投資マンション基礎知識
不動産投資は怪しい?安全な始め方と詐欺を回避する会社選びのコツ
不動産投資は資産を増やす方法として注目される一方で、「怪しい」「リスクが高い」という意見も根強くあります。
実際、詐欺や悪徳業者とのトラブルに巻き込まれるケースは少なくありません。
そのため本記事では、不動産投資にまつわるよくある詐欺やトラブル事例を紹介するとともに、安全に始めるためのポイントや、信頼できる会社選びのコツを解説します。
目次
不動産投資が怪しいと言われる具体例を紹介
不動産投資は、正しい知識を身に付けて適切な運用をおこなえば、有効な資産形成の手段となりえます。
一方、知識不足や投資経験のなさから詐欺にあったり、怪しい話を真に受けてリスクの高い投資で失敗したりするケースも少なくありません。
ここでは、国民生活センターに寄せられた事例をもとに、不動産投資に関連するトラブルの例を紹介します。
しつこい投資用マンションの販売勧誘
国民生活センターには、「家賃収入や売却益を得られる」などと言って、投資用マンションの購入をしつこく勧誘されるという相談が多数寄せられています。
具体的な相談の内容は以下のようなものです。
- 電話で勧誘された相手に会ったら、深夜まで拘束されて怖くて契約してしまった。
- 職場や社用携帯電話に突然電話があり、不動産購入の勧誘を受けた。
- 路上でアンケートへの回答や名刺交換に応じたら、その後しつこく購入の勧誘を受けた。
- ローンの返済が長期にわたるなかで、家賃収入が減少してローン返済が困難になった
マンションなど不動産購入時の勧誘は宅地建物取引業法で規制されているため、不安や恐怖を感じたときは速やかに警察へ連絡しましょう。
参照:国民生活センター強引でしつこい投資用マンションの販売勧誘、どうすればいいの?
高齢者の自宅の売却トラブル
高齢者を標的にした自宅売却に関するトラブルも少なくありません。
トラブルの内容は次のようなものです。
- 「強引に勧誘され、安価で自宅を売却する契約をしてしまった」
- 「解約したいと申し出たら高額の違約金を請求された」
- 「契約した記憶がないのに自宅が売却されてしまい、住む場所がないので解約したい」
契約内容について十分に説明しなかったり噓の説明をしたりして契約をし、上記のように業者側に有利な取引がおこなわれることがあります。
参照:国民生活センター 高齢者の自宅の売却トラブルに注意-自宅の売却契約はクーリング・オフできません!内容をよくわからないまま、安易に契約しないでください-(発表情報)
認知症の家族に対し海外不動産投資を斡旋
次に、認知症を患う高齢者に対して、海外不動産投資の契約をもちかけて紛争になったケースを紹介します。
医師も認知症と認める高齢者に対して、海外の会社の代理人を通じて賃借権を購入する契約を結びました。
しかし、契約者自身は契約したことの記憶が薄く、契約をやめたいとの相談が家族からあり、紛争となっています。
消費者センターに相談し、クーリングオフ通知を出すことで一部は返金されたものの、全額は戻ってこなかったという事例です。
参照:国民生活センター 国民生活センターADR の実施状況と結果概要について(令和 2 年度第 2 回)
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不動産投資でよくある詐欺の手口を解説
ここでは、実際に不動産投資でよくある詐欺の手口について詳しく解説します。
具体的には、下記の6つが不動産投資のときに利用される手口です。
- 手付金詐欺
- 二重譲渡詐欺
- 囲い込み商法
- 海外不動産投資商法
- 入居状況詐欺
- デート商法詐欺
それぞれ順に説明していきます。
手付金詐欺
手付金詐欺とは、不動産の売買契約において、手付金を支払ったにも関わらず、契約をきちんと実行せず手付金も返さない詐欺のことです。
「良い物件なので他の買い手がつかないように、手付金を払ってキープしましょう」などと巧みに手付金を支払わせ、支払い後に連絡がとれなくなります。
そもそも不動産の手付金は売買契約をキャンセルした際、条件を満たしていれば返金されます。
手付金の支払いをしつこく催促してくる、売買契約の手付金が売却価格の20%以上だった場合は、手付金詐欺を疑いましょう。
二重譲渡詐欺
売主が1つの物件に対して複数の買主と売買契約を結ぶことを二重譲渡といい、こうした手口で詐欺をすることを二重譲渡詐欺といいます。
例えば、売主がAさんに「1000万円で土地を売ります」と契約し、手付金や代金の一部を受け取ったとします。
その後、同じ土地をBさんにも「1200万円で売ります」といって契約し、売主がBさんを先に登記した場合、Aさんの支払いが早くても土地はBさんのものになります。
登記は原則として早いもの順のため、不動産登記を早く行ったBさんのものになり、Aさんはお金をだまし取られただけでなく、土地も所有できないことになります。
