投資マンション売却
投資マンション売却時に修繕積立金は戻ってくるのか
投資マンションのオーナー様は、毎月のローン支払いに加えて、建物管理会社に対して、「管理費」と「修繕積立金」を支払っていると思います。
「管理費」文字通り、建物管理会社の費用、管理人さんの給料、清掃、維持管理に必要な経費としてイメージしやすいのですが、「修繕積立金」は、積立金という言葉の響きから、預金を積み立てているようなイメージを持っている方もおり、ご解されやすいのです。
今回は、そんな「修繕積立金」とは何なのかというご説明と、投資マンションの売却の際には、「修繕積立金」はどうなってしまうのかについてお伝えいたします。
所有している投資マンションを売却しても修繕積立金は戻ってこない
修繕積立金とは、建物を長期間健全な状態で維持していくために必要になる、共有部分の塗装や、外壁の補修、配管工事、設備の交換などの修繕業務を実施する目的で、積み立てられる金額のことを指します。
マンションなどの区分所有建物において、大規模修繕を行うには、非常に多額の費用がかかることが多いです。
例えば、エレベーターの改修工事などでは3000万円ほどかかります。そのため、各区分所有者一人一人に対して、一度に多額の費用請求が発生してしまわないよう、毎月一定額を事前に積み立てていく仕組みになっています。
どの程度の積立金額を積み立てるかという金額については、まず建物管理会社が「長期修繕計画」に基づいて算出し、その結果を管理組合が承認して決定します。そして、その修繕積立金の運営・管理、修繕業務の実施は、委託をうけた建物管理会社が行います。
修繕積立金は、建物を建材な状態に維持し、適切な補修を行うために積み立てられているお金であり、管理組合の資産です。
オーナー様が毎月コツコツと払い続けてきた修繕積立金ではありますが、物件を売却する際には、未来に実施される大規模修繕の恩恵を受けることはできません。
そのため、投資用ワンルームマンション売却の際に、今まで払い続けてきた修繕積立金を返してほしいと考えるオーナー様もいらっしゃいます。しかし、修繕積立金は、すでに管理組合の資産になっており、返還などはできない決まりになっています。
十分な修繕積立金によるメリット
反対に、買主は今まで積み立てられた修繕積立金の権利も含めて、物件を買うということになります。そのため、多く貯まっている修繕積立金は、売買金額に影響する一つの要素になります。
築年数が、ある程度経過しているのに、修繕積立金がたまっていない、借り入れを起こしてマイナスになっている物件は、購入しないと宣言される買主もいるほどです。
前述の通り、売主には修繕積立金は戻ってきません。しかし、この修繕積立金の金額分を物件の売却価格に上乗せして売り出し金額を決定することは可能です。
特に、物件の大規模修繕工事が間近に実行される予定のワンルームマンションですと、買い手が二の足を踏むことが多いです。
投資ワンルームマンションは利回りをよくするために、あらかじめ修繕積立金を安く抑えていることが多く、十分な修繕積立金が確保できておらずトラブルになるからです。
これは、分譲したデベロッパーに責任があるのですが、販売しやすくするために、安くしておいて、工事が必要になったら、その時に協力をしてもらえばいいというう考え方です。長期修繕計画をよく見ると、15年・20年で修繕積立金が枯渇するので、値上げや一時金が必要だと記載されています。
しかし、十分に修繕積立金があり、大規模修繕工事でオーナーさまに一時負担金がいらない / 修繕積立金の値上げがない状況であれば、気にせず買い手が見つかる可能性が高くなります。
また、修繕積立金の滞納は、売却時に精算が必要になります。もし、修繕積立金が滞納されたまま売却をした場合、管理組合は前所有者が滞納していた修繕積立金を、遅延損害金等を含めて、新しい所有者である物件の買主に請求することになります。
つまり、もし修繕積立金を滞納したまま売却をすると、買主に多大な迷惑を掛けてしまうと同時に、損害賠償請求やトラブルに発展してしまう可能性もあります。
「払っても戻ってこないのであれば、未払い分はこのままでいい」という考えは危険です。
投資ワンルームマンション売却の際には、必ず修繕積立金の未払いがない状態で、引き渡しをするようにしましょう。
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