不動産
リースバックはマンションでもできる?利用方法や注意点
リースバックは自宅を売却したあとも、家賃を払うことで住み続けられる資金調達の方法です。老人ホームの入所資金、経営する会社の事業資金など、得た資金の利用方法は自由です。
マンションを所有している人が、リースバックを利用するときの注意点などについて解説します。トラブルなくリースバックを利用できるよう、あらかじめチェックしておきましょう。
目次
マンションでもリースバックを利用できる?
リースバックを利用できるのは、戸建てに限りません。マンションでもリースバックを利用できます。ただし、マンションは戸建てと比べると、リースバックを利用しにくいことがあるため注意が必要です。
リースバック物件としてのマンションと戸建ての違い
マンションと戸建てには、リースバックする際に以下のような違いがあります。
- マンションはランニングコストがかかる
- マンションは戸建てより土地の比率が小さい
- 戸建てよりマンションは利便性がよい立地が多い
マンションは戸建てと違って管理費や修繕積立金を支払う必要があるため、リースバック事業者にとってランニングコストの負担がリスクになるでしょう。
また、マンションは築年数が経って建物が老朽化すると、資産価値が減ってしまいます。しかし、戸建ては建物が老朽化しても、土地の価値が経年で減少しないため、将来的に更地として売却できます。
また、マンションは駅の近くなど、条件のよい立地に建築されることが多いです。立地のよいマンションはリースバック後に売却しやすいため、リースバック事業者にとって投資物件としての価値が高いといえるでしょう。
こんなマンションは利用できないことも
ただし、なかにはリースバックを利用できないマンションもあります。以下のようなマンションだと、リースバックの利用は困難でしょう。
- 築年数が経過している
- 立地が悪い
- 抵当権を抹消できない
リースバック事業者は、リースバックとして利用したあとに売却して利益を出します。そのため、築年数が経っている、立地が悪いなどの資産価値が低く、売却しにくいマンションだと取り扱えないのです。
また、マンションを売却しても住宅ローンを完済できず、抵当権を抹消できない場合もリースバックは利用できません。
リースバックの仕組みとメリット・デメリット
リースバックは、自宅を活用して資金調達をする方法のひとつです。まとまった資金を手に入れながら、自宅にそのまま住み続けられます。
仕組みやメリット・デメリットなど、リースバックの基本について解説します。
リースバックの仕組み
リースバックとは、自宅をリースバック事業者に売却して売却資金を受け取ったうえで、賃貸物件として借りてそのまま住み続ける売却方法のことです。
似ている用語にリロケーションやリバースモーゲージがありますが、内容は異なります。それぞれの違いは以下のとおりです。
リースバック | リバースモーゲージ | リロケーション |
---|---|---|
|
|
|
リースバックは、リバースモーゲージやリロケーションと違い、自宅を売却するため家の所有権を失います。また、リバースモーゲージは借りた資金の用途が制限されますが、リースバックでは売却により得た資金は何に使ってもかまいません。
リースバックは、以下のような方に向いています。
- 住宅ローンの返済が困難だが、家を離れたくない
- まとまった資金が必要だが、引っ越したくない
- 老後資金のために自宅を売却したいが、家に住み続けたい
リースバックは、自宅の不動産売買契約と賃貸借契約を同時に締結します。賃貸借契約の再契約や一定期間内の買い戻しなど、取り決めをすることも可能です。
リースバックのメリット
リースバックには、以下のメリットがあります。
- 住み慣れた家でそのまま住み続けられる
- 短期間で現金化できる
- 固定資産税などの支払いがない
- 借金をせずにまとまった資金を調達できる
- マンションを所有するリスクを避けられる
リースバックは売却後もそのまま住み続けられるのが大きなメリットです。住み慣れた環境での生活を変えずに済むため、精神的なストレスを避けられるでしょう。
