投資マンション基礎知識
【最新版】ワンルームマンションの価格推移を分析!投資家なら知っておくべき市場動向
ワンルームマンションの価格は上昇し続けていますが、低金利の継続によって今後も高い水準で維持されると考えられます。また、現在、円安によって外国人投資家から日本の不動産が注目されているのも特徴です。
ワンルームマンションの価格推移や投資家が知っておくべき最新の市場動向を詳しく紹介します。そこから現在が購入や売却に適したタイミングなのかを分析しましょう。
目次
ワンルームマンションの価格推移
ワンルームマンション価格はどのように変動しているのでしょうか。過去10年間のデータからエリア・築年数による違いと、賃貸マンション家賃との関連性について分析します。
都心5区の価格推移
ワンルームマンションの価格状況を知るには、まず都心5区の状況を確認しておく必要があるでしょう。
以下は、都心5区における過去10年間の㎡単価推移を表したグラフです。
出典:国土交通省「土地総合情報システム」
データは実際に取引のあった売買価格を基にしているため、実勢価格と捉えてよいでしょう。
2016年は中央区と千代田区が平均を大きく上回っていましたが、2020年は港区が過去10年間における都心5区の最高単価(約118万円)となっています。
5区の平均価格は2016年まで10%以上の上昇を続けましたが、2017~2020年はほぼ横ばいとなり2021年に下落しました。しかし2022年には上昇し、2013年の単価よりも69%上昇しています。
築年代別㎡単価と取引件数
次に都心5区の売買物件について築年代別の価格変化を確認してみます。
下は過去10年間に取引された都心5区の物件のうち、築年が明らかになっている物件の単価を3つの築年代別に集計したものです。
出典:国土交通省「土地総合情報システム」
5区の平均㎡単価は以下のとおりであり、2007年以降の物件は1988年までの物件の約1.8倍の単価になっています。
年代 | 1988年まで | 2006年まで | 2007年以降 |
---|---|---|---|
平均㎡単価 | 70万698 | 103万4,567 | 128万5,063 |
過去10年間の売買実績において、築年代別に物件を分類するとどのようになるのかについても確認しておきましょう。
下のグラフは上記の3つの築年代別に集計した売買件数を表したものです。
出典:国土交通省「土地総合情報システム」
3つの築年代は次のように定義し区分しています。
- 昭和年代の物件
- 現在時点(2023年7月)で築34年~築16年の物件
- 現在時点(2023年7月)で築15年以内の物件
グラフからは昭和年代の物件が半数以上を占めており、今後築年数の新しい物件が市場に多くなると、マンション価格は上昇することを示唆しています。
家賃相場とマンション価格の推移
ワンルームマンションは実需もありますが投資用としても流通しており、賃貸マンションの家賃相場の変動によって売買価格が影響を受けます。
アットホームの「公表資料」によると、東京23区のシングル向けマンションの家賃は、2009年第1四半期を100とすると、2015年前半において低下していた家賃が反転し、2023年第1四半期には112.35まで指数が上昇しています。
新型コロナウイルスの影響を受けた2020年第2四半期から、2021年第3四半期までは下降する局面がありましたが、その後回復し、現在は高い水準となっています。
家賃が上昇すると利回りは上がるため、売買価格は上昇する傾向にあります。家賃相場の変動もマンション価格変動の大きな要素といえるでしょう。
投資家なら知っておくべき最新の市場動向
ワンルームマンションの価格変動に影響する市場動向について解説します。
円安による外国人投資家の日本買い
2021年10月頃、米ドルに対する為替レートは110円前後でしたが、その後急激に円安が進み、2022年10月21日には151.94円と1998年6月以降の最安値となっています。
引用:七十七銀行「米ドル円相場(仲値)推移グラフ 短期・長期」
円が安いと海外投資家にとっては「日本の不動産が割安」になることを意味しています。投資のチャンスといえる環境の中、東京都心は家賃水準が高く好利回りの投資機会に恵まれています。
そのため、経営に行き詰まり売りに出る物件は少なく、売り物件は高値水準での取引になっているといえるようです。
