不動産投資
アパート売却で最適なタイミングはいつ?売るときの流れや立ち退きの注意点も
アパートの売却では築年数、修繕コスト、ローン返済など、考慮すべきポイントがさまざまです。
アパートを売却するのに適切なタイミングがいつなのか解説しています。また、売却する際の具体的な流れや、売却に伴うコストを抑える方法なども説明していますので、売却利益を最大限にしたい方はぜひ最後までご覧ください。
目次
アパート売却に最適なタイミングはいつ?
ここではアパートを売却するならいつが最適なのか、適切なタイミングを紹介しています。
高値の売却を狙うときは築年数20年以内
アパート売却に最適なのが、築年数が20年以内のタイミングです。
築年数が浅い方が比較的高値で売却できるとされています。
築20年以内の売却が高値になりやすい理由としては、築年数が経過すると、建物が傷んだり設備が劣化したりして、建物の価値が下がるためです。
また、減価償却の影響により、木造アパートの場合は22年を過ぎると帳簿上の価値が大きく減少します。
そのため、修繕費や税金が膨らむ前に売却を検討することも一つの方法です。
大規模修繕工事の前
アパートの売却は大規模修繕工事を行う前のタイミングもおすすめです。
築古のアパートを所有している場合、入居者が安全に暮らせるように防災対策や老朽化修繕を行う必要があります。
しかし、大規模な修繕工事を行うとなると、建物の状態にもよりますが数百万円以上のコストがかかるケースも珍しくありません。
修繕工事に高額な費用がかかる場合は、工事を始める前、つまり費用を支払う前のタイミングで売却した方がいいでしょう。
アパートの需要が高まっている時期
アパートの需要が高まっている時期は、アパートの価値も高くなる可能性があるため、売却にも適しています。
具体的には、1月から3月の転勤や入学シーズンが狙い目です。
この期間は新入学生や新社会人の賃貸ニーズが高まるため、アパートの部屋が満室になることが多く、高稼働状態といえます。
アパートが高稼働するということは、アパートの所有者にとっては安定した家賃収入を得られるということです。
そのため、買い手にとってもそのアパートがより魅力的に見えるでしょう。
また、アパートの価値と売却価格は比例しやすいため、売却益も得やすくなります。
アパートの所有者からすると、高稼働のタイミングでの売却はもったいないと思うかもしれませんが、いつまでその状態が続くかは分かりません。
できるだけ価値のある時に売るのも選択肢の1つだと覚えておきましょう。
住宅ローンが完済した時期
アパートの売却は、ローン完済後のタイミングもおすすめです。
アパートの売却はローン返済中でも可能ですが、売却に伴いローンを一括返済しなければいけません。
また、ローン完済前のタイミングで売却すると、買い手が「何かトラブルがあったのかな」と疑問に思う可能性があります。
公益財団法人東日本不動産流通機構の資料によると、首都圏では中古マンションで成約率が高いのは築16~20年、築6〜10年、築11〜15年の順です。
さらに、成約物件のうち築40年超の物件が全体の18%を超えるなど、ローン完済後の物件でも十分に需要があることがうかがえます。
また、近年では成約価格も上昇傾向にあるため、より高値での売却も期待できるでしょう。
参考:公益財団法人東日本不動産流通機構 | 築年数から見た 首都圏の不動産流通市場(2023年)
アパートを売却するときの手順
ここでは、実際にアパートを売却したときの手順を分かりやすく紹介します。
売却するときの具体的な手順は以下のとおりです。
- アパートの査定を受ける
- 仲介業者に申し込みをする
- 契約当事者の本人確認
- 媒介契約締結
- 買主が見つかる
- 重要事項説明を受ける
- 契約当事者の本人確認
- 売買契約締結
- 住宅ローン契約の締結(買主)
- 物件の最終確認
- 物件の引き渡し
- 登記手続き
上記の手順について、「売却申し込みおよび購入申し込み」「契約」「引き渡し」に分けて詳しく解説します。
売却申し込みおよび購入申し込み
アパートを売却する場合、売主は売却申し込みをする必要があります。
この場合、仲介を行う不動産業者に対して売却価格査定を依頼し、具体的にどのくらいの価格で売却できるのか確認します。
