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リースバックにかかる税金や控除を解説。税金以外の費用についても紹介

住まいを売却したあとも住み続けられるリースバックですが、売却の際などには税金が発生します。

リースバックにかかる税金にはどのようなものがあるのか、またその他の費用、活用できる税制の控除などについて解説します。
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リースバックを利用する際にかかる税金

リースバックを利用してもさまざまな税金が課せられます。ここでは4つの税金について紹介します。

譲渡所得税

リースバックによって売却利益が生じた場合、以下の計算方法で譲渡所得税を算出します。

譲渡所得税=課税譲渡所得金額×税率

税率は、所有期間が5年以内の場合は30%、5年を超える場合は20%です。

また、課税譲渡所得金額は、以下の計算式で求められます。

課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額

取得費とは不動産を取得した時の代金を指しますが、建物は年々劣化していくことから、当時の購入代金(建築代金)が取得費になるわけではありません。

国が定めた固定資産を使える期間として、建物には法定耐用年数が定められています。さらに構造別に償却費も決められているため、実際の取得費は以下の計算式で算出します。

建物の取得費=購入時の建物代金-(購入時の建物代金 × 償却費 × 築年数)

個々での償却費は、構造別によって以下の表のように定められています。

法定耐用年数(年) 償却率
木造 22 0.046
軽量鉄骨(骨格材肉厚が3mm以下の場合) 19 0.053
重量鉄骨 34 0.030
鉄筋コンクリート 47 0.022

たとえば、築10年の木造住宅の購入代金が3,000万円である場合、建物の取得費は以下のとおりです。

建物の取得費=3,000万円-(3,000万円 × 0.046 × 10年)=1,620万円

また建物の代金の他に、土地代も取得費に含まれます。

さらに取得費の他に売却するために関わった仲介手数料や、マイホーム(居住用財産)を売った場合の3,000万円の特別控除の特例なども差し引くことが可能です。譲渡所得税の計算は非常に複雑なため、税理士や不動産会社に依頼しましょう。

 印紙税

自宅を売却する場合は、契約書に添付する印紙代金が必要です。売却価格によって印紙代は以下の表のとおりに定められています。

売却価格 本則税率(円) 軽減税率(円)
10万円を超え50万円以下のもの 400 200
50万円を超え100万円以下のもの 1,000 500
100万円を超え500万円以下のもの 2,000 1,000
500万円を超え1,000万円以下のもの 1万 5,000
1,000万円を超え5,000万円以下のもの 2万 1万
5,000万円を超え1億円以下のもの 6万 3万
1億円を超え5億円以下のもの 10万 6万
5億円を超え510億円以下のもの 20万 16万
10億円を超え50億円以下のもの 40万 32万
50億円を超えるもの 60万 48万

出展:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

軽減税率は、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものに適用されます。

登録免許税

自宅に住宅ローンなどの抵当権が設定されている場合は、抹消登記しなければいけません。

抹消登記として登録免許税を1,000円支払います。なお残債が残っている場合は、売却代金などで完済しないと所有権移転はできないため、決済時と同時に完済するようにしましょう。

固定資産税・都市計画税

固定資産税と都市計画税は、1月1日時点で不動産を所有している方に課せられる税金です。そのため、年の途中で売却しても翌年に課せられます。

しかし、年の途中でリースバックして売却した場合は、その日以降から12月31日までの納税額を買主へ請求することが可能です。

たとえば、固定資産税と都市計画税が30万円と仮定し、売却日(所有権移転登記が完了した)が4月11日(1月1日から100日後)であれば、以下の計算式で請求額を算出することができます。

1日分の固定資産税・都市計画税額=30万円 ÷ 365日=8,219円

請求額=8,219円 × (365日-100日)=21万7,803円

固定資産税納税通知書に固定資産税と都市計画税が明記されているため、事前に確認して計算しておきましょう。

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リースバックで利用できる控除や節税方法

リースバックで発生した税金に活用できる税制控除について紹介します。

譲渡所得税の節税:居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例

マイホームなど居住用財産を売却した場合は、先ほど紹介した課税譲渡所得金額から最大3,000万円まで控除されます。同族会社、親族間の売買では適用されませんが、譲渡所得税の節税につながります。

参考:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例

譲渡所得税:10年以上の居住用財産は軽減税率の特例が適用できる

居住用財産の保有期間が10年以上超え、なおかつ譲渡所得が6,000万円を超える場合、前記の3,000万円控除後の金額について以下の税率が適用されます。

課税譲渡所得金額 税率
6,000万円以下 10.21%
6,000万円超 15.315%

参考:国税庁「No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例

所得税・住民税の節税:損益通算

不動産を売却して課税譲渡所得金額がマイナスとなった場合、譲渡所得税は非課税となるだけでなく、マイナス分を他の所得と合算できる損益通算が可能となります。

たとえば、課税譲渡所得金額が-100万円で、事業などの所得が200万円の場合、「200万円-100万円=100万円」が年間所得となります。所得が減ることで、所得税、住民税の節税につながります。

参考:国税庁「No.2250 損益通算

繰越控除

課税譲渡所得金額が、他の所得と合算してもなおマイナスの場合は、最大で3年間繰越すことができ、損益通算が可能となります。

たとえば、課税譲渡所得金額が-600万円で、事業などの所得が200万円の場合、残りの400万円を翌年以降で所得から差し引くことができるという意味です。そのため、翌年も所得税や住民税が課税されない場合もあります。

参考:国税庁「No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合

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リースバックを利用する際にかかるその他の費用

リースバックを利用する際は、税金以外にも諸費用が発生します。ここでは代表的な諸費用を紹介します。

仲介手数料

仲介手数料とは買主と売主の売買を仲介する不動産会社に支払う手数料です。仲介手数料は、売買金額が400万円を超える場合、以下の計算式で算出されます。

仲介手数料=(売買金額 × 3%+6万円)+消費税

仲介手数料はリースバック時には必要な費用であり、支払タイミングは不動産会社によって異なり、主に以下の2パターンが挙げられます。

  • 売買契約時に50%、決済時に50%
  • 決済時に100%

売買契約時に必要な場合は「自己資金で対応するか」売買契約時にもらえる「手付金」で支払うかの2択になります。とはいえ手付金は売主の状況によって金額が異なるため、仲介手数料で相殺できるとは限りません。そのため事前に手付金の額と仲介手数料の金額を算出しておきましょう。

賃貸に関わる費用

リースバックで売却した後は、買主へ賃貸に関わる以下の費用を支払います。

  • 家賃(毎月)
  • 敷金・礼金
  • 仲介手数料
  • 火災保険
  • 更新料(2年ごとなど)
  • 保証料など

賃貸に関わる費用は物件ごとに異なります。そのため事前に不動産会社へ確認しておきましょう。

その他の費用

ケースバイケースで以下の費用が発生する場合もあります。

測量費

敷地の面積を図るための費用

境界確定費用

境界杭が紛失している場合、土地家屋調査士に依頼して境界杭を復活させる費用が掛かる。ただし、公簿売買(公図のままの面積で売買すること)であれば不要

ローン完済に関わる費用

残債がある場合は完済しなければならず、金融機関に一括で返済するための事務手数料などが必要

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コラム監修

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伊藤幸弘

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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