低金利が続き投資意欲が高い
2013年より実施している日本銀行(日銀)の異次元金融緩和は、円安のひとつの要因です。植田総裁に代わった後も継続しており、不動産投資が行いやすい環境づくりが重要なポイントでしょう。
2023年の経済見とおしを日銀は公開しており、年内の金利引き上げは考えられず、今後も金融緩和策は継続すると予想されます。
そのため、売買価格を押し下げる要因は存在せず、投資目的のワンルームマンション価格は上昇を続けるといえるでしょう。
地価低迷から脱した現在
マンション価格は地価の影響をある程度受けるものですが、都心の新築マンションに限っては、ほとんど地価の影響を受けずに価格上昇が続きました。
下図は公示価格の平均値と首都圏の新築マンション価格を比較したものです。
出典:
- 国土交通省「地価公示」
- 不動産経済研究所「全国マンション市場40年史」
地価は1991年をピークに下落が始まり、2014年にはピーク時の3分の1にまで達し、その後徐々に上昇傾向になっています。
一方マンション価格は、1995年にピーク時の3分の2にまで下落しました。しかしその後、横ばいから徐々に上昇を始め、2013年の金融緩和政策開始時からは急速に上昇をした様子がわかります。
2022年、2023年と路線価格の上昇が全国的にみられ、今後は地価上昇の影響がマンション価格にも反映されるようになり、マンション価格の下落要因はないといえる状況です。
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いまはワンルームマンションの取引時期として最適?
2023年はマンション価格が下落する懸念は少なく、今後も上昇傾向は続くと考えられます。
現在の状況でワンルームマンションの購入あるいは売却に関し、どのようなスタンスを取るべきか、投資家視点での参考意見をお伝えします。
購入編
ワンルームマンションの購入を検討している場合、いまは買い時なのか、それとももう少し待つべきなのか、迷う方もいるでしょう。
このまま上昇傾向が続くと、投資物件としての利回りは低下していきます。
逆に近々マンション価格が下落する可能性はないのでしょうか。下落すると利回りは上昇し、収益性の高い物件を取得することが可能です。
首都圏、特に都心の物件は現在のところ、価格が下落する要素は見あたりません。このまま上昇傾向が続くと考えられ、時間が経過するほど高い相場となるでしょう。
もし求めているエリアに対象となりそうな物件がある場合は、早めに検討を行いましょう。さらに選択肢を広げ比較検討をする必要もあり、物件情報の収集は念入りに行うことが大切です。
売却編
ワンルームマンションの売却を検討している場合、売るタイミングをどのように見きわめるのでしょうか。
現在は上昇傾向が続いているため、予想される売却価格が目的に合致するのであれば決断してもよいといえます。
価格が上昇している間はいつでもよいのかというと、少し補足して考える必要があります。
- 大規模修繕工事が近い将来に行われる可能性が高い
- 近々ローンの元金返済分が減価償却費を上回る
- オーナーチェンジで売る場合は入居中に売却するほうが売りやすい
売却のタイミングを考える際に、上記のような要素を考慮すると、よりよいタイミングでの売却が可能です。
投資用マンション専門の不動産会社に相談しよう
不動産会社には賃貸と売買の大きく2つのジャンルがあり、どちらも扱う会社もあれば、どちらか一方の会社もあります。
売買に関しては実需といわれる自身が居住するための不動産と、投資用の不動産に分かれます。
実需用の不動産と投資用不動産では、そもそも購入希望者の目的が異なっており、物件に対する評価の視点も違います。この視点の違いは仲介する担当者にも当然あるもので、物件の選択眼や査定の視点にも影響します。
投資物件を、実需不動産を専門に行っている担当者が扱った場合、依頼者と担当者との間で微妙な食い違いが生まれることもあります。また投資専門に仲介業務を行っている担当者であれば、収集する情報は投資家視点のものが多くなり、的確なアドバイスを期待できるものです。
そのような面から、投資用マンションの売買は、投資用マンション専門の不動産会社に依頼するほうが確実な結果が得られるでしょう。
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