ワンルームマンション投資は、初心者にとって取り組みやすい投資といわれます。しかし、ハードルの低さを逆手にとった詐欺被害が増えているのが現状です。
ワンルームマンション投資の仕組みや損をするからくりを解説します。特に投資初心者は、失敗したときの対処法も知っておきましょう。
当社にもワンルームマンションで損をした方の相談は多い
ワンルームマンション投資で利益を得る仕組み
そもそもワンルームマンション投資はどのように利益を得るものなのか、詳しい仕組みを解説します。
ワンルームマンション投資が始めやすい理由
ワンルームマンション投資は、初心者の方でも始めやすいハードルの低い投資ジャンルです。
その理由には、投資金額が少ないことが挙げられます。
アパート経営となると少なくても数千万円の資金が必要ですが、ワンルームマンションなら1,000万円台での投資も可能です。地方都市や都心から離れると、数百万円での投資も可能になります。
1件あたりの投資金額が少ないため、投資の原則といわれる分散投資もしやすいのが特徴です。つまり、たとえば2,000万円の総投資金額を準備できると仮定すると、2~4件ほどの複数の物件に投資可能なため、投資リスクを分散できます。
このように初心者が始めやすい投資のため、ワンルームマンション投資は人気があります。しかし、それが初心者が陥りやすい落とし穴でもあるため、予備知識を身に付ける必要があることを忘れてはいけません。
インカムゲインとキャピタルゲイン
ワンルームマンション投資による利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。
物件を賃貸して得る家賃収入をインカムゲインといい、取得した物件を売却して得る売却益をキャピタルゲインといいます。
投資をするときは、利益目標をこの2つに分けて考えます。具体的には、たとえば以下のように目標を設定します。
- 年間のインカムゲインは投資総額の5%とする
- 取得後5年経過した時点で売却し、売却益を総投資金額の20%とする
しかし、現代はキャピタルゲインよりもインカムゲインを重視する傾向が強くなっています。
キャピタルゲインを目標としても、数年後に売却しようとする時点で価格が必ず上がることを予測するのは難しく、安定した家賃収入を目標とするほうが安全な投資になるためです。
利回りの考え方
インカムゲインを目標とした投資では、利回りが重要な指標です。利回りは、次の式で計算します。
利回り(%)=年間の家賃収入 ÷ 投資金額 × 100
たとえば1,000万円で購入したワンルームマンションを月8万円で賃貸した場合の利回りを求める計算式は、以下のとおりです。
利回り=8万円 × 12カ月 ÷ 1,000万円 × 100=9.6%
利回りは9.6%ですが、このように計算する利回りを「表面利回り」といいます。
ワンルームマンション投資の場合、年間に受け取る家賃から支出する費用があります。管理組合に納付する管理費と修繕積立金、また入退去に伴うクリーニング代などの必要経費もあり、実際の手取り収入は少なくなります。
これを「実質利回り」といい、計算式は次のようになります。
実質利回り(%)=(年間の家賃収入-管理費と修繕積立金-必要経費) ÷ 投資金額 × 100
先ほどの例で、管理費と修繕積立金は月3万円とし、その年にかかった必要経費を5万円と仮定すると、計算式は次のようになります。
実質利回り={(8万円-3万円)×12カ月-5万円}÷1,000万円 × 100=5.5
つまり、実質利回りは5.5%となり、表面利回りとは4.1%もの差があることがわかります。
一般的に投資物件を購入する場合、販売資料などには表面利回りしか記載されていません。必ず実質利回りを計算し、投資目標に合致する物件かどうかを検討する必要があります。
また、上記の例では空室期間がなく12カ月家賃収入がある前提で計算しています。しかし、空室期間が生じると、収入がなくても管理費と修繕積立金の支払いがあり、実質利回りは大きく減少します。
空室の発生はワンルームマンションばかりではなく、賃貸経営では大きなリスクになることを認識しましょう。
ワンルームマンション投資で損をするというのはどういった状況?
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ワンルームマンション投資で悪徳業者が利益を得るからくり
確実に利益の出る投資物件が販売されることは、理論上ありません。投資である以上、目論見に反して空室が続き、購入後に儲からない物件だとわかることもあります。
しかし、「確実に儲かる」と思わされて購入させられるケースは少なくありません。そのような投資をもちかける悪徳業者が利益を得るからくりや具体的な手法をいくつか紹介します。
巧みな営業手法で投資初心者に販売
ワンルームマンション投資は、中古物件はもちろんですが投資用の新築物件もあります。
販売は、開発事業者が自ら販売するケースと、事業者から委託された不動産会社が販売代理として行うケースがあります。
どちらの場合も、販売する営業担当者の収入は、売れば売るほど高くなるインセンティブが付いています。そのため、販売実績を上げるために、さまざまな営業手法を用いています。
- 希望者多数のため抽選
- 今回だけの特別値引き
- 期間限定の優良物件
上記のような文言が並んだ広告メディアに興味をそそられ、その巧みな営業手法に乗せられて儲からない物件を購入してしまうのは、わりと年収の高い若年層といわれています。
偽装入居や退去予定隠し
中古物件のワンルームマンション投資では、オーナーチェンジが望ましいです。しかし、オーナーチェンジ物件にも落とし穴となるからくりがあります。
偽装入居といわれるもので、空室にもかかわらず、入居中であるかのように装った物件です。契約時に賃貸借契約書で入居中であることを確認した場合でも、引き渡し直後に退去通知が提出されることもあります。
売主側が退去予定であることを隠している場合や、架空の賃貸契約を形式上整え入居を偽装したケースでは事前に見破ることは難しいでしょう。引き渡しを受けたあとに長期間空室が発生することもあります。