二重譲渡詐欺を防ぐためには契約前に登記簿を確認し、物件の所有権が移転されていないか確認することも大切です。
海外不動産投資商法
海外不動産投資商法には、以下のようなさまざまなケースがあります。
- 実際には存在しない不動産を販売する
- 未完成のプロジェクトへの投資を提案する
- インターネットや広告で事実と異なる情報を流す
- 実際の価格より高値で販売したり、頭金や手数料を持ち逃げしたりと、物件すら手に入らないケース
いずれのケースも投資先の物件が海外にあるため、現地に確認しに行くのが困難なことを逆手に取った詐欺です。
そのため防ぐのが難しいのですが、購入予定の物件について複数の不動産会社に確認したり、仲介会社がライセンスを所持しているか確認したりして対策しましょう。
満室偽装詐欺
満室偽装詐欺とは、実際の物件は空室が多いにもかかわらず、「サクラ」などを用意して事前に入居してもらい満室を装う詐欺です。
不動産投資において、満室稼働中のアパートやマンションは安定した家賃収入が見込めるため、非常に魅力的です。
このような投資家心理を見透かして、関係者を一時的に入居させ高い利回りが見込めることをアピールします。
売買が成立するとサクラの住居者は次々に退去し、結果空室率が上がってしまうため、業者の話をそのまま信じてしまうのは危険です。
デート商法詐欺
デート商法詐欺とは、婚活サイトやマッチングアプリなどを利用して近づき、恋愛感情につけこんで高額の商品や不動産を購入させる詐欺です。
デートを重ね親しくなり、断りづらくなった状態で投資用の不動産購入を進め、購入後に連絡が取れなくなり、だまされたことに気づくという流れが多いようです。
相場より高い物件を買わせられそうになるだけでなく、仮に売却してもローンだけが残るという悪質な詐欺といえるでしょう。
囲い込み商法
囲い込み商法とは、売却を依頼された不動産会社が意図的に物件の情報を他の不動産会社に紹介せず、売却・購入双方とも自社で成約させようとすることです。
不動産会社によっては、売主と買主の双方から仲介手数料を得るために囲い込みをしているところもあります。
囲い込みは詐欺ではありませんが、売却を依頼した物件を多くの不動産会社に紹介できないため、売れる時期が遅くなり販売金額が下落するリスクがあるのです。
しかし、2025年から囲い込みの規制が強化されるため今後は減っていくことでしょう。
怪しい不動産投資を持ち掛ける悪徳業者の特徴
ここでは、怪しい不動産投資を持ちかけてくる業者の特徴を紹介します。
断ってもしつこく電話してくる
一度断ってもしつこく電話してくる業者には注意が必要です。
例えば、マンション販売時の勧誘は「宅地建物取引業法」で下記のように厳しく規制されています。
- 相手を怖がらせたり、電話による長時間の勧誘で相手を困らせたりする行為の禁止
- 契約や勧誘を希望しないという意思表示をしたのに勧誘を続ける行為(再勧誘)の禁止
少しでも怪しいと感じたときは会社名や担当者名を書き残しておき、国民生活センターや免許行政庁に連絡をしてください。
参照:国土交通省|建設産業・不動産業:投資用マンションについての悪質な勧誘電話等にご注意ください – 国土交通省
異常に高い利回りを強調する
「利回り20%」など、異常に高い利回りを強調する業者にも気をつけてください。
実際の利回りではなく満室になった場合で計算していたり、築古の物件であるにもかかわらず修繕費や維持費を考慮していなかったりする場合があります。
また、事故物件や欠陥物件を売りつけるために嘘をついているケースもあるようです。
相場以上の利回りを言葉巧みにアピールしてくる場合は、悪徳業者であることを疑いましょう。
クーリングオフができるので安心と言う
「クーリングオフがあるから安心です」といってくる業者にも注意しましょう。
不動産の売買契約はクーリングオフが認められる場合もありますが、適用には以下の条件を満たす必要があります。
- 売主が宅建業者であること
- 期間はクーリングオフの説明を受けてから8日以内であること
- 引き渡しや代金の支払いが済んでいないこと
- 売主の事務所以外で契約締結したこと
- 自宅を不動産業者に売却した場合は適用できないこと
これらの説明を十分せずに「クーリングオフができる」といった言葉で安心させて、強引に契約を求めてくる業者は要注意です。
会社の住所に事務所がない
不動産会社に関わらず、会社の住所に事務所がないところと契約するのは危険です。
さまざまな事実があるかもしれませんが、何かあればすぐに姿を消せるからという考え方もできます。
不動産業者は、宅建業法により事務所を構えなければならないとなっているため、事務所がない業者は怪しい業者の可能性が高いでしょう。
質問をごまかす・はぐらかす
質問をごまかしたり、はぐらかしたりして答えない業者は警戒してください。
大きな金額が動く不動産投資では、事前の情報収集が非常に重要です。情報を得るための質問に対して、明確な回答ができない業者は信用できません。
