オーナーチェンジ
オーナーチェンジ物件の売却ガイド|価格の決め方・売却方法を解説!
入居者がいる状態で所有物件を売却するときは、オーナーチェンジ物件として売却することになります。しかし、オーナーチェンジ物件は、賃貸借契約をそのまま引き継ぐことになるため自由度が低く、売れにくいのが実情です。
オーナーチェンジ物件をスムーズに売却するには、どうすればよいのでしょうか。売却するときの流れや注意点などを解説します。
目次
オーナーチェンジ物件の基礎知識
オーナーチェンジ物件とは、文字通りオーナーが変わる物件のことです。ここでは、オーナーチェンジ物件の基礎知識について解説します。
オーナーチェンジ物件とは?
オーナーチェンジ物件とは、賃貸物件のオーナーが、入居者と賃貸借契約を交わしたままの状態で売り出した物件のことです。すでに入居者がいる状態で売却するため、入居者はそのまま住んでいますがオーナーだけが変わります。
オーナーチェンジで物件を購入した買主は、賃料などを受け取る権利を取得すると同時に、管理ルールや入居者が退去するときの敷金返還義務も前オーナーから引き継ぎます。つまり、権利を受け取るだけでなく義務も果たさなければなりません。
購入した時点ですでに入居者が住んでいるため、新築物件よりも早く収益化できるのがメリットです。
オーナーチェンジ物件の特徴
オーナーチェンジ物件の主な特徴は以下の通りです。
- 購入した翌月から家賃収入を得られる
- 前オーナーの運営ノウハウを引き継げる
- 融資審査が通りやすい
オーナーチェンジ物件はすでに入居者がいるため、購入した翌月から家賃収入を得られます。新築物件ではまず、入居者を見つけなければならず、すぐに収益化できません。入居者を探す手間や時間を省けるため、効率よく賃貸経営を行えます。
前オーナーの運営ノウハウを引き継げるのもメリットです。賃料設定から運営方法などをそのまま利用できます。
家賃収入が入ってくるため金融機関の融資審査にも通りやすく、空室の物件より資金調達がしやすいといえます。
オーナーチェンジ物件の売却価格の決め方
マンションの売却価格は、立地や住環境などで価格が大きく違ってきます。ここでは、投資用物件の売却価格を決める方法について解説します。
投資用物件の売却価格を決めるポイント
基本的に投資用物件の価格は「収益力」で決められます。「どのくらいの利益が発生するのか?」がポイントで、居住用のように住みやすさやマンションのブランド力ではないことに注意しましょう。
たとえば、居住用なら多少駅から遠いとしても、自分が気に入った間取りやデザインのマンションなら構いません。人に貸すわけではないため、収益性を気にする必要がないのです。
しかし、投資用物件の目的は収益を得ることです。どれだけ入居者が入りやすいかで収益が決まるため、「駅から近い」「商業施設が豊富」など利便性の高いエリアにある物件だと資産価値が高く、高値で取り引きされます。
投資物件では直接還元法で算出する
直接還元法とは、不動産の収益価格を求める手法のひとつです。不動産から得ることのできる一定期間(通常1年間)の純利益(収入-経費)を一定の還元利回りで除して算出します。
直接還元法の計算式は以下の通りです。
不動産価格(収益価格)= 1年間の純収益 ÷ 還元利回り
たとえば、経費を抜いた1年間の純利益が100万円で、 還元利回りが5%のマンションの価格を算出してみましょう。
上記の計算式に当てはめて算出した価格が下の通りです。
不動産価格(収益価格)=100万円 ÷ 0.05=2,000万円
この場合、マンション価格は2,000万円になりました。直接還元法は計算方法がシンプルなため、初心者でも簡単に算出することが可能です。この物件を購入するときに、2,000万円以上の価格がついているときは、割高だと判断できます。
価格設定でマイナス・プラスになるポイント
マンションの価格を決めるうえで、マイナス・プラスになるポイントは以下の通りです。
プラスのポイント | マイナスのポイント |
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マンションの価格は立地によって大きく変わり、多少古くても駅から近いマンションは市場価格で売れやすいでしょう。そのため、いくら新しくても立地条件がよくない物件の場合は、高値での取り引きは難しいといえます。
