投資マンション売却
【状況別】投資用マンション売却のメリット|今はベストなタイミング?
投資用マンションの売却で得られるメリットは、家賃収入と経費のバランスや築年数、所有年数などの状況によって異なります。
投資用マンションのオーナーは、できるだけ最終的な収支がプラスになる売却のタイミングを見極める必要があります。
状況別のメリットを詳しく紹介するので、自分の状況と照らし合わせながら、いまが売りどきかを検討してみましょう。
目次
【状況別】投資用マンション売却のメリット
投資用マンションを売却するメリットは、以下のとおりです。
投資用マンション売却のメリット
状況 | メリット |
---|---|
赤字が続いている場合 | 損失を最小限にできる |
築20年を超えていない場合 | 物件価格が下落する前に現金化できる |
所有期間が5年を超えている場合 | 譲渡所得税を抑えられる |
減価償却費がローンの返済額を上回る場合 | デットクロスによる赤字を回避できる |
大規模修繕が行われた直後 | 高値で売却できる |
副業で投資をしている場合 | 管理の手間がなくなる |
それぞれについて詳しく解説します。
【赤字が続いている場合】損失を最小限にできる
空室などの理由から、家賃収入が必要経費を下回り赤字が続いているケースでは、物件を売却することで損失を最小限にできます。
ただし、赤字には、以下の2パターンがあります。
- 減価償却費により帳簿上は赤字なのに実際は手元に現金が残っている
- 収入が支出を下回りキャッシュフロー上の赤字になっている
売却を検討しなければならないのは、キャッシュフロー上の赤字に陥っているときです。
空室の発生や家賃価格の下落で、収入が減少し手残りのマイナスが続いているなら、損切りの検討が必要です。適切なタイミングで売却できれば、損失を最小限に食い止められます。
また、家賃収入によるキャッシュフローは赤字でも、売却益によりトータルの収支が黒字になる可能性も残されています。
【築20年を超えていない場合】物件価格が下落する前に現金化できる
一般的にマンションの売却価格は築年数が増すごとに下がり、特に築20年を境に大きく下落します。そのため、投資用マンションは築20年を超える前に売却するのが理想です。
築20年以内の投資用マンションは、買い手が金融機関から融資を受けやすいため、利回りの低い物件でも高値が付く傾向があります。
以下は、公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」による中古マンションの築年数別の平均価格です。
引用:公益財団法人 東日本不動産流通機構「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
築年数の経過はマンションの売却価格に影響し、築25年を超える物件になると下落幅が大きくなっていることがわかります。
また、築35年を超えると、投資用マンションはほとんど評価されません。そのため、金融機関からの融資を受けられず、売却の難易度が上がります。仮に融資を受けられたとしても、築古の物件は短い期間での返済や高い金利を強いられるため、高い利回りが要求されます。
これらの理由から、投資用マンションは築20年を超える前の売却を目指すのがよいでしょう。
【所有期間が5年を超えている場合】譲渡所得税を抑えられる
投資用マンションの売却益にかかる税率は、所有期間が売却した年の1月1日の時点で、5年を超えているか、5年以下であるかで大きく異なります。
所有期間が5年超の長期譲渡所得の税率は20.315%、5年以下の短期譲渡所得の税率は39.63%です。
所有期間による譲渡所得税の違い
長期譲渡所得 | 短期譲渡所得 | |
---|---|---|
所有期間 | 売却した年の1月1日時点で5年を超えている | 売却した年の1月1日時点で5年以下 |
税率 | 20.315%(所得税15.315%、住民税5%) | 39.63%(所得税30.63%、住民税9%) |
参考:
国税庁「No.3208 長期譲渡所得の税額の計算」
国税庁「No.3211 短期譲渡所得の税額の計算」
つまり、所有期間が5年を超えてから売却すると、譲渡所得の税率をおよそ半分に抑えられるメリットがあります。
【減価償却費がローンの返済額を上回る場合】デットクロスによる赤字を回避できる
投資用マンションなどの資産は、年数の経過に伴って価値が落ちていくという考え方のもと、耐用年数が決められています。耐用年数の期間は、減少する価値として、減価償却費により実際の支出を伴わない経費計上が可能です。
つまり、家賃収入が黒字でも会計上は赤字になることがあり、利益に対して課せられる税金を抑えられます。
減価償却費は、投資用マンションの取得原価を耐用年数で割った金額です。耐用年数が終了し減価償却がなくなると、節税のメリットが消失してしまいます。
このタイミングがデッドクロスです。
デットクロスを迎えると、税負担が増えるため資金繰りが悪化します。それまでキャッシュフローがプラスでも、デッドクロスでマイナスに陥ることもあるでしょう。
そのため、デットクロスを迎える前の売却は、赤字への転落を回避できるメリットがあります。
【大規模修繕が行われた直後】高く売却できる
投資用マンションの大規模修繕が行われた直後は、高値で売却ができる可能性がアップします。大規模修繕はマンション資産価値の向上に大きく関わっているためです。
大規模修繕では、躯体や外装、共用部分の手直しが行われ、マンションの耐久性への信頼や見た目、利便性が向上します。
大規模修繕により資産価値がアップしたタイミングは、高値で売却できるチャンスです。
【副業で投資をしている場合】管理の手間がなくなる
投資用マンションの経営は、空室対策や入居者とのトラブル対応など、一定の労力が必要です。特に副業で投資を行っている場合、これらのわずらわしさが本業に影響しているかもしれません。
前述したとおり、マンションの価値は築年数が経過するほど下がっていきます。
