投資マンション売却
サブリース物件は売却できない?売却する方法・ポイントを解説
サブリース物件は、売却が難しいとされています。
サブリース契約の解約には正当な理由が必要であり、サブリース会社が法的に保護されているため、オーナー側が一方的に契約を解約することは困難です。
加えて、サブリース物件の融資が下りにくい点も売却を複雑にしています。しかし、契約内容を正確に理解し、サブリース会社との協議、解約や継承の検討を行うことで、売却の可能性を高められます。
目次
サブリース物件が売却できないのはなぜ?
サブリース契約はサブリース会社が借主、オーナーが貸主となりますが、さまざまな理由から簡単に解約、そして売却するのが難しい契約となっています。
そのため、一度サブリース契約を締結してしまうと、資産整理できない賃貸物件になってしまうこともあります。
サブリース契約をした物件の売却が難しい理由について解説します。
解約が難しい
サブリース契約は、オーナーからの解約が基本的にはできません。
借地借家法において、借主は保護の対象になりますが、サブリース契約において借主にあたるのはサブリース会社です。つまり、法律でサブリース会社が守られてしまうため、正当事由なくオーナーから解約するのは難しいのです。
建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
借地借家法第二十八条 より一部抜粋
正当事由とは、オーナーの個人的な意向ではなく、解約するにあたって正当な理由があるかどうかということです。
「サブリース物件を売却したいから」「不動産投資をやめたいから」といった理由は正当事由とはいえません。「大規模修繕あるいは取壊しの必要性がある」「サブリース会社から賃料が支払われない」など客観的に見て合理的な理由が必要になります。
そのため、サブリース物件を売却する場合は、サブリース契約を継続したまま、所有権を売却することになります。しかし、購入者はサブリース契約を継続しないといけないため、サブリース契約を望んでいないオーナーからは敬遠されてしまいます。
サブリース物件は融資が下りにくい
投資物件を購入するオーナーのほとんどが金融機関からの融資を受けますが、サブリース物件は融資が下りにくいです。
サブリースは、満室時の7~8割ほどの家賃保証が一般的ですが、どうしても満室経営している賃貸物件に比べると収益性が落ちます。収益性が落ちるということは担保評価が下がるということなので、希望する金額の融資が受けられないかもしれません。
また、入居者を決めるのがオーナーではなく、サブリース会社であることも金融機関からすると不安要素です。オーナーに十分な年収があり、信頼のできる人柄だとしても、質の悪い入居者を入居させたために、家賃滞納や隣人トラブルなどで賃貸経営が上手くいかないおそれがあります。
このような理由から、融資が下りない、または希望する額の融資が受けられないといったことがあります。
サブリース物件を売却する方法・ポイント
サブリース物件を売却することは難しいですが、絶対にできないわけではありません。しっかり売却の手順とポイントを押さえることで、売却できる可能性を高められます。
サブリース契約の内容を確認する
サブリース物件を売却するためには、まずサブリース契約の内容を確認し、売却に支障がないかをチェックする必要があります。
契約内容によって、売却の進め方や注意点が大きく変わるため、重要なステップです。
また、このタイミングでサブリース会社に売却する意向を素直に伝え、相談することもトラブルを避けるうえでのポイントです。
サブリース会社に対しては、闘う姿勢ではなく、双方にとって最善の選択をするといったスタンスで向き合いましょう。
解約するか継承するかを決める
契約内容を確認し、契約内容の継承ができるとわかった場合、基本的にはサブリース物件の売却は可能です。
ただし、継承できないと判明した場合は、違約金を支払って契約を解約することになります。オーナーの資産状況によっては、違約金の分だけサブリース物件の売却価格を上げる必要があり、その結果販売が長期化する可能性が高くなるため、注意が必要です。
売却可能な価格相場を把握する
サブリース物件に限らず、収益物件の売却は一般住居の売却よりも難易度が高いです。そのため、売却を検討したら必ず不動産会社に相談し査定価格の提示を受けるべきです。
査定価格を通じて価格相場を把握できれば、最適な売却価格に設定できます。そのため、なるべく早い段階でこのステップを踏むことがポイントです。
なお、サブリース物件の売却は不動産会社にとっても難易度が高いことから、複数の不動産会社に相談することをおすすめします。
サブリース物件の相談は、投資物件の取り扱い実績が豊富な不動産会社に依頼しましょう。不動産といっても投資用と実需(所有者本人が居住する不動産)では、取り扱いがまったく違います。投資用物件をメインに取り扱っている不動産会社への相談が望ましいです。
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サブリース会社とトラブルが生じたら?
サブリース契約はメリットが多い一方で、市況の変化による家賃改定のデメリットがあり、解約を検討するケースも多いです。
その結果、サブリース会社とトラブルになってしまうオーナーもいますが、このような事態を避けるためにも対処方法を知っておくことが重要です。
正当に解約できる事由かどうかを確認する
サブリース契約は、行政からの立ち退き依頼や自己所有などを理由に解約することができますが、担当者がそのことを知らないことも多いです。
その背景として、不動産会社は人の入れ替えが比較的多く、担当者が変わることが多いこと、そして、サブリースは比較的新しい契約形態で、法律の改定が頻繁に行われることから、直近の契約状況をお互い把握していないこともあります。
つまり、現行法令に沿ったうえで正当に解約できる理由があればその旨をサブリース会社に伝え、速やかに解約してもらうよう依頼すべきといえます。
契約内容に齟齬がないか確認する
担当者の経験値によっては契約内容を正しく理解していないこともあり、その場合は専門的な解釈を間違ってオーナーに説明している可能性もあります。
このような状況で解約の相談をすると一方的に不利な内容を求められることがあり、注意が必要です。
そのため、サブリース契約を解約する場合は契約書の内容を再度チェックし、理解できない部分があればサブリース会社に再度説明してもらうことをおすすめします。
専門家に相談する
サブリース会社は賃貸管理のプロでもあるため、話し合いのペースを握られてしまうことが多いです。
そこで、サブリース会社とトラブルになった場合は宅建協会や消費者相談センター、弁護士などのプロに早い段階で相談し、できれば話し合いの場に同席してもらうよう手配すべきです。
こうすることで対等な立場でサブリース会社と交渉を進めることができ、満足のいく内容でトラブルを解消できる可能性が高まります。
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