そのほかにも短期間で自宅を売却できるほか、所有権がないため固定資産税の負担がないなど、さまざまメリットが多いです。地震や火事など、不動産を所有するリスクがなくなるのもメリットといえるでしょう。
リースバックのデメリット
リースバックのデメリットは、以下のとおりです。
- 家賃の支払いがある
- 相場より売却価格が安い
- 賃貸期間が制限される場合がある
- 賃貸借契約締結時に諸費用がかかる
リースバックは売却した自宅を賃貸として借りるため、家賃の支払いが発生します。家計に無理のない金額か、契約前に家賃の金額をしっかりと確認しましょう。また、リースバックでの売却価格は、仲介より安いことが多いです。住宅ローンの残債がある場合は、完済できるかどうか確認が必要です。
リースバックでは定期借家契約を利用することが多いため、賃貸期間が制限されることもあります。定期借家契約だと契約期間が満了したら更新はできず、退去しなければなりません。また、敷金や火災保険などの諸費用がかかります。
トラブルに要注意!リースバックで注意すること
リースバックではトラブルが起こることがあり、スムーズに利用するため前もって注意点を把握しておきましょう。リースバックを利用するときの注意点には、次のものがあります。
賃料を引き上げられる
定期借家契約で賃貸借契約を結んでいる場合は、契約期間を満了したら更新ではなく再契約をすることになります。そのときに、賃料を引き上げられることがあります。定期借家契約は双方の同意がなければ契約できないため、賃料の引き上げに同意できないと退去しなくてはなりません。
リースバック事業者が第三者に売却した
リースバックを提供している事業者が、第三者にマンションを売却してしまうことがあります。所有権を持つ事業者が第三者に売却すること自体は何ら問題のない行為ですが、契約書に記載していない約束などは引き継がれません。
リースバックを利用するにあたって条件をつけている場合は、必ず契約書に盛り込み、第三者に売却されても条件が引き継がれるようにしておきましょう。
買取価格が適正価格を大幅に下回った
リースバックを利用してマンションを売却するときは、売却価格が相場より安くなることが一般的です。これはリースバック事業者が再販売するときにかかるコストが、売却価格から差し引かれているためです。
しかし、適正価格を大幅に下回る場合は注意が必要です。リースバック事業者から買取価格を提示されたら、価格の根拠をしっかりと説明してもらいましょう。
売却を知られて相続人と揉めた
リースバックはそのまま住み続けられるため、ほかの人に知られずに売却することが可能です。結果として実家を相続しようと考えていた相続人と、トラブルが発生することがあります。
反対されることを嫌って黙ったまま売却すると、あとからトラブルになるため、家族には前もって説明しておきましょう。
賃貸の再契約を断られた
リースバックの賃貸借契約では、定期借家契約を利用することがあります。定期借家契約は期間が限定されているほか、賃貸期間を延ばすには再契約が必要になります。
しかし、リースバック事業者によっては再契約を断られてしまい、マンションから退去を求められることがあります。
長く住み続けたいと考えている人は、賃貸借契約を更新できる普通借家契約を利用できるリースバック事業者を選びましょう。
高額な買い戻し価格を要求される
リースバック事業者によっては、マンションを売却後に買い戻せる「再売買予約」をつけられる場合があります。ところが、売却したときより高額な買い戻し価格を要求されるなど、トラブルになっているケースがあるため注意が必要です。
リースバックの契約で再売買予約を設定するときは、買い戻し価格を明記するなどの対処をしておきましょう。
高額な手数料を請求された
リースバックを利用するのに必要な費用は、以下のとおりです。
- 印紙代
- 抵当権抹消費用
- その他(交通費や書類取得費用、賃貸に必要な諸費用など)
しかし、測量費や耐震補強費などの名目で高額な諸費用を請求されてトラブルになるケースがあります。上記以外の費用を請求された場合は、明細をしっかりと確認しましょう。
あなたのマンション・アパートの価格が分かる