投資マンションローン
マンション投資ローンを繰り上げ返済するメリット・デメリット!注意点も解説
マンション投資の際に利用するローンは繰り上げ返済した方がよいのでしょうか。
マンション投資などのローンについて、繰り上げ返済をするメリット・デメリットを解説します。
目次
マンション投資で繰り上げ返済とは?
繰り上げ返済とは毎月の返済額とは別にまとまった額を支払い、ローンの一部または全部を前倒しで返済することです。
返済期間が短縮したり返済額が軽減しますが、無計画に繰り上げ返済をするのは注意が必要です。
今後の計画や手元の資金によっては、繰り上げ返済しないほうがお得なこともあります。
繰り上げ返済するメリット
繰り上げ返済のメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 返済額を減らせる
- 返済期間を短くできる
- より早く資産が拡大する
- 金利の変動リスクを軽減できる
それぞれ解説します。
返済額を減らせる
繰り上げ返済すると、合計返済額を減らすことができます。
ローンを利用すると、借りた元金と元金にかかる利息を返済しなければなりません。
繰り上げ返済することで元金を減らせるため、元金にかかる利息額を減らすことができ、毎月の返済額を減らせます。
たとえば、年利2%で3,000万円を借り入れている場合、単純計算で年間で支払う利息は60万円です。繰り上げ返済によって元本を2,000万円減少させた場合、利息支払い額が40万円減ります(2% x 2,000万円)。
返済期間を短くできる
ローンを繰り上げ返済すると、返済期間を短くできます。
たとえば返済期間が30年でローンを組んでいた場合、元金の一部を繰り上げ返済することで返済期間が25年や20年になり、もともとの返済期間よりも短くできます。
より早く資産が拡大する
繰り上げ返済で完済が早まることによって、次の投資物件に目を向けられます。
マンション投資は、2件目、3件目と物件を増やすことが可能です。複数物件のオーナーになることで、よりリスクを分散できます。
ローンを完済した物件から得られる収益などを2件目の繰り上げ返済に充てれば、さらに資産拡大のスピードが増すでしょう。
金利の変動リスクを軽減できる
変動金利でローンを組んでいると、金利による影響を受ける可能性があります。
一般的に変動金利は、半年に一度見直しが行われるため、金利が上がり返済額が増えるかもしれません。そこで繰り上げ返済をすることでリスクを軽減できます。
ただし、金利が変動しても返済額は最大1.25倍までというルールがあるため、大幅に返済額が増えることは少ないです。
繰り上げ返済するデメリット
繰り上げ返済のデメリットは、以下の3つです。
- 利息控除による節税効果が減る(所得税が高くなる)
- 急な支払いに対応できない
- 追加投資が難しい
それぞれ解説します。
利息控除による節税効果が減る(所得税が高くなる)
繰り上げ返済を行うと節税効果を得られなくなり、所得税などが高くなる可能性があります。支払う利息が減るためです。
所得税などの税金は、収入から必要経費を引いた額に対して一定の税率をかけて計算されます。
そのため繰り上げ返済を行い、支払う利息が減ると経費として控除できる利息額が少なくなり、不動産所得が増えます。
結果として所得税などの負担が増え、確定申告の額が変わってくるでしょう。
急な支払いに対応できない
繰り上げ返済をすると、急な支払いに対応できない可能性があります。
マンション投資は、修繕費や天災などで高額な費用が突然必要になります。
火災保険で対応できる可能性もありますが、手元にある程度はまとまった現金は必要でしょう。
手元にまとまった現金があるからといって、無計画に繰り上げ返済に充てないように注意が必要です。
追加投資が難しい
繰り上げ返済を行うと、追加投資が難しくなります。
なぜなら金融機関の審査の際に、手元の現金が多い人のほうが評価が高く借入しやすいからです。
繰り上げ返済に現金を充ててしまい、手元の現金が残っていない状態であれば、借入ができず追加投資が難しくなるでしょう。
物件の追加購入などを検討している場合は、返済と手元に残しておく現金のバランスを考慮してください。
繰り上げ返済したほうがいいケース
メリット・デメリットのある繰り上げ返済ですが、どのようなケースに向いているかを解説します。
繰り上げ返済をしたほうがいいケースは、以下の3つです。
- 高金利のローンを抱えているケース
- 繰り上げ返済によるメリットが節税効果を上回るケース
- 追加で物件を購入するケース
それぞれ解説していきます。
高金利のローンを抱えているケース
借入金額の金利が高い場合、利息支払いが多額になる可能性があります。この場合は繰り上げ返済をすることで、将来的な利息支払いを大幅に削減できるため、合計返済額を減らすことができます。
ただし近年は低金利の金融機関も増え、高金利の時代より繰り上げ返済するメリットが少ないです。変動金利で借りていて金利上昇が予想される場合、繰り上げ返済するのがおすすめです。
繰り上げ返済によるメリットが節税効果を上回るケース
繰り上げ返済によるメリットが節税効果を上回る場合、繰り上げ返済したほうがお得です。
節税効果とは、ローンの利息を経費として計上することで課税所得を減少させ、結果的に支払う税額を減らすことを指します。
節税額よりも繰り上げ返済による利息削減額のほうが大きい場合は、繰り上げ返済を検討してよいでしょう。
確定申告すれば節税金額が分かりますが、今すぐ知りたい場合は税理士に計算してもらうのがおすすめです。
専門家の意見を確認することで、具体的な数値に基づいた最適な判断ができるでしょう。
