不動産
1LDKのマンションは売れない?需要や売れない原因別の対策を解説
1LDKのマンションが売れない原因としては、需要の不足やターゲットが不明確なことなどが考えられます。
実際、1LDKのマンションは需要があるのか、どういう人がターゲットになるのかを詳しく解説します。売れない原因に適切な対策を取れば、早く・高く売ることが可能でしょう。
目次
1LDKのマンションは需要がない?
1LDKはワンルーム(1K)にリビングダイニング(LD)を追加した部屋です。一般社団法人全国公正取引協議会連合会は「不動産の公正競争規約」により、1LDKと称する最低減、必要となる広さを8畳と定めています。
一般的にはワンルームが6畳、1DKが6〜8畳、1LDKが8畳以上として建築されることが多いです。
1LDKのマンションの売却を検討したとき、どういう人に需要があるのかを考える必要があります。
1LDKの市場割合
一般市場の流通する1LDKの部屋は少なく、単身用であればワンルームが大半です。
マンション全体で見たとき、1LDKより1畳あたりの家賃価格が高くなるワンルームのほうが利益率が高く、1LDKを建設するメリットが少ないためです。
しかし、昨今の新型コロナウイルスの流行に伴うリモートワークの推進により、改めて自宅での過ごし方が大きく見直されています。今後は1LDKのマンションは需要が高まると予想できるでしょう。
1LDKは「おひとりさま」向け
1LDKは単身者、もしくは2人世帯をメインのターゲットとしています。一方で、単身者の需要はワンルームが基本です。
つまり、購入者や借主からすると、1LDKの家賃設定が平均的な価格帯より高めとなります。広いほうがよいと考えても、予算をオーバーする可能性があります。
そのため、1LDKを希望する人は、家の予算に重きをおき家での時間とQOL=Quality of life(クオリティ オブ ライフ)を重視する「おひとりさま」が中心です。
また、前述のとおり、リモートワークで広めのデスクなど勤務環境を整えるために広い部屋を希望する、在宅ワーカーも増えつつあります。
分譲より賃貸がメイン
内閣府が発表する「少子化対策の現状」によると、婚姻率は減少傾向にあります。それでも、35〜39歳の未婚率は男性で35.0%、女性は23.9%に留まります。
近年は晩婚化が進行しており、40代以降での婚姻も珍しくはないため、未婚者の割合は60代になるまでに減少していることがわかります。
1LDKは2人で住むには手狭であり、子どもを含めた世帯用としては平米数が大きくとも厳しい間取りです。結婚というライフプランの変化により、住み替えを検討する必要性が強くなるため、分譲より賃貸として利用されるケースが多いでしょう。また、そうした需要を見込んで投資目的での購入も多く見受けられます。
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1LDKのマンションが売れない原因と対策
1LDKはワンルームよりは高いが広さがあり、2LDKよりは安いが狭い傾向にあります。言い換えると、中途半端な間取りともいえるでしょう。
不動産会社も1LDKの物件は取り扱い実績が少ないため、通常より依頼先の選定には慎重さが求められます。
1LDKのマンションが売れない原因別に具体的な対策を紹介します。
原因:需要の不足
1LDKの主なターゲットは単身者であり、年代としては20代から30代前半の社会人がメインと考えられます。
しかし、収入によってはまだ生活することで精一杯な世代でもあるため、マイホームの購入は現実的ではないかもしれません。分譲マンションの購入よりも賃貸、1LDKより家賃が低いワンルームと、コストを抑えた考え方の人も多いでしょう。
また、結婚が多い30代以降においては、子育てを意識した2LDK以上のファミリータイプを希望するため、1LDKの希望層は多くないという問題があります。
対策:差別化
こうした需要の不足が際立つ1LDKですが、反対に考えれば需要と供給は一致しており、市場に多く存在しない「レア物件」でもあります。
また、リモートワークの推進によるデスクワークスペースの確保や、動画配信サービスのサブスクやプロジェクターの低価格化に見て取れるように、自宅での過ごし方は大きく変化しています。
需要が少ないのはデメリットですが、供給が少ないのはメリットです。うまく差別化をはかり、売り出していくことができれば、需要不足に打ち勝てる可能性も考えられます。
原因:ターゲットが不明確
それぞれの間取りによるイメージとして、以下が考えられます。
- ワンルームは1人暮らし
- 2LDKは同棲や新婚生活
- 3LDK以上は子育て世帯のファミリー
このように、各々で思い描くターゲットが見えてくるなかでも、1LDKは明確に思い描くのが難しいものです。
- 手狭だが新婚生活で使用する夫婦
- 戸建ての維持管理が難しくなった高齢夫婦
- OLのおひとりさま
- 不動産投資を目的としている人
上記のようなターゲットが考えられますが、ほかの間取りと比較して絞り切れないのも1LDKの特徴です。
対策:1点に絞った訴求
ターゲットが絞れないと、販売における訴求も難しくなります。
たとえば、おひとりさまをターゲットにするのであれば、以下の点などに注目するとよいでしょう。
- 近くにコンビニエンスストアや買い物施設がある
- 駅までの通勤経路が明るい
- 室内の設備が最新型
- 販売価格が抑えられている
また、立地面では強みがないように感じても、近くに保育園や公園、病院(特に小児科)があれば、新婚夫婦や子どもが小さい世帯に対する訴求ができます。
一度、俯瞰した状態で物件のよさを考えてみれば、ターゲットにするべき層が見えてくるかもしれません。
原因:マンション内での生活環境のずれ
小規模なものを除くと、現在において1LDKのみで構成されているマンションは少ないです。
下の階層が1LDKで中層階以上がファミリータイプというのが一般的で、結果として住民の質やカテゴリーも下と上で分離しがちです。
どちらがよくて、どちらが悪いというわけではありませんが、所有するマンションに対する考え方や生活環境が大きく異なるのも事実です。
たとえば、維持管理や大型修繕に備えた修繕積立金だけでも、将来の考え方や現在の生活水準が異なれば意見が合わなくなるでしょう。
こうした積み重ねは、生活をする中でのストレスとなり、購入希望者も感じ取る内容でもあります。
対策:投資用として売り出す
実際に住むとなれば気になる点も、投資用として購入して貸す場合は気にならないこともあります。
間口を広げて売り出すことで、メリットが評価される一方で、デメリットは大した問題ではないと判断されるかもしれません。
人が変われば見方も変わるため、分譲マンションとしての売却が難しい場合は、投資用として対象者を広げるのもよいでしょう。
原因:不動産会社の営業力不足
1LDKのマンションの売却では、しっかりとしたターゲット層の選定と販売戦略が必要です。不動産会社の腕の見せ所ですが、営業力の不足する不動産会社や営業担当者ほど価格を下げて売りさばこうとする傾向にあるため、対策がないままズルズルと価格だけが下がってしまうことも少なくありません。
対策:マンション専門の会社に依頼する
不動産会社の中でも、賃貸を専門に扱っている会社もあれば、売買が専門の会社もあります。また、マンションや一戸建て、アパートなどの種類によっても得意・不得意があります。
大切な資産であるマンションを早く・高く売却するのであれば、マンションを専門に取り扱う不動産会社に担当してもらうのがよいでしょう。また、投資用マンションを取り扱う会社も候補とするのもよいでしょう。
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