万が一買主のローンが通らなかった場合、契約を白紙撤回するという内容です。金融機関の融資は売買契約書がなければ本審査ができないため、融資が通る前に契約するのが一般的です。融資を使う売買にはほぼ必ず明記されているため、気にしなくて問題ありません。買付証明書の内容に納得できた後は、「買主の条件に同意して売ります」という売主の意思表示である売渡証明書を買主へ提出します。
売買契約を締結する
売渡証明書を提出した後は、売買契約を締結します。売買契約時には不動産会社へ仲介手数料の半金を支払うこともあります。仲介手数料は「売買代金×3%+ 6万円」に消費税を掛けた値です。決済時に満額と設定している不動産会社もいるため事前に確認しておきましょう。
決済して完了
買主のローン審査が通った後は、決済を行い売買代金を取得します。そのタイミングと同時に所有権移転登記が行われ、手続きが完了します。
一棟マンション売却にかかる費用・税金
一棟マンションを売却する際にかかる費用と税金について解説します。
譲渡所得税
マンションを売却して利益が生じた場合、譲渡所得税が課せられます。譲渡所得税はマンションの保有期間が5年以下であれば税率約40%、5年超えであれば約20%の値を売却利益に掛けた値を納税しなければいけません。ただし、売却利益から仲介手数料や取得費などを差し引くことができるため、100%課税されるわけではありません。相談している不動産会社などに計算してもらいましょう。
仲介手数料
仲介手数料は(売買価格×3%+ 6万円)×消費税の金額です。仲介手数料は売買契約時に支払うか、決済時に支払うかを確認しておきましょう。
契約印紙代
売買契約書に添付する契約印紙は買主と売主がそれぞれ1枚ずつ用意します。契約印紙は売買代金によって以下の表の通り定められています。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率
(平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるもの) |
---|---|---|
10万円を超え 50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え 100万円以下のもの | 1千円 | 500円 |
100万円を超え 500万円以下のもの | 2千円 | 1千円 |
500万円を超え1千万円以下のもの | 1万円 | 5千円 |
1千万円を超え5千万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5千万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
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