追加で物件を購入するケース
追加で物件を購入する際、繰り上げ返済をするほうが良い場合もあります。高金利ローンを繰り上げ返済することで、利息負担を軽減しキャッシュフローの改善が可能です。
たとえば既存の5%金利のローンを1,000万円繰り上げ返済すれば、年間50万円の利息を削減できます。
このように繰り上げ返済による軽減が、節税効果を上回るなら繰り上げ返済がおすすめです。
繰り上げ返済の種類
繰り上げ返済の方法には、下記の2種類があります。
- 返済期間短縮型
- 返済額軽減型
2つの返済方法の特徴を把握しておくことで、自分にあった繰り上げ返済を行えます。
それぞれ解説します。
返済期間短縮型のメリット・デメリット
返済期間短縮型とは、月々のローン返済額はそのままで返済期間のみ短くする方法です。
メリットとして、借り入れている元金の一部を返済することで、返済期間を35年でローンを組んでいても25年や20年と元々の期間より早く完済が可能です。返済期間が短くなると、利息の負担額が大きく軽減できます。
返済額軽減型のメリット・デメリット
返済額軽減型は、繰り上げ返済を行うことで毎月の返済額を減らし、家計の負担を軽減する方法です。返済期間は変更されず、元本が減少するため月々の返済額が少なくなります。
メリットとして、毎月の返済負担を減らし、家計のキャッシュフローの改善が可能です。デメリットについては、合計の利息支払い額が大きく減らないことや返済期間が短縮されないことがあります。
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マンション投資の繰り上げ返済シミュレーション
実際にマンション投資の繰り上げ返済をしたときに、返済額や返済期間、月々の返済額はどのように変化するのでしょうか。
以下の条件でシミュレーションをしていきます。
- 借入金額: 3,000万円
- 金利: 3%
- 返済期間: 35年
- 繰り上げ返済額: 500万円
- 返済方法: 元利均等返済
不動産投資ローンで繰り上げ返済をした場合のシミュレーション
返済が始まってから5年後に500万円の繰り上げ返済をすると仮定します。
【返済期間短縮型】
繰り上げ返済前 | 繰り上げ返済後 | 差額 | |
---|---|---|---|
月々の返済額 | 約115,000円 | 約115,000円 | なし |
総返済額 | 約4,829万円 | 約3,675万円 | 約1,154万円 |
利息総額 | 約1,829万円 | 約1,175万円 | 約654万円 |
返済期間 | 35年 | 約25年1カ月 | 約9年11カ月 |
【返済額軽減型】
繰り上げ返済前 | 繰り上げ返済後 | 差額 | |
---|---|---|---|
月々の返済額 | 約115,000円 | 約95,000円 | 約20,000円 |
総返済額 | 約4,829万円 | 約4,005万円 | 約824万円 |
利息総額 | 約1,829万円 | 約1,505万円 | 約324万円 |
返済期間 | 35年 | 35年 | なし |
繰り上げ返済を行うことで、返済総額や返済期間、月々の返済額を大きく削減できます。
どちらの返済方法が適しているかは、投資戦略や個々の経済状況に応じて選択することが重要です。
シミュレーションの相談先は専門の不動産会社がおすすめ
繰り上げ返済を検討しているけれど自分に合っている方法がわからない人や、そもそも繰り上げ返済をしたほうがいいのか知りたい人は、専門の不動産会社に相談してみましょう。
専門の不動産会社はたくさんの案件に対応しているため、類似ケースやおすすめの対応方法をアドバイスしてくれます。
繰り上げ返済は資金状況や今後の計画により戦略が変わるため、専門の不動産会社にシミュレーションしてもらうことがおすすめです。
繰り上げ返済にかかる手数料
繰り上げ返済にかかる事務手数料のことを繰上返済手数料といいます。
繰上返済には「一部繰上返済」と「全額繰上返済」の2種類があります。
一部繰上返済の場合
一部繰上返済とは、ローンの一部のみを繰り上げ返済することをいいます。
一部返還の繰り上げ返済には、手数料がかからない銀行が多いです。
手続きの方法により有料になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
全額繰上返済の場合
全額繰上返済とは、ローンの残債を全て返済し完済することをいいます。
全部返還の繰り上げ返済にかかる手数料は、多くの銀行で有料です。
また手続き方法によって手数料が異なったり、ネット銀行であれば無料であることが多いです。具体的な手数料については、ローンを契約している金融機関に確認してください。
手数料を下げる方法
繰り上げ返済を行うときに、手数料を下げる方法は以下の2つです。
- 手数料がかからない金融機関へ借り換える
- オンライン手続きを活用する
それぞれ解説します。
手数料がかからない金融機関へ借り換える
金融機関によっては、繰り上げ返済の手数料が無料である可能性もあります。
どうしても繰り上げ返済の手数料を支払いたくない人は、手数料が無料の金融機関へローンの借り換えも選択肢のひとつです。
ただ借り換えにも手数料が必要になるため、総合的に検討するようにしてください。
オンライン手続きを活用する
金融機関によっては、書面よりもオンラインでの手続きのほうが手数料が安い場合もあります。
手続きの方法だけで費用が変わるため、繰り上げ返済を検討する場合には確認してみましょう。
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