「日当たりや風通しがよい」「防犯性が高い」「眺望がよい」など、住環境がよいのもプラスのポイントです。反面、「エントランスなど共用部分が汚い」「近くに風俗店がある」など建物の内外が清潔でなかったり、周辺環境がよくなかったりする場合はマイナスポイントとなります。
築浅物件はまだ新しいので入居者が気持ちよく住めますし、修繕費もあまりかからないので資産価値は下がりません。築古物件は住宅設備の故障や、退去後のリフォーム代がかさむので価格が下がるおそれがあります。
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オーナーチェンジ物件を売却する流れと注意点
オーナーチェンジ物件の売却は、一般的な不動産を売却するときとほぼ同じ流れですが、買主に物件情報や賃貸状況を詳しく説明するなど、いくつかプラスする点があります。
ここでは、オーナーチェンジ物件の売却の流れや、注意点について解説します。
売却する流れ
オーナーチェンジ物件を売却するときは、以下のような流れで進められます。
不動産会社に仲介を依頼する
査定依頼をして気に入った不動産会社を見つけたら仲介を依頼します。
媒介契約は「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれに特徴があるので、自分の不動産に合った媒介契約を選びましょう。
ちなみに専属専任媒介契約と専任媒介契約は1社の不動産会社としか契約できませんが、不動産会社が熱心に探してくれます。一般媒介契約だと複数社と契約できます。
買主に物件情報や賃貸状況を詳しく説明する
買主が見つかったらレントロールなどを利用して、物件情報や賃貸状況を詳しく説明します。レントロールとは部屋別に、家賃、敷金、契約期間等の契約条件が記載されている賃貸借契約の一覧表です。家賃の明細表のようなもので、レントロールを調べることで物件の契約状況を確認できます。
売買契約締結
売主と買主の間で契約内容について合意したら売買契約を締結します。
売買契約を結んだあとに契約を取り消すことはできません。契約を取り消す場合、売主都合なら売主が手付金の2倍を買主に支払います。買主都合の場合、買主は手付金を放棄します。
物件の引き渡しと賃貸借契約の引き継ぎ
売買契約書に記載されている引き渡し日に、代金の決済と登記(所有権の移転など)を行います。決済と登記が済んだら物件を引き渡し、新しい所有者に賃貸借契約を引き継ぎます。賃貸借契約の内容が記載されている書面を買主に渡しましょう。
入居者にオーナーの変更を知らせる
物件の引き渡しと賃貸借契約の引き継ぎが完了したら、入居者にオーナーの変更を知らせます。以下のような変更点をきちんと通知しておきましょう。
- 賃貸契約条件の確認
- 新しい賃料の振込先
- 新しい管理会社の名前や連絡先
オーナーが変わると賃料の振込口座が変わるため、新オーナーの銀行、支店名、口座番号、名義人などの情報を通知書に正しく記載しなければなりません。
近年では家賃の振込先の変更詐欺もよく見られるため、入居者に不審がられないように手続きをきちんと行う必要があります。
不動産登記簿謄本や売買契約書の写し(金額は黒字で塗りつぶしてOK)、賃貸契約書の写しなどを通知書に添付すると入居者が安心できます。
オーナーチェンジ物件を売却するときの注意点
次に、オーナーチェンジ物件を売却するときに注意することを解説しましょう。
実績のある不動産会社に依頼する
売却するときには、オーナーチェンジ物件の販売に強みがある不動産会社を選びましょう。
オーナーチェンジ物件は契約内容や販売方法が通常の物件とは違うため、投資用マンションの売買実績が豊富な不動産会社に売却を依頼します。新しいオーナーへの引き継ぎもサポートしてくれるので、スムーズな取り引きを期待できます。
家賃は慎重に設定する
家賃が相場より安い場合は収益性が低くなるため、高値で売却するのが難しくなります。
空室期間が長い場合は家賃を下げてしまいがちですが、一度その価格で設定してしまうと家賃の値上げをするのはかなり厳しくなります。家賃を設定するときは、慎重に考えてから決定してください。
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