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確定申告で借入金利子は経費にできる?金利の計算方法とNGケースを紹介

確定申告で借入金利子は経費にできる?

投資用不動産をローンで購入した場合、その借入金利子は経費として計上できます。

しかし、不動産所得が赤字の場合や特定の条件下では、経費として認められないケースがあります。

不動産投資では修繕費や保険料、管理費など多くの費用を経費にできますが、借入金の利子も正しく計上することで税負担を軽減することが可能です。

確定申告の際に借入金利子を経費にする方法や計算方法、さらに 経費にできないケースについても詳しく解説しています。

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ローンで購入した投資物件の借入金は経費として計上できる

結論からお伝えすると、投資物件の購入で発生した借入金の利子(ローンの金利)は、経費として計上することが可能です。

確定申告では、不動産の収入と支出を記載する書類(収支内訳書)に「借入金利子」という科目があり、賃貸用の建物を購入するために支払った利子は、必要経費として記載することが認められています。

ここで注意したいのが、必要経費として計上できるのはあくまで借りたお金の「利子」のみという点です。

ローンの返済分である「元本」を必要経費として計上することはできません。

分かりやすく説明すると、月々ローンを20万円返済していて、その内訳が以下の通りだったとします:

  • 元本(借りたお金の返済分): 15万円
  • 利子(金利部分): 5万円

この場合、経費として計上できるのは 利子分の5万円のみです。

※参考:国税庁「令和5年分 収支内訳書(不動産所得用)の書き方

元本を経費計上できない理由

ローンの元本(ローンの返済分)は、投資用物件を購入するために必要な費用なので、利息分と同じく経費として計上できるのではないかと考える方もいるでしょう。

しかし、ローンの元本に当たる物件購入費は「減価償却費」として計上すると決められています。

減価償却費とは、不動産など固定資産の購入額を耐用年数ごとに分割し、少しずつ分けて計上することです。

元本は減価償却費として計上しているので、さらに必要経費として申告した場合、二重計上になってしまいます。

以上の理由から、ローンの元本は必要経費として計上できないため要注意です。

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不動産投資の借入金利子の計算方法

不動産ローンの金利には変動金利と固定金利の2種類があるほか、返済方法も元利均等返済方式と元金均等返済方式の2種類があります。

金利や返済方法によって月々の利子が大きく変わるため、投資用不動産のローンを組む際は、種類ごとにどれくらい利子を経費として計上できるのか確認しておくことが重要です。

ここでは不動産ローンの金利の種類と返済方式について詳しく説明します。

不動産ローンの金利の種類

不動産ローンの金利は、「変動金利」と「固定金利」から選べます。

どちらの方法にもメリット・デメリットがあるため、さまざまな角度から検討し、慎重に決めることが大切です。

変動金利

変動金利とは、ローンの返済期間中に適用される金利が変動するタイプです。

適用される金利は一般的に半年に一度のペースで見直しが行われ、変動した場合は金利の再計算により、月々のローン返済額も変化します。

ただし、住宅ローンでは金利が大幅に上がった場合でも、直前の返済額の最大1.25倍までというルールが設定されています。

そのため、金利が変動しても返済負担が大幅に増額することはないでしょう。

固定金利

固定金利とは、ローンの返済期間中は適用される金利が固定されているタイプです。

固定期間中は金利の見直しは行われないため、景気や物価、為替相場などに伴う金利の変動リスクの心配がありません。

また、適用期間中は月々の返済額の内訳(元本と金利)も固定されるため、必要経費として計上する利息を把握しやすいという利点があります。

ただし、固定金利は変動金利よりも一般的に金利が高く設定されており、返済負担が大きくなりやすいのがネックです。

なお、固定金利には借り入れから返済まで金利が固定される全期間固定タイプと、借り入れから一定期間だけ固定され、その後は変動金利に切り替わる当初固定タイプがあります。