本業と副業のバランスがとれず、管理コストが重くのしかかり疲弊してしまうなら、早めに売却するのもひとつの選択肢です。
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損をしたくない!投資用マンション売却の注意点
投資用マンションの売却で損をしないためには、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 売却にかかる費用を把握する
- 市場が活発な時期に売却する
- 投資用マンション専門の不動産会社に相談する
売却にかかる費用を把握する
投資用マンションの売却は費用がかかります。売却を決断する前に把握していないと、せっかく希望の金額で売れたとしても、最終的な収支は思惑と異なるかもしれません。
投資用マンションの売却にかかる費用は、以下のものがあります。
- 仲介手数料
- 印紙税
- 登録免許税・司法書士費用
- 譲渡所得税
仲介手数料
投資用マンションの仲介を不動産会社に依頼して売却が成立した場合、仲介手数料が発生します。
仲介手数料の上限は、売却価格によって上限が定められています。以下は、仲介手数料の上限を求める速算式です。
仲介手数料の速算式
売却価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格 × 5%+消費税 |
200万円超から400万円以下 | 売却価格 × 4%+2万円+消費税 |
400万円超 | 売却価格 × 3%+6万円+消費税 |
参考:国土交通省「宅地建物取引業社が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」
印紙税
投資用マンションの売買契約書には、印紙を貼って印紙税を納める必要があります。
印紙税の金額は、売買契約書の記載金額によって異なります。また、記載金額が10万円を超えるもので、令和6年3月31日までに作成されたものは軽減措置の適用を受けられます。
印紙税の金額
契約金額 | 本則税率(円) | 軽減税率(円) |
---|---|---|
10万円を超え50万円以下のもの | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下のもの | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下のもの | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円 | 1万円 |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円 | 3万円 |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円 | 6万円 |
5億円を超え10億円以下のもの | 20万円 | 16万円 |
10億円を超え50億円以下のもの | 40万円 | 32万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 | 48万円 |
参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」
登録免許税
投資用マンションを売却する際にローンが残っている場合は、金融機関に残高を返済し抵当権抹消の手続きをします。
このときに必要なのが、登録免許税と司法書士に支払う報酬です。
抵当権抹消にかかる登録免許税は1個につき1,000円で、投資用マンションは建物部分と土地部分の2件で2,000円がかかります。
さらに手続きを依頼する司法書士への報酬として、1万5,000〜3万円の費用を支払います。
譲渡所得税
投資用マンションの売却益には、譲渡所得税が課せられます。売却益の計算方法は、以下のとおりです。
売却益=売却代金−(取得費用+譲渡費用)
売却益にかかる税率は所有期間に応じて長期譲渡所得税(税率:20.315%)か短期譲渡所得税(税率:39.63%)のいずれかの税率を適用します。
金利が低い時期は狙い目
日本は低金利の状態が続いていますが、長期金利は2023年10月に10年ぶりの高水準をつけました。
世界的な金利上昇の圧力で、この先日本はさらに金利が上昇するかもしれません。
23日の東京債券市場では、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが上昇(国債価格は下落)し、前週末より0・025ポイント高い年0・860%をつけた。日本銀行が大規模な金融緩和を始めた直後の2013年7月以来、約10年3カ月ぶりの高水準に達した。 |
引用:朝日新聞DEGITAL「上昇続く長期金利0.86% 10年ぶり高さ、日銀の政策修正観測も」
不動産投資家にとって、金利は低いほうがローンの利息が抑えられ、マンション経営には有利に働きます。
そのため、金利の低い状態が続けば、投資用不動産の市場は活発化します。つまり、投資用マンションを高値で売却するには、金利が低い時期を狙うのがよいでしょう。
ただし、今後の金利変動がどのように推移するのかを、一般の不動産投資家が予測するのは難しいでしょう。
投資用マンション専門の不動産会社に相談する
投資用マンションの売却によるメリットを最大限に得るには、タイミングを逃さないことが重要です。高値で売却できる時期に売り出せば、家賃収入ではマイナスが続いていたとしても、結果的に黒字を出せる可能性があります。
しかし、さまざまな要素が複雑に絡み合っているため、ベストなタイミングを自分だけで判断するのは難しいでしょう。
納得できる結果を出すには、投資用マンション専門の不動産会社への相談をおすすめします。
投資用マンション専門の不動産会社なら、最新の市場動向も把握しているため、個別のケースごとに的確なアドバイスをしてくれるでしょう。
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