不動産投資
ワンルームマンション経営について。メリットや始め方、条件などを解説
ワンルームマンション経営とは、不動産投資の一種で、マンションの一室を購入して賃貸経営を行う方法です。低資金で始められることや管理に手間がかからないことなど、初心者や副業に向いたメリットがありますが、空室リスクや修繕費用などのデメリットもあります。
ワンルームマンション経営の仕組みやメリット・デメリットについて解説するとともに、ワンルームマンション経営を始めるために必要な条件や手順についても紹介します。
目次
ワンルームマンション経営とは
まずはワンルームマンション経営の基礎知識として、仕組みやメリット、デメリットについて見ていきましょう。
ワンルームマンション経営の仕組み
ワンルームマンション経営では、多くの場合銀行から借り入れを行ってマンションの一室を購入し、入居者に貸し出して家賃を得ます。入居付けや家賃回収といった賃貸管理は、自分で行うことも可能ですが(自主管理)、賃貸管理会社に委託するのが一般的です。
オーナーは得られた家賃収入から管理手数料を賃貸管理会社に支払い、銀行に対してはローンの返済を行います。その他、マンションの管理組合に支払う修繕積立金や専有部分の設備修繕・交換費用、各種税金といった諸経費を差し引いた額がオーナーの純利益となります。
ワンルームマンション経営のメリット
ワンルームマンション経営は、アパートやマンション全体を購入・管理する「一棟投資」や一軒家を対象とした「戸建て投資」と比較すると、資金や手間の負担が小さく初心者向きといわれています。ワンルームマンション経営のメリットを詳しく紹介します。
低資金で始められる
一棟投資はアパートやマンションを一棟買いする必要があり、数千万〜数億という購入費用がかかります。銀行で融資を受けるとしても20%程度の頭金は必要であることから、多額の自己資金を準備しなくてはなりません。
一方、ワンルームマンション経営は一室単位で購入できるため、購入費用は数百万〜数千万円程度と比較的安価です。融資条件によっては数十万円〜100万円程度の自己資金で始めることも不可能ではありません。
好条件の物件を所有できる
一棟経営や戸建て経営の対象となる物件は比較的郊外エリアが多く、入居ニーズが低い、築年数が古いといった物件も少なくありません。
ワンルームマンション経営であれば、都心の人気エリアの物件も狙えます。入居者付けがしやすく、安定した収入を得られる可能性が高まります。
管理に手間がかからない
一棟投資や戸建て投資では、建物全体の管理を自身で行わなくてはなりません。
しかし、ワンルームマンション経営では、外壁やエントランス、エレベーターといった区分所有者全員が共有する設備(共用部分)の管理や修繕は管理組合が行います。区分所有者は修繕積立金を管理組合に支払うだけで済み、管理に手間がかかりません。
ワンルームマンション経営のデメリット
ワンルームマンション経営のデメリットについて解説します。
空室リスクが高い
ワンルームマンション経営の最も大きなデメリットは空室リスクが高いという点です。一棟経営であれば、一棟の中で空室が数室発生しても、残りの部屋の家賃収入でカバーできます。
一方、ワンルーム経営は所有している一室に入居者がつかなかった場合、家賃収入は0になってしまいます。管理手数料や修繕積立金といった諸経費がかかるため、キャッシュフローが悪化し、経営自体を続けていけなくなるおそれがあります。
資金に余裕があれば複数の部屋を所有し、空室リスクを分散することは可能ですが、一室しか所有できない場合、経営が不安定になるおそれがあります。
修繕費用がかさむ傾向にある
ワンルームマンション経営でも専有部分(部屋の中の設備など)の修繕は必要です。
一棟投資であれば同じ設備をまとめ買いしたり、同じ業者に複数の工事を依頼したりできるため、一室当たりの修繕費を安く抑えられますが、一室単位では設備交換や工事の規模が小さく、一棟投資と比較すると修繕費が割高になる傾向にあります。
管理組合の質に左右される
ワンルームマンション経営において、共有部分の管理を管理組合に任せられる点はメリットですが、逆にいうと管理組合に管理を一任するしかないということでもあります。
管理組合の質が悪いと共有部分の汚損や故障が放置され、入居希望者に敬遠されてしまうことにもなりかねません。さらに、相場より高い修繕積立金を求められる、逆に大規模修繕時に積立金が足りず一時金の拠出が必要になるといった事態も起こりえます。
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ワンルームマンション経営の始め方
ワンルームマンション経営を始める際には、「物件(不動産会社)」、「融資機関」、「賃貸管理会社」を選び、必要な手順を踏んで契約を結ぶ必要があります。大まかな流れを紹介します。
- 物件(不動産会社)を探す
- 融資審査を受ける