不動産取引には信用が欠かせないため、信頼できる別の業者を探しましょう。
怪しいと疑いたくなるようなセールストーク
ここでは、悪徳業者がよく使用する典型的なセールストークをいくつか紹介します。
以下のようなトークを頻繁に使用する業者には注意してください。
節税できます
不動産投資に節税効果が見込める場合があるのは確かですが、実際にはその人の年収や物件の種類などによって異なります。
節税効果がまったく得られない場合も多いため、このトークを鵜呑みにするのはやめましょう。
年金代わりになります
「年金代わり」という言葉も投資でよく使われますが、ローンの返済が終わった後も管理費などのランニングコストはかかるため、家賃収入がそのまま自分の収入にはなりません。
ローンの返済が終わる頃は、築年数もかなり経過しているケースも多く、多額の修繕費用や大幅なリフォームが必要になるリスクもあるため、真に受けないようにしましょう。
生命保険代わりになります
「生命保険代わり」というトークは、ワンルームマンション投資を進める際によく耳にしますが、投資用ローンを組む時に加入する「団体信用生命保険」に基づいたものです。
仮に、ローン返済中に所有者が亡くなった場合に、ローンの残債が保険で支払われ、遺族には購入した不動産だけが残ります。
確かに、この点だけを見れば生命保険の代わりと言えますが、不動産購入者が亡くなることが前提であることを頭に入れておきましょう。
頭金0でも大丈夫です
「頭金がなくても始められる」という業者も要注意です。
頭金なしで不動産投資ができるのは魅力的に思えますが、不動産投資はそれなりにリスクがあり、資金に余裕がないと自己破産する可能性があります。
自分の給与所得に見合わない投資を持ちかける業者は避けるべきです。
家賃保証があります
サブリースのように「家賃保証がある」として、安定した収入が確保できることを理由に、不動産投資を進めてくる業者もいます。
サブリースの場合は、空室率に関わらず家賃収入を得ることが可能ですが、契約を更新する際に家賃を値下げされたり、突然契約を終了されたりすることがあります。
将来的に家賃が減額となりローン返済が立ちいかなくなるケースもあるため、契約内容の説明は納得いくまで受けましょう。
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怪しい不動産投資の話を見抜くためのポイント
最後に、怪しい不動産投資の話を見抜くためのポイントや、不動産投資を持ち掛けられた際に注意する点を解説します。
強い言葉で契約を急かしてくる
強い言葉で契約を急かしてくる不動産業者は警戒してください。
「この物件はすぐに売れてしまう」「特別価格は今だけ」などといって急かせることで、冷静な判断をできなくさせるところもあるようです。
そんなときには、どんなに業者が怖くても、あるいは魅力的な提案に見えたとしても、その場では契約せずに一度冷静に考えてみましょう。
投資のメリットしか言わない
投資のメリットばかりを伝えて、投資のリスクや物件の瑕疵※をきちんと伝えない業者も怪しいです。
物件の築年数がたつと入居率や家賃が下がる可能性があることや、告知義務がある瑕疵についてリスクがあることなどを説明しない不動産業者は、良きパートナーとはいえません。
※瑕疵:不動産における瑕疵とは、取引の目的である土地や建物に生じた欠陥のことで物理的瑕疵、心理的瑕疵、環境的瑕疵、法律的瑕疵などがあります。
不明な点や疑問点があれば話を進めない
自分でもよくわからないまま、不動産投資の営業マンの言われたとおりに不動産を購入し、投資に失敗したというケースは少なくありません。
悪徳業者に不動産投資を提案されたとしても、投資である以上最終的には自己責任です。
少しでも不明な点や疑問点があれば、解決するまで契約しないようにしましょう。
契約内容を第三者に確認してもらう
契約を結ぶ前に、利害関係のない第三者に確認してもらうことも大切です。
ファイナンシャルプランナーや税理士、弁護士や司法書士などの複数の専門家に資料や物件情報をもって相談すると、契約の不備やリスクについて具体的なアドバイスが得られる場合があります。
また、自治体が提供している無料相談サービスを活用する方法もおすすめです。
信用できる不動産会社か実績を確認する
最後に重要なことは、信頼できる不動産会社かどうかをきちんと確認することです。
たとえば物件の売買実績が多ければ、経験が豊富であることから、不動産投資の成功率を上げるための適切なアドバイスが期待できます。
さらに、金融機関との取引が多い、売買だけでなく賃貸管理も行っているなどの要素も、信用できる不動産会社を判断するためのバロメーターになります。
不動産詐欺を防ぎ、少しでも安全に投資を始めるために、信頼のおけるパートナーを探しましょう。
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