後者の場合、変動金利に切り替わった後は月々の返済額が変わる可能性があるため、経費として計上できる利息の金額に注意しましょう。

返済方式

ローンの返済方式としては、主に「元利均等返済」と「元金均等返済」があります。

どちらを選択するべきかは、返済期間と返済額のどちらを優先するかによって異なります。

それぞれの特徴を押さえた上で返済方法を決定しましょう。

元利均等返済

元利均等返済とは、月々の返済額が一定になる返済方式です。

返済額が変わらないのでローン返済の計画が立てやすく、無理なく返せるのはメリットといえます。

しかし、元利均等返済は返済当初は元金があまり減らず、返済が進むにつれて元金が減っていくのが一般的です。

そのため、トータルの返済額は後述する元金均等返済よりも多くなるため、利用する際は返済計画をきちんと立てましょう。

元金均等返済

元金均等返済とは、月々の返済額のうち元金のみ一定になる返済方式です。

月々の返済額は固定した元金に利息が上乗せされるため、ローン残債額が多い借り入れ当初ほど、返済負担が大きくなるのはデメリットといえます。

一方、返済額のほうが多くなると元金に加算される利息は減っていきます。

前述した元利均等返済に比べると元金の減りが早いため、借入期間が同じであれば、トータル返済額を少なくできるところが利点です。

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確定申告でローンの利子を経費計上できないケース

不動産投資でローンを利用した場合、その利子は経費計上できると説明しましたが、一部例外もあります。

ここでは、確定申告で不動産投資に利用した借入金利子を経費として計上できないケースを3つご紹介します。

生計をともにした親族からの借り入れ

投資用不動産の購入費用を、生計をともにした親族から借り入れた場合、その利息を経費計上することはできません。

一緒に生活をしていて収入や支出を共有していると「生計を一にする」と判断され、控除や特例の対象外となることがあるからです。

なお、生計を別にしている親族から費用を借り入れ、元本に応じた利息を支払っている場合は、借入金利子を経費として計上することが可能です。

このように、金利を経費計上できるか否かは、借した方と貸りた方の関係性ではなく、生計を別にしている人からの借り入れているかどうかを基準に判断しましょう。

不動産所得が赤字になっている

不動産所得額は、1年間の不動産にかかわる総収入額から必要経費を差し引いて計算します。

その結果、不動産所得が赤字になった場合、他の黒字の所得金額から差し引くことが可能となります。

上記の方法を「損益通算」といいますが、以下の内容に該当する損失の金額は損益通算の対象外です。

  1. 主として趣味や娯楽、保養、鑑賞などの目的で所有する不動産(別荘など)の貸付に係るもの
  2. 不動産所得額の計算で必要経費として算入した、土地等の取得に要した負債の利子に相当する部分の金額

つまり、別荘などを貸し出して赤字を出した場合や、土地を取得するためにかかった借入金の利子により赤字が出た場合は損益通算できません。

土地を取得するためにかかった借入金の利子は、不動産所得の必要経費として計上できますが、取得で生じた赤字は損益通算の対象外です。

※参考:国税庁「No.1391不動産所得が赤字のときの他の所得との通算

業務開始までに発生した借入金利子

不動産を業務で利用する前に発生した金利は、必要経費として計上できません。

ただし、その金利は不動産の取得費(購入費用)に含めることができます。

この取得費は建物の場合、減価償却費として毎年少しずつ経費に計上する形です。

例えば、投資用マンションを新築するために不動産ローンを借りた場合、建設中からローンの支払いが始まります。

しかし、実際にマンションを貸し出すまでには、マンションの建設や入居者募集中などのタイムラグがあるでしょう。

このタイムラグ中に発生した借入金利子は必要経費にはできず、不動産の取得費として減価償却する必要があります。

※参考:国税庁「No.3264 借入金の利子が取得費になるとき

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コラム監修

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伊藤幸弘  

資格

宅地建物取引主任者・賃貸不動産経営管理士・FP技能士・公認 不動産コンサルティングマスター・投資不動産取引士・競売不動産取扱主任者・日本不動産仲裁機構ADR調停人

書籍

『投資ワンルームマンションをはじめて売却する方に必ず読んでほしい成功法則』


『マンション投資IQアップの法則 ~なんとなく投資用マンションを所有している君へ~』

プロフィール

2002年から中古投資マンションを専門に取引を行う。
2014年より株式会社TOCHU(とうちゅう)を設立し現在にいたる。

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