金額に納得できれば、金額を提示した仲介業者に申し込みを行ってください。
その後、契約当事者の本人確認や媒介契約の締結を行い、売却するために必要な指定流通機構への登録を行います。
不動産業者によって査定額は異なるため、複数の業者を比較することが大切です。
また、査定額に納得できない場合や相場より高すぎる場合は、その根拠をしっかりと確認するようにしてください。
売買契約
媒介契約が完了すると、不動産会社はアパート売却に向けた各種活動を行います。
具体的には、インターネットやチラシなどへの物件の掲載、購入希望者からの問い合わせ対応、内覧対応などです。
これらの売却活動を経て購入者が見つかると、重要事項説明、契約当事者の本人確認を経て売買契約を締結します。
なお、このタイミングで買主は住宅ローンの契約を締結します。
アパートの引き渡し
売買契約を結び、不備がなければ引き渡しに進みます。
契約締結後すぐにアパートの引渡しが行われるわけではなく、まず物件の最終確認が行われます。
そのうえで問題なければ残金の決済を行い、その後アパートが買主へ引き渡します。
当事者の状況にもよりますが、売買契約を締結してから1〜2ヶ月程度で引渡しが行われるのが一般的です。
また、手付金などを差し引いた代金を買主から受け取り、売主はローンの完済やアパートの登記手続きなどを行います。
すべての処理が完了すると、買主が新たにアパートのオーナーとなります。
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アパートの売却でコストを最小限に抑える方法
アパートの売却にかかる費用やコストを抑える方法について解説します。
コストを抑え、少しでも利益を高めるように意識をしましょう。
国の減税や特例制度を利用する
土地や建物などの売却は、条件を満たすことで特別控除を受けられる場合があります。
ただし、特別控除の多くはマイホームの売却が対象であり、賃貸物件で利用できる制度は限られています。
転勤などの理由で一時的にアパートに居住しなくなり、賃貸に出していた物件については、一定の条件を満たすと適用されることがあるようです。
さらに、共事業のためにアパートを売却する場合は5,000万円、特定土地区画整理事業のために売却する場合は2,000万円の特別控除が受けられます。
特例の適用には細かな要件や制限があるため、状況に応じて専門家に相談しましょう。
物件の状況によっては更地にする
アパートを更地にして売却するのも1つの方法です。
アパートを売却する場合、基本的には建物を残した状態で売却します。
これは、アパートに入居者がいる場合は退去させるのが難しいためです。
しかし、アパートの築年数が経過していて入居者がいない、もしくは入居者が少なく退去してもらえる可能性がある場合は更地にするとよいでしょう。
家賃収入が少ないアパートを所有するメリットが少なく、更地にするほうが買主にとってメリットとなる可能性があります。
もちろんアパートを取り壊すとなるとコストがかかりますが、更地にすることで価値が高くなることも考えられます。
そのため、物件の状況を考慮したうえで、アパートを残した状態で売却するのか、更地にして土地だけ売却するかを検討してみてください。
立ち退き料の交渉は慎重に行う
アパートのオーナーチェンジに伴い、入居者に退去してもらわなければならない場合、立ち退き料の支払い交渉は慎重に行ってください。
高額な立ち退き料を提示すれば、入居者はスムーズに退去に応じてくれる可能性もありますが、費用負担が大きくなります。
また、入居者がさらに高い立ち退き料を求めてくるかもしれません。
立ち退き料の相場は、1世帯あたり約40万~80万円程度が一般的とされています
また、立ち退き料の交渉を行う際は、入居者から増額交渉をされる前提で金額を提示するとよいでしょう。
例えば100万円まで支払える場合、最初から100万円を提示するのではなく、最初は70万円程度にして、そこから少しずつ増額していくイメージです。
そうすることで入居者に対し、要望に応じようとしてくれているという印象を与えることができます。
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