過大なシミュレーションによる営業
投資物件の勧誘では購入後の利益予想が説明されますが、そのからくりに注意が必要です。
- 数年後に高く売れる
- 高めの家賃設定で満室が継続する
- 家賃の下落を長期間ないものとして計算する
- 修繕費や原状回復費用を過少に設定する
このような設定により収支シミュレーション上、大きな利益が出るように見せかけることは可能なため、なんの疑いもなく購入させられるパターンがあります。
シミュレーションはあくまでも仮定の数字であり、条件設定により結果は大きく変わるものです。しかし、投資に前向きになっている心理状態の場合、ネガティブな予想を受け入れようとせず、楽観的な思考が優ってしまう傾向にあります。
こうしてあまり儲からない物件にもかかわらず、飛びついて購入してしまうといった被害が少なくありません。
大規模修繕工事の計画を隠蔽
中古マンションの場合、築10~20年の期間で大規模修繕工事を実施します。
売買の時期がこの期間に該当する場合、大規模修繕工事が予定されていることを隠して売買契約を締結させられるケースがあります。
引き渡し後に管理組合から大規模修繕工事の個人負担分を請求され、多額の自己資金を拠出させられるかもしれません。購入時のシミュレーションではまったく予想されていなかった費用であり、投資計画全体に影響を与えてしまいます。
大規模修繕工事が予定されている物件の売買では、修繕工事の自己負担分を考慮して売買金額に反映させる交渉が可能です。しかし、計画予定が隠蔽されている場合は取引条件として協議もできません。
また、大規模修繕工事が行われると、そのあとは修繕積立金の値上げが行われることもあります。購入時のシミュレーションが大きく狂い、利益が減少してしまいます。
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ワンルームマンション投資で儲からないときの対処法
ワンルームマンション投資のからくりを理解する前に儲からない物件を購入してしまった場合は、損害をできるだけ小さくすることを優先させましょう。
具体的な対処法を紹介します。
早めに損切りをする
予想していたよりも儲からず、先行きの見通しが立たないときは、早めに売却する「損切り」が投資の鉄則といえます。
管理方法の改善や家賃設定の見直しなど、賃貸経営の組み立てを変更できる可能性があれば、しばらく保有する考え方もあります。しかし、ほとんどの場合、短期間で賃貸経営の環境を変えるのは難しく、売却してほかの物件に乗り換えるほうが損害を小さくするためには近道です。
入居中の物件の場合、利益が少ないとはいえ安定した家賃収入があるため、「なんとか持ちこたえられるだろう」いった考え方が浮かぶかもしれません。しかし、空室になったときの負担は大きなものになります。
また、時間が経過するほど物件価格の下落というリスクもあり、売却するなら早めの決断が重要です。
条件によってはタイミングを待ち売却する
儲からない物件は早めに売却するのが鉄則です。ただし条件によってはしばらく保有し、タイミングを見て売却する方法も考えられます。
ほかにも投資物件を保有していて、2~3年後に長期譲渡による売却予定があり譲渡所得が見込まれる場合といった特殊なケースに限るでしょう。譲渡所得から儲からない物件の売却損を控除し、実質的な損害を軽減する考え方です。
ただし、売却までの期間の収支が悪すぎ、しばらく保有することによる損害が大き過ぎるときに、この方法は採用できません。
投資マンション専門会社に相談する
早期に売却するかあるいはタイミングを待ち売却するか、どちらの場合であっても独自の判断では難しいといえるでしょう。
投資マンション専門会社であれば、投資をスタートするときの相談はもちろん、投資の組み換えや撤退の相談まで、不動産投資に関するあらゆる困りごとに対応してくれます。
ワンルームマンション投資は資産形成のためのひとつの方法であり、ほかにも資産形成を行う方法はいろいろあります。また、ワンルームマンションの中にも条件がよく、安定経営が図れる物件はあります。
条件のよい投資物件に出会えるかどうかは、相談する不動産会社次第のところがあります。投資に失敗するあるいはだまされるといったケースは、相談した相手が悪かったと考えられるケースが少なくありません。
信頼のおける専門家に相談することが何より重要です。
関連記事:ワンルームマンション売却の流れ。知っておきたい売買契約の注意点
ワンルームマンション投資で損してしまった場合の対処法
ワンルームマンションで損をしないポイント
代表取締役伊藤幸弘
残念ながらワンルームマンション投資で損をした人というのは多いですね。最近は7年ほど前と比べて、物件価値が1.4倍~1.5倍ぐらいまで上がってるので、収支で損してても売却金額の増えた分で少し救われるというか、なんとか処理できる方もいます。しかし、基本的にはあまり得をしない方が多いんです。
相談も多いですね。「あまりうまくいってない」という相談です。「不動産会社に言われた通りに物件を持ってみたけれど、月々プラスにならないし、年間で見るとマイナスになってる」という気づきから、色々調べたり考えたりして、「あれ、これって損しちゃってるな」ということに気づかれるというパターンが多いですね。
特に問題なのは、多くの方が値段の適正さをしっかり調べていないことです。「頭金不要で買えます」とか「月々の収支はトントンです」、あるいは「多少マイナスが出ても積立金と思ってください」みたいなことを言われて、投資の仕組み自体は理解したものの、その物件価値が高いのか安いのかは判断できていないんです。
他の物件と比較して相場も調べずに「良いって言われたから買いました」「友達に紹介されたので付き合いで1件買いました」というようなケース。こういったパターンで購入された方は、残念ながら損してしまうことが多いです。
すごく男前な買い方だなと思うんですよね。怖くないのかなって。でも、そういう方って、すごく優しい方だったり、人を信用しすぎてしまう方が多いんです。