ワンルームマンションの売却を考えているけれど、最適なタイミングや査定方法がわからない方も多いはず。2024年の不動産市況を踏まえ、無料査定を活用した賢い売却方法と、失敗しないためのポイントを徹底解説します。
2024年から2025年 ワンルームマンション投資市場はどうなる?
無料査定活用で高額売却を実現するコツ
無料査定を活用する依頼方法とその利点
無料査定を依頼するには、不動産一括査定サイトやワンルーム専門会社のウェブフォームに物件情報を入力し査定を依頼します。
情報入力は簡単で費用はかかりません。利点としては、複数の査定を比較でき、相場価値を知ることができます。
情報を収集することで売却戦略を立てる上で役立ちます。
査定価格と売却価格の違いとは
査定価格は不動産会社が、過去事例や利回りなどの専門知識をもとに算出した見積もりで、相場や物件の個別性を考慮しています。
一方、物件の売却価格は実際に売買契約が成立した金額です。
査定価格はおおむね3か月以内に成約できるであろう参考値であり、買主との交渉や市場の変動によって最終的な価格が決まります。
物件の魅力や需要供給のバランスも影響し、査定価格と最終価格は異なることがあります。
複数業者に依頼するメリットと選択のポイント
複数業者に査定を依頼するメリットは、価格競争により物件の適正価格を把握しやすくなり、査定の客観性が向上します。
選ぶ際のポイントは、信頼性や実績の確認、査定の透明性、良好なコミュニケーション、営業手法等の比較です。
慎重に検討することで円滑な売却プロセスが期待できます。
ワンルームマンション売却の成約価格の推移
東京都における近年のワンルームマンションの成約物件からランダムに2,000件を抽出して作成したのが次のグラフです。
2023年は2017年と比べ、約37%上昇しています。低金利、インフレ、円安、株高など、さまざまな要因が考えられ、
今後どこまで上昇するかを予測することは困難です。
不動産市況を判断する指標
ワンルームマンション売却の相場価格 ~2023年
東京都23区のワンルームマンション(35㎡以下)の平均成約価格について、2023年時点のデータを以下の表に築年数ごとに示しています。
一般的に、築年数が経過している物件ほど、成約価格は下がる傾向にあります。売却の参考にしてください。
2023年前半期 東京都23区 35㎡以下 成約価格
出典:「不動産取引価格情報検索」
ワンルームマンション価格は今後も上がる?
ワンルームマンションを売却すべきタイミング
相場が上昇している
ワンルームマンションの相場が上昇傾向にあるときは、取引が活発化しています。
事例が多ければ、その分売却査定の精度も高まり、納得のいく価格での売却を期待できます。
また、買い手が多い時期であるため、短期で売却できる可能性も高いでしょう。
金利が安い
多くの買主はローンを組んで物件を購入するため、金利が安いタイミングであれば
購入を希望する人が増え、取引が活発化します。
金融機関も積極的に融資をすることが多いため、評価額も上がりやすくなります。
競合物件が少ない
売却予定のエリアで競合する物件が少ない場合は、希少性が上がり、高値で売却が決まる可能性が高まります。
逆に、売りだそうとする物件よりも安い物件がある場合は要注意です。
収支がマイナスになっている
キャッシュフローバランスで支出が過多となっている場合は、物件の売却を検討すべきです。
収支がマイナスとなる期間を長引かせないように注意しましょう。
家賃が相場より高い
家賃が高い状態で賃貸契約の更新が続いている場合は、高値で売却できる可能性があります。
購入者は利回りの良い物件を重視するため、家賃が高ければ、一般的には物件の評価額も高くなります。
所有期間が5年以上である
物件の所有期間によって、譲渡所得の区分が異なり税率も変わります。
具体的には、所有期間が5年を超える場合は「長期譲渡所得」の区分となり、短期譲渡所得よりも税率が下がります。
2024年~2025年は売り時なのか、買い時なのか
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ワンルームマンション売却の期間と流れ
ワンルームマンションの売却にかかる期間は、査定と準備期間が約1ヶ月、販売活動期間が1〜3ヶ月、契約と引き渡し期間が約1~3ヶ月で、
総じて2〜6ヶ月程度が一般的です。
ただし、地域の市場状況や物件の魅力により変動し、柔軟な対応が求められます。
不動産専門家や営業担当者のアドバイスを受けながら、最適な売却タイミングを見極めることが重要です。
査定~不動産会社の選定・契約