- 物件を購入する
- 賃貸管理会社を探す
物件(不動産会社)を探す
まずは物件を探します。ポータルサイトなどを利用して自分で探すこともできますが、不動産会社に依頼するのが最も近道です。
予算や投資目的に合った物件を提案してもらえるだけではなく、融資審査や売買契約のサポートを受けることもできるため、特に不動産投資初心者は必ず不動産会社に相談しましょう。
不動産会社はすぐに1件に決めるのではなく、複数の不動産会社に相談し、実績があり誠実に対応してくれる会社を選ぶことが重要です。
融資審査を受ける
購入する物件が決まったら、融資審査を受けます。多くの不動産会社には提携金融機関があります。提携金融機関では融資の面で優遇されたり、不動産会社のサポートを受けられたりといったメリットがあるため、積極的に利用していきましょう。
融資審査では自身の属性(年齢や職業、収入といった返済能力に関わる情報)に加え、物件の収益性も審査基準になります。必要な書類をそろえ、誠実な姿勢で臨むことが重要です。
虚偽の申告をすると強制解約や一括返済といったペナルティを負うことになるため、絶対にしてはいけません。なお、この時点での融資審査は仮審査です。本審査は売買契約締結後に行うという点も押さえておきましょう。
物件を購入する
仮審査が通ったら売買契約を締結します。まずは取引する物件の状態や規約、取引条件といった重要事項について不動産会社から説明があります。説明書も渡されますので、必ず目を通し、不明点があれば確認しましょう。
重要事項説明後、問題がなければ不動産売買契約を締結します。買主と売主が「不動産売買契約書」に記名・捺印し、買主が売主に手付金(購入価格の5〜10%程度)を支払って契約締結が完了します。
その後、本審査を受けて融資が下りたら決済を行い、不動産の引き渡しが完了します。引き渡し時には売主から家の鍵や書類などを受け取るほか、司法書士が所有権移転登記、抵当権設定登記などの登記手続きを行います。登記費用や仲介手数料、火災保険といった諸費用の支払いも行わなくてはなりません。
賃貸管理会社を探す
晴れて物件を所有できたら、賃貸管理会社を探します。自主管理も可能ですが、賃貸経営の知識が必要になるうえ、時間的、精神的な負担も大きくなるため、プロの賃貸管理会社に任せたほうがよいでしょう。
中古物件の場合はすでに管理会社が入っているため、そのまま委託することも可能です。新しく賃貸管理会社を入れる場合は、不動産会社に相談するのも一つの選択肢です。不動産管理の質によって賃貸経営は大きく左右されます。妥協せず、実績豊かで信頼できる賃貸管理会社を探しましょう。
ワンルームマンション経営ができる条件もチェック
ワンルームマンション経営は比較的低資金で始められ、手間がかからないために不動産投資初心者や副業で不動産投資を行いたいサラリーマンや主婦の方に向いた投資法です。
とはいえ、誰でもワンルームマンション経営ができるわけではありません。安定した経営を行うためには、やはりある程度の条件を満たす必要があります。
金融機関からの信用
ワンルームマンション経営を始めるためには、数百万円程度のまとまった資金が必要です。そのため、金融機関から融資を受けて取り組むケースがほとんどです。金融機関からの信用がないと融資が下りず、ワンルームマンション経営を始めることができません。
本人に関する審査項目としては、年収や勤務先、資産状況、不動産投資の実績などがあります。要するに「返済できる能力があるか」という点を見られるのです。
それに加え、クレジットカードや各種ローンで延滞歴がある、融資審査時の服装や態度が悪いなど、金融機関からの信用を得られない要素があると審査落ちするおそれがあります。
余剰資金
ワンルームマンション経営は得られた家賃収入をローン返済や諸経費にあてて経営を回します。そのため家賃収入が得られないと資金繰りが難しくなり、経営を断念せざるを得なくなる事態に陥りかねません。
特に初年度は購入にかかる諸費用がかさむため、収入が少なくなる傾向にあります。そのようなリスクに対応するためにも、1年分の家賃程度の余剰金は確保しておきましょう。
長期的な視点と計画性
ワンルームマンション経営に限らず、不動産投資は長期的にコツコツと利益を出していく投資法であり、暗号資産やFXのような一攫千金は狙えません。不動産投資で成功を収めるためには、焦らず経営を続けていく長期的な視点を持たなくてはなりません。
また、物件は経年劣化し、修繕や設備交換、リフォームなどが必要になることがあります。さらに、金利が上昇して返済額がかさむといった事態も起こりえます。
そのようなリスクを軽減するために、長期計画を立てて資金を準備するとともに、状況によってはローンの借り替えを行う、予定より早く売却するといった柔軟性ある対応も必要です。
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