投資マンション税金
マンション投資がなぜ節税になるのか?税負担軽減のために知っておきたいポイントと注意点
高収入の会社員や個人事業主にとって、所得税や住民税などの税金の負担は大きな悩みのひとつです。税負担を軽減する方法として、マンション投資に注目している方もいるでしょう。しかし、節税効果の仕組みを正しく理解せずに始めると、期待通りの効果を得られなかったり、予想外の損失を抱えたりするリスクもあります。
マンション投資が節税につながる理由や注意点を解説します。
目次
マンション投資が節税につながる理由
マンション投資が節税につながる理由は、以下の通りです。
- 減価償却で年ごとに経費計上できるため
- 損益通算でほかの所得と相殺できるため
減価償却で年ごとに経費計上できるため
マンション投資が節税につながる理由に、減価償却の活用があります。減価償却とは、不動産の建物価格を一括で経費計上せず、耐用年数に分けて計上する仕組みのことです。
参考:国税庁「No.2100 減価償却のあらまし」
たとえば、5,000万円の木造造りのマンションを購入した場合で考えてみましょう。木造の建物の法定耐用年数は22年のため、5,000万円を22年にわたって毎年均等に経費に計上します。
参考:国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
所得税や住民税は、収入から経費を差し引いて算出した課税所得で決定します。減価償却で年ごとに経費計上することで課税所得を減らした結果、課税額が安くなる仕組みです。
参考:国税庁「所得税のしくみ」
損益通算でほかの所得と相殺できるため
不動産所得は、損益通算でほかの所得と相殺できます。損益通算とは、不動産投資で赤字になった場合、その赤字をほかの所得(給与所得・事業所得など)と相殺できる制度です。
参考:国税庁「No.2250 損益通算」
たとえば、年収1,000万円の会社員が不動産投資で500万円の赤字を出した場合、実際の課税所得は以下のように計算します。
- 1,000万円(年収)- 500万円(不動産投資の赤字分)= 500万円(課税所得)
このように、年収が1,000万円でも赤字分の500万円が差し引かれるため、大幅に節税することが可能です。ただし、不動産所得の赤字が多すぎる場合、手元のキャッシュフローが悪化する可能性があります。節税だけに目を向けず、収益性も考えながら運用しましょう。
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マンション投資による節税が向いている方
マンション投資に向いている方は、年収1,200万円以上で課税所得が900万円以上の方です。
課税所得が900万円以上の場合、所得税の税率は33%です。そして、マンションを取得してから5年経過して売却した場合、長期譲渡所得税率として20.315%が適用されます。この場合、税率の差は約13%です。つまり、差分の約13%が実質的な節税効果として期待できるということです。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」
マンション投資による節税で効果を感じにくい方
マンション投資による節税で効果を感じにくい方は、課税所得が900万円未満の方です。課税所得が900万円未満の場合、所得税の税率は5~23%となり、長期譲渡所得率との差が大きくても約3%しかありません。そのため、仮に節税できたとしても、資金繰りや管理面でのリスクのほうが大きくなる可能性があります。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
参考:国税庁「土地や建物を売ったとき」
課税所得が900万円に満たない場合でマンション投資をする際は、節税を主な目的にするのではなく、家賃収入による安定した収益性の確保を目指しましょう。
節税を試みる場合は、青色申告で特別控除を受けるとよいでしょう。青色申告特別控除とは、不動産所得を含む総所得から最大65万円を控除できる制度です。青色申告での確定申告を希望する方は、開業届や青色申告承認申請書を税務署に提出しましょう。
なお、青色申告は複式簿記で記帳をする必要があります。会計ソフトを使えば簿記の知識がなくても帳簿を作成できるため、ぜひ導入してみてください。
【注意】収支マイナスのマンション購入で資産を増やせるわけではない
マンション投資は、高所得者の方にとって所得税や住民税を抑えられる魅力的な手段です。しかし、収支がマイナスになる物件を購入してしまうと、結果として資産を増やすどころか減らしてしまう可能性があります。
損益通算で赤字を節税につなげられたとしても、ローンの返済や管理費、修繕費などの支出が賃料収入を上回れば、毎月の赤字を埋めるための手元資金が減少し続けるためです。
さらに、賃貸需要の低下や家賃相場の下落、空室発生による収入減少などのリスクも伴います。このような状況が続くと、たとえ税負担が軽減されてもキャッシュフローがマイナスとなり、精神的にも経済的にも大きな負担を抱えることになってしまいます。
節税だけを目的とするのではなく、投資することでどのような収益が得られるのかを考えるのが重要です。
すでに赤字の不動産を所有している場合は売却を検討しよう
すでに赤字の不動産を所有している場合は、早めの売却を検討しましょう。
たとえば、設備や建物の老朽化で赤字が発生している場合、修繕やリフォームで黒字に戻せる可能性もあります。しかし、大規模な修繕工事を計画する場合、コストが高額になることが多く、投資に見合った収益改善が期待できない可能性があります。住民への通知や説明にかかる手間と労力も考慮しなければなりません。
黒字化が見込めない、物件の収益性が根本的に低い場合は、売却をしたほうが将来的な損失を抑えられる可能性があります。もし売却する場合は、信頼の置ける不動産会社と相談しながら手続きを進めていきましょう。
マンション投資で節税効果を出すためのポイント
マンション投資で節税効果を出すために重要なポイントは、以下の通りです。
- 法人に切り替える
- 木造造りや築古のマンションに投資する
- 投資計画を入念に立ててから始める
法人に切り替える
マンション投資を個人で行っていて一定の収益規模が見込める場合は、法人化を検討してみるのもよいでしょう。
法人化のメリットは、個人の所得税率よりも法人税率のほうが低くなる点です。法人化をしていない個人が不動産所得で一定の収入を得た場合、最大で45%の税率がかかります。しかし、法人化の税率は最大23.20%と、個人の所得税率に比べて低いです。
たとえば、所得が900万円の会社員の税率は通常33%ですが、法人化することで約10%も節税できます。一定の収益が確保できそうな場合は、法人化も選択肢に入れてみてください。
参考:国税庁「No.5759 法人税の税率」
木造造りや築古のマンションに投資する
木造造りや築古マンションに投資するのも、おすすめの節税対策です。鉄筋コンクリートのマンションの耐用年数は47年と長いですが、木造マンションは22年と短いため、減価償却で毎年計上する経費が多めです。
参考:国税庁.「主な減価償却資産の耐用年数表」
また築古で耐用年数が超えている場合、耐用年数の20%の年数で減価償却が可能です。短期間で多くの経費を計上したいときは、木造や築古のマンションを検討してみましょう。
投資計画を入念に立ててから始める
マンション投資を成功させるには、投資計画を入念に立てる必要があります。計画内容をあいまいにすると、思わぬ損失やリスクを招く可能性があるためです。投資の目的を明確にした上で、購入までのスケジュールや必要な資金、リスクへの対処方法などを考えましょう。
どれくらいの資金がかかるか予想できない際は、不動産会社などが提供するシミュレーションツールを活用するのがおすすめです。ただし、最終的な必要資金や計画の確定は、不動産会社に相談しながら進めていきます、具体的な投資計画を立て、着実に進めることがマンション投資成功への近道になるでしょう。
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