まずは売却したい物件の査定を不動産会社に依頼します。一括で査定を依頼できるウェブサイトなどを利用してもよいでしょう。
査定が終わると、売却を依頼する不動産会社を選びます。
このとき、査定価格の根拠をしっかりと説明できる会社を選択することが大切です。
不動産会社を決定したら、その会社と媒介契約を締結します。
売却活動~物件の引き渡し
媒介契約を結ぶと、不動産会社が物件の売却に向けてウェブサイト等への掲載やポスティングなどを行います。
購入希望者との条件調整などを経て、双方が合意に至ると売買契約を取り交わすことになります。
手付金の支払いや、重要事項説明などもこのタイミングで実施します。
その後、売主は物件を引き渡せるよう準備を行います。
引き渡し日に買主から売買代金を受領すると、所有権が買主へと移転されます。
確定申告
物件の売却に伴い税金が発生する場合は、確定申告を行う必要があります。
売買契約書や取引明細書は、確定申告に必要ですので、保管しておきましょう。
ワンルームマンション売却に必要な書類
ワンルームマンションを売却するために複数の書類等が必要です。
販売活動から引き渡し完了までに準備をします。事前に準備し、整理しておくことで進行がスムーズになり、
不動産会社や購入者に対して信頼性を高めることができます。以下に、主要な書類をまとめます。
登記識別情報(権利書)
マンションの所有権を証明するための重要な書類です。紛失している場合は別途手続きが必要です。
実印と印鑑証明書
登記申請に使用するための実印と、発行から3か月以内の印鑑証明書です。
本人確認資料
売主の本人確認をするために必要な書類(例:運転免許証、パスポートなど)
賃貸契約書・入居者情報
物件が賃貸中の場合、賃貸契約書と現在の入居者に関する情報が必要です。オーナーチェンジで賃貸を引き継ぐので必要になります。
鍵・敷金
オーナーが保管している鍵や敷金は引き渡し時に買主に交付します。
固定資産税・都市計画税の納税通知書
直近の支払った税金の納付書です。引き渡し時に精算を行います。
物件パンフレット
購入時の特徴や魅力を紹介するための資料
付属設備の取扱説明書
住宅内の設備(例:エアコン、給湯器など)の使用方法やメンテナンスに関する情報。
長期修繕計画書・管理組合議事録
マンションの管理に関するな決定や変更事項を記録した文書。
ワンルームマンション売却とローンの残債
ワンルームマンションを売却するためには、ローンを完済して抵当権を抹消する必要があります。
または、売却した代金でローンの残債を完済するという方法もあります。
ただし、物件の売却時には、想定していた価格では売れないこともあるため注意しなくてはなりません。
売却代金ではローンの残債を返済しきれない場合、不足する分を自己資金などで一括返済しなくてはならないため注意しましょう。
ワンルームマンション売却にかかる費用
ワンルームマンションの売却時には、売主が支払う必要のある費用を予め把握しておくことが大切です。
まず、不動産会社への報酬として、売買価格の3%+6万円+消費税を上限とする仲介手数料が発生します。
次に、売買契約書に貼り付ける印紙にかかる印紙税です。金額は、契約金額によって異なります。詳しくは国税庁のホームページでご確認ください。
また、抵当権の抹消や登記名義人の表示変更費用など、司法書士に支払う報酬が必要です。相場としてはそれぞれ3万円程度と言われます。
ローン返済の手数料として、残債元本の0.3~2%程度の手数料もかかります。詳細は金融機関に電話等でご確認ください。
物件の売却時には賃貸管理契約の解約も必要ですが、その際に違約金が生じることもあります。
管理委託契約に記載されていますので、予め確認しておきましょう。
また、売却時に発生する税金として、売却利益に課税される譲渡所得税・住民税があります。
詳細は後述します。
個人の投資家の場合、消費税は発生しませんが、法人や個人事業主、給与所得者でも確定申告で消費税を納めている場合などは、
建物部分に消費税がかかります。建物部分は、評価証明書を取得して土地と建物で按分して算出します。
これに関連して、入居者から預かった敷金を次の買主に移行する必要がある点にも注意しておきましょう。
売却費用のシミュレーション
ローンの残債が1,000万円ある買主が、2,000万円で物件を売却することになった場合、以下の費用が発生します。
仲介料
(20,000,000×3%+60,000)×1.1=726,000円
印紙代
10,000円(軽減税率適用時)※令和6年3月31日まで
抵当権抹消費用
30,000円
ローン返済手数料
10,000,000×0.3%=30,000円
賃貸管理解約違約金(家賃80,000円、集金代行料5%、違約金6か月とする)
80,000×5%×6=24,000円
ワンルームマンション売却に伴う税金
前述のとおり、ワンルームマンションの売却により発生した利益に対しては税金がかかります。
売却代金から、取得時にかかった費用と譲渡時にかかった費用を差し引いたものが、売却による利益(譲渡所得)です。
なお、譲渡時にかかった費用として先ほどご紹介した項目のうち、登記費用やローン返済手数料は譲渡費用には含まれないためご注意ください。
また、物件は減価償却をするため、減価を購入代金から差し引く必要があります。
税金のシミュレーション
2008年7月に1,900万円で購入したワンルームを2021年8月に2,000万円で売却した場合、以下の税金が発生します。
売却の費用:110万円
減価償却費の累積:260万円
譲渡所得の計算
譲渡収入 取得費 累積減価償却費 譲渡費用 課税譲渡所得
2,000万円 − {(1,900万円 − 260万円) + 110万円} = 250万円
税額の計算
所有期間は、2020年1月時点で5年以上であるため、長期譲渡所得に該当し、税率は20%です。
・課税譲渡所得250万円 × 20% = 50万円
想定外の税金が発生するケースも散見されます。専門家や税務署に事前に確認されることをおすすめします。なお、譲渡所得がない場合は収支がマイナスとなり、税金は発生しません。
ワンルームマンション売却の注意点
売出価格は適切に設定する
相場とかけ離れた高値で売出価格を設定すると、結局買い手が見つからず、
むしろ相場より下げなければならなくなることもあります。上限は相場の1割増程度です。
売却までに6か月かかると想定する
売出から引き渡しまで、3~6か月かかることが一般的です。売却時期の希望がある場合、逆算して計画を立てましょう。
短期で売却したい場合は買取も検討しましょう。
ローン残債を確認する
売却金額でローン残債を完済できない場合、自己資金を用意する必要が生じることもあります。
ローンが完済できないと買主に違約金を請求されてしまいます。
良い不動産会社を選ぶ
良い条件で物件を売却するには、良い不動産会社と契約を結ぶことが重要です。
査定根拠を明示できるか、といったポイントのほか、売買実績や資格の有無などをチェックするとよいでしょう。
賃貸管理契約の解約
前述のとおり、賃貸管理契約を解約する際に違約金が発生することがあります。
その他、入居者への連絡など、必要な手続きを確実に進めなくてはなりません。
仲介にするか買取にするか
不動産会社が買主となる買取の場合、購入希望者を探す必要がないことから、短期で売却を完了できる点が魅力です。
ただし、売却価格が仲介よりも安くなることが多い点には注意しましょう。
リフォームの必要性を検討
ワンルームマンションの場合、買い手は賃料収入を得ることが目的です。
内装のクオリティが高かったとしても、必ずしも売却価格に反映されないこともあります。
売り手側はリフォームせず、売却価格を抑えるほうが買い手が見つかりやすいことも多いのです。
入居者トラブルの有無を確認
入居者から家賃の入金が遅れている場合などは、売却に悪影響が生じることもあります。
リスクのある物件は敬遠されますので、トラブルは解決してから売却する方がよいでしょう。
ワンルームマンションを高く売るコツ
専門会社に依頼する
売却する物件の種別やエリアなどに強い不動産会社を見つけましょう。
不動産会社の強みと売り出す物件の特性が合致すれば、良い買い手を見つけられる可能性が高まります。
査定根拠を確認する
査定金額だけを見て満足するのではなく、その根拠を説明するよう不動産会社に依頼しましょう。
具体的な根拠を提示できる業者は信頼性が高く、その後の取引もスムーズに進みやすいです。
具体的な販売戦略を持つ不動産会社を見極める
どのようなターゲット層に、どういった手法で営業するのか、具体的に示すことのできる不動産会社を選びましょう。
見込み客をどれくらい抱えているかも重要なポイントです。
物件の入手時から売却を意識する
物件を購入する時点から、売却しやすい物件の条件を意識することも大切です。
具体的には、築浅であることと、設備等が充実していることを重視すると良いでしょう。
設備面では、オートロックやバス・トイレ別、室内洗濯機置き場などの条件が整っていると、
買い手が見つかりやすい傾向にあります。
ワンルームマンションの売却査定
ここで、売却査定の方法をご紹介します。
取引事例比較法
類似物件が取引された事例を収集し、必要に応じて事情補正や時点修正を行います。
また、地域的要因、個別要因も考慮のうえ、物件の売却価格を査定する方法です。
原価法
査定時点における物件の再調達原価(当該時点での建築費相場)を算出し、
そこに新築当時からの価格低下に応じた修正率を乗じて査定額を算出する方法です。
収益還元法
年間の賃料収入を還元利回りで割って、査定価格を算出する方法です。
還元利回りは、物件やその地域に対し、投資家が期待する利回りです。
その物件で将来的にどの程度の利益が得られるかという観点から、物件の査定を行います。
売出し価格の設定方法
ワンルームマンションの売り出し価格設定は、売却成功のポイントになります。
定価のない中古物件は個別性が高いために価格決定が難しいものです。
売り出し価格は相場とのバランスが重要になり、適切でない場合は機会損失をしてしまうことがあります。
査定額の約1割高めに設定し、買主との交渉を想定することが推奨されます。
実際の価格決定には、周辺エリアの物件売出し情報や市場状況を考慮し、不動産会社と詳細の打ち合わせが重要です。
ワンルームマンションの売却事例
サブリース継承で契約
Aさんは所有している物件の売却を進めたいと考え、サブリース契約を締結していた賃貸管理会社に解約を申し出ます。
しかしこれを拒否され、その会社から希望より3割程度安い価格で買取を提案されました。
価格に納得ができないAさんは、一括査定サイトに物件の査定を依頼します。
そこで連絡をしてきた仲介会社から、希望価格での売却を提案されます。
最初に受けた提案で妥協することなく、粘り強く不動産会社を探し続けたことで、成功を勝ち取ることができました。
自宅購入のために売却
Bさんは自宅の購入を予定しています。その住宅ローンを組むため、6か月以内に所有するワンルームマンションを売却して、
現在のローンを返済しようと考えます。一括査定を依頼したところ、回答された査定額にはかなり差がありました。
Bさんは、査定額が最も高い会社と、具体的な営業手法を提案してくれた会社の2社に依頼します。
数か月後、査定額の高い会社は結局提示額での申し込みはありませんでした。
一方、後者経由では納得のいく価格で申し込みがあり、無事成約となりました。
査定価格だけで依頼先を即断せず、複数の会社に依頼をしたことが成功につながりました。
当社が現場で感じる市場の変化
代表取締役伊藤幸弘
直近の市況を見ると、取引数は少なくなってきている印象がありますが、価格は微増傾向にありました。ただ、最近になって取引が特に減少してきていますね。例えば査定依頼や問い合わせの数が明らかに減っています。
取引数の減少というのは、現状を見て様子見している投資家が多いということです。日銀の金利政策や株価の動向など、いろいろな要因があって、投資家の方々がトレンドを見定めようとしている段階ですね。金利が上がれば不動産価格は下がるというのが相場の考え方なんですが、一方でインフレの影響もあって、むしろ物件として保有しておいた方がいいんじゃないかと考える投資家も多いんです。
取引数や市況に大きな影響を与えているのが金利です。2024年から2025年にかけては、金利上昇は避けられないと見ています。これまでの0%台という金利は異常な状態で、通常であれば3~4%程度の金利水準が適正だと考えられます。ですから、金利は上げざるを得ない状況です。
金利が上がれば、不動産価格は必ず下がります。ただし、同時にインフレの問題もあるので、実質的な価値がどうなるかは別問題です。例えば、2,000万円で買った物件が3,000万円で取引されるようになったとしても、それは通貨価値の低下による見かけ上の上昇である可能性もあります。
原材料価格の高騰も無視できない要因です。賃金上昇や材料費の上昇により、管理費や修繕積立金の値上げが必要になってきています。キャッシュフローにおいてマイナス要因となります。
一方で、プラスの要因としては、特に都心部や都市部では、人口や世帯数が増加傾向にある地域もあり、そういった地域では価格の上昇も期待できます。
また、国の投資推進政策(IDECOやNISA等)も市場にとってはプラス要因となり得ます。これまで預金として眠っていたお金が市場に流入してくる可能性があるためです。
これらを総合的に判断して、2024年から2025年にかけては、市場は横ばいで推移すると私は見ています。ただし、何か大きなイベントが起これば、それによって上昇・下降トレンドかが決まってくるでしょうね。
正直、予想が非常に難しい状況です。例えば東京オリンピックによる投資市場の好影響を予想していたら、コロナになったように、予期せぬ出来事が起こる可能性は常にあります。ただ、現時点で見る限り、明るい材料はあまり感じられないので、2025年は耐え忍ぶ